目次
■7シリーズから始まった新しい世代のスタイリング
2023年5月25日(木)、BMW(ビー・エム・ダブリュー株式会社)は、今年後半に国内で正式発表される新型5シリーズについて、初期生産限定モデルの先行受付を開始しました。
今回は、多くの写真が公開された、そのエクステリアデザインについて、ファーストインプレッションをお届けします。
●立体的な面構成をより進化させたデザイン
最近のBMWデザインといえば、巨大なキドニーグリルばかりが注目されますが、実はそれ以外にも変化が見られます。
それは従来の曲面をメインとした表現から、より立体的でシャープなボディ構成への変化で、具体的には新しい7シリーズや2シリーズクーペにその特徴が見られます。
サイズを見ても、先代に比べて97mm長く、32mm広くなった点は昨今のモデルチェンジらしいところですが、多くのモデルが背を低くする中、36mm高くなった変化にも、その「立体的な造形」の片鱗を見ることができます。
特にフロントビューが顕著で、7シリーズほどではないものの、縦方向に大型化されたグリルと、大開口のアンダーグリルが「2階建て構造」になって高さを表現。また、そのグリルや左右のエアディフレクターの周囲は、まるで折り紙細工のようなシャープな面で構成され、ここでも立体感を作っています。
ちなみに、ボンネットラインに沿ってカーブを描くフロントランプは、かつて奇才クリス・バングルが指揮をとった5代目を彷彿とさせるもの。少なくとも、ここ2代ほどのボンヤリした「目」よりもキリっとしています。
次にサイド面ですが、これまでは彫りの深い凹面のキャラクターラインが特徴的だったところ、新型は凸形的に「ボディを折る」繊細でシャープなラインとなりました。これにより、少々ボテッとしていたサイドビューに「切れ」が生まれているようです。
この弓なりのキャラクターラインの上は比較的、優雅な丸みを持ったキャビンが載りますが、一方、下部は垂直方向に高さを感じさせる「堅め」のドアパネルが新しく、サイドシルの切れ上がったアクセントラインにより、一層シャープさが際立っています。
●巨大化イメージが先行するグリルを再構成する機会か?
リアビューはさらにシャープさを感じさせるところ。フロント同様、直線的で凹凸感に富んだ面構成に加え、従来のL字型を止め、シャキッとした切れ味の横長ランプの印象が大きいようです。
こうして新型を見てみると、最近の立体的な造形と同時に、面の表情もよりシンプルでスッキリした表情に移行しつつあります。
ライバルのメルセデス・ベンツは少し前から曲面重視のシンプル路線を極めていますが、BMWはまた少し違った切り口を考えているようです。
ちなみに、件の巨大なグリルとこの立体的造形は、少なくとも以前のボディよりは相性がよく、新しい5シリーズを見てもだいぶ違和感が減りました。ただ、それでもまだ「デカいなあ」と思わせるのも事実で、このシャープなボディデザインを前提に、いま一度全体の中で再構成してはどうか?と思えます。