ハイトワゴンのスズキ「ソリオ/ソリオバンディッド」をトヨタ「ルーミー」と徹底比較!装備面はモデルが新しいソリオが有理

■フルハイブリッドモデルの追加と安全&快適装備を充実させたソリオ

広い室内空間と利便性の高いリアスライドドアを採用し、軽自動車で主力となっているのが、スーパーハイトワゴンと呼ばれるモデルです。

ホンダN-BOXをはじめ、スズキ・スペーシア、ダイハツ・タント、そして新登場した三菱・デリカミニなどが該当します。

ソリオバンディッドの走行シーン
ソリオバンディッドの走行シーン

このスーパーハイトワゴンの利点を5ナンバーサイズの小型車に進化させたモデルが、コンパクトハイトワゴンです。このカテゴリーはトヨタ・ルーミー(ダイハツ・トール/スバル・ジャスティ)とスズキ・ソリオが市場を独占しています。

今回は、スズキソリオの改良モデルに試乗することができましたので、ライバルのトヨタ・ルーミーと比較してみたいと思います。


●ソリオバンディッドハイブリッドSV 2WDに試乗してみた

コンパクトハイトワゴンというカテゴリーを開拓したのは、このソリオです。しかし、2023年5月の新車販売台数を見ると、ルーミーが6,405台、ソリオが3,292台と、約2倍という差となっています。

ソリオバンディッドのフロントビュー
ソリオバンディッドのフロントビュー

ソリオはこの差を縮めるため、2023年5月に一部改良を行いました。

改良ポイントを挙げると、安全装備では車線逸脱抑制機能(LDP)を採用(ソリオGを除く)。快適装備では、パワースライド予約ロック機能にリクエスト連動機能の追加。ソリオバンディッドでは、後席両側ワンアクションパワースライドドアを全車標準装備しています。

ソリオバンディッドのリアスタイル
ソリオバンディッドのリアスタイル

さらに、USB電源ソケットを1ヵ所、これまでのタイプAからタイプCに変更しています(ソリオGを除く)。

ボディカラーには、全グレードにキャラバンアイボリーパールメタリック、タフカーキパールメタリックを設定。さらにソリオバンディッドには、ガンメタリック2トーンを新設定し、ソリオはモノトーン8色。ソリオバンディッドはモノトーン7色に加えて,2トーンルーフ仕様5色の合計12色となりました。

また、ソリオは今回の一部改良前に、2022年12月にフルハイブリッドシステムを搭載したソリオハイブリッドSZと、ソリオバンディッドハイブリッドSVを追加しています。

1.2Lエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステム
1.2Lエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステム

4代目となる現行型ソリオ/ソリオバンディッドは2020年11月に登場しました。新開発された軽量・高剛性プラットフォーム「ハーテクト」を採用。さらに、ボディの骨格部分であるルーフパネルとルーフメンバーの接合部に高減衰マスチックシーラーを採用し、こもり音や雨音を低減。構造用接着剤の採用により、操縦安定性や乗り心地、静粛性を向上させているのが特徴です。

現行型ソリオ/ソリオバンディッドのボディサイズは、全長3,790mm×全幅1,645mm×全高1,745mmとなっています。

ソリオバンディッドのインストルメントパネル
ソリオバンディッドのインストルメントパネル

ボディサイズは、旧型と比べて全長を80mm(ソリオ バンディットは70mm)延長し、荷室床面長を100mm拡大させることで、大きな荷室と広く使える室内空間の両立を実現しています。

ボディサイズは大きくなっているものの、取り回しの良さの指標となる最小回転半径は4.8mのままで、取り回しの良さは変わりません。

ソリオバンディッドのフロントシート
ソリオバンディッドのフロントシート

現行型ソリオ/ソリオバンディッドに搭載されているパワートレインは、デビュー当初は最高出力91ps・最大トルク118Nmを発生する1.2L 直列4気筒エンジンと、このエンジンにISG(モーター機能付発電機)と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせた独自のマイルドハイブリッドシステムの2種類でした。

そして、2022年12月にハイブリッド車を追加。搭載されているスズキ独自のハイブリッドシステムは、1.2L 直列4気筒DOHCエンジンと、5速オートギヤシフト(AGS)と呼ばれるトランスミッションに、発電も可能な駆動用モーターを組み合わせたパラレル方式のハイブリッドシステムです。

ソリオバンディッドのリアシート
ソリオバンディッドのリアシート

ハイブリッドシステム用バッテリーには、6Ahのリチウムイオンバッテリーを採用したことで、燃費性能はWLTCモードで22.3km/Lを実現しています。このハイブリッド車の駆動方式は、2WDのみとなっています。

現行型ソリオ/ソリオバンディッドの車両本体価格は164万7800円~231万7700円。今回試乗したのは、車両本体価格231万7700円のソリオバンディッドハイブリッドSV 2WD車です。

高速道路などで便利なアダプティブクルーズコントロールを採用
高速道路などで便利なアダプティブクルーズコントロールを採用

オプション装備として18万7000円の全方位モニター付メモリーナビゲーションをはじめ、2万9315円のフロアマット、2万1120円のETC車載機、3万7730円のドライブレコーダー。そして4万4000円のタフカーキパールメタリックシルバー2トーンルーフを装着し、合計262万6865円という仕様です。

旧型ソリオにも同じハイブリッドシステムを搭載したモデルが設定されており、試乗したことがありました。印象として残っているのは、5速AGSと呼ばれる2ペダルマニュアルシフトのクセが強く、ギクシャクした動きをすることが多かったということでした。

目線をずらすことなく情報を得られるヘッドアップディスプレイを搭載
目線をずらすことなく情報を得られるヘッドアップディスプレイを搭載

しかし、現行型では、旧型で気になったトランスミッションのギクシャク感はかなり改善され、スムーズさが強調されています。さらにハイブリッドシステム用のバッテリー容量を大きくしたこともあり、モーターのみで走行するEV走行領域が拡大しました。それにより、静粛性の高さも向上するなど、質感が高くなっているのが特徴です。

また、背の高いクルマにも関わらず前後左右の揺れが非常に抑えられています。これは、軽量・高剛性プラットフォーム「ハーテクト」や、構造用接着剤の採用による効果と言えるでしょう。

天井にはサーキュレーターを設置
天井にはサーキュレーターを設置

ソリオ/ソリオバンディッドは、マイルドハイブリッドに加えて、フルハイブリッドを追加し、燃費&走行性能を向上させることで、商品力に磨きを掛けています。

●後発モデルながら、隙のない作りと販売網の強さでスマッシュヒットしているルーミー

ソリオのライバルで、販売台数において大きくリードしているトヨタ・ルーミーは、標準車とカスタムの2つのモデル体系で2016年11月に登場しました。

ルーミーカスタムの走行シーン
ルーミーカスタムの走行シーン

ルーミーのボディサイズは全長3,700mm×全幅1,670mm×全高1,735mm、最小回転半径4.6mという取り回しの良いコンパクトなボディサイズながら、前後乗員間距離は最大1,105mmを確保し、広々としたリアシートの居住性を確保しているのが特徴です。

リアシートは、240mmのスライドが可能で、最前方までスライドさせると、5人乗車しても、ラゲッジルームには機内持ち込み用スーツケースが4個積載できます。

また、リアシートを前に倒すと、荷室の床がフラットになるダイブイン機構を採用。1,500mm超の荷室長で長尺物も積載可能。さらに、デッキボードを反転し防汚シートを広げれば、自転車の積み込みもできるので便利です。

ルーミーカスタムに搭載されている1Lターボエンジン
ルーミーカスタムに搭載されている1Lターボエンジン

ルーミーに搭載されているエンジンは、最高出力98ps・最大トルク140Nmと、1.5L自然吸気エンジンに匹敵するトルクを発生する1L直列3気筒ターボ。そして最高出力69ps・最大トルク92Nmを発生する1L 直列3気筒自然吸気の2種類。組み合わされるミッションは、全車CVT。駆動方式は2WD(FF)を中心に、自然吸気エンジン車にのみ4WDを用意し、燃費性能はWLTCモードで16.8~18.4km/Lを実現しています。

アダプティブクルーズコントロールのスイッチ
アダプティブクルーズコントロールのスイッチ

2020年9月にマイナーチェンジを行い、内外装の変更に加えて、運転支援システムをアップデートしました。衝突回避支援ブレーキ機能、衝突警報機能の検知対象に、同じ方向を走っているバイク・自転車などの二輪車と、夜間の歩行者も追加。

さらに、全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロールなどを搭載した、進化した予防安全機能「スマートアシスト」を全車標準装備しています。

ソリオ/ソリオバンディッドのほうが、全長が90mm大きくなっています。その一方でルーミーのほうが全幅は25mm広くなっているため、室内空間の長さはソリオ/ソリオバンディッド、走行安定性はルーミーが有利と言えるでしょう。

ルーミーカスタムに搭載されている1Lターボエンジン
ルーミーカスタムに搭載されている1Lターボエンジン

燃費性能は、マイルドハイブリッドやフルハイブリッドを搭載しているソリオ/ソリオバンディッドが有利です。また、ルーミーの3気筒エンジンに対して、ソリオは4気筒エンジンなので、騒音や滑らかな加速性能が有利と言えます。

ソリオ/ソリオバンディッドとルーミーは、新車販売台数の差ほど実力差はないと思います。ルーミーに比べて、ソリオ/ソリオバンディッドは新しいモデルなので、走行&安全性能は有利。納車タイミングをチェックしながらしっかりと選んでください。

【Specification】

■スズキソリオバンディッドハイブリッドSV:全長3,790×全幅1,645×全高1,745mm、ホイールベース:2,500mm、車両重量:1,050kg、エンジン種類:直列4気筒DODHC、総排気量:1,242cc、最高出力:91ps/6,000rpm、最大トルク:118Nm/4,400rpm、モーター種類:交流同期電動機、最高出力:13.6ps/3,185〜8,000rpm、最大トルク:30Nm/1,000〜3,185rpm、WLTCモード燃費:22.3km/L、タイヤサイズ:165/65R15、車両本体価格:231 万7700円

■トヨタルーミーカスタムG-T:全長3,705×全幅1,670×全高1,735mm、ホイールベース:2,490mm、車両重量:1,110kg、エンジン種類:直列3気筒DOHCターボ、総排気量:996cc、最高出力:98ps/6,000rpm、最大トルク:140Nm/2,400〜4,000rpm、WLTCモード燃費:16.8km/L、タイヤサイズ:175/55R15車両本体価格:205 万6000円

(文・写真:萩原 文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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