■全項目で基準を満たしていたが、出荷と販売再開は認証当局立会いでの試験後に
以前お伝えしたように、ダイハツとトヨタは、ダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズの日本向けハイブリッド車のポール側面衝突試験(UN-R135)に関する認証手続きに不正があったと明らかにするのと同時に、出荷および販売を停止していました。
ユーザーにとっては、命にも関わる衝突安全性能に関する認証手続きの不正だけに、安全性の確認は気になるはず。
両社は、ロッキー/ライズのハイブリッド車のユーザーの不安を払拭するため、自主的に安全性能を確認するための社内試験を実施し、2023年5月26日に内容を発表しました。
5月24日にダイハツの滋賀テクニカルセンターで行われた試験は、車両が電柱などに横から衝突した際の安全性について確認されています。
試験は、電柱などに模したポールに32km/hで車両側面を衝突させるもの。「乗員の衝撃(傷害値)が法定基準を満たしていること」「ドアの外れや開放がないこと」「衝突後の燃料漏れの量が一定値以下であること」というポール側面衝突基準を満たしているかが確認されました。
乗員の衝撃(傷害値)では、頭部傷害基準(HIC)、肩部荷重(kN)、肋骨変位(mm)、腹筋変位(mm)、下部脊椎加速度(G)、恥骨結合部荷重(kN)のいずれも社内テストで基準を満たしていることを確認。ドア外れ・開放もなく、燃料漏れ(5分、30分)も所定量以下で、全項目で基準を満たしたとしています。
気になる今後の対応については、今回の試験はダイハツ社内試験であり、認証当局が確認したものではないため、出荷・販売は認証当局立会いでの試験や、ロッキー/ライズのハイブリッドに関するそのほかの認証項目の確認など、必要な手続きを当局と相談しながら進めるとしています。
ダイハツは、今回の不正に関して、経営陣が現場に寄り添えず、法令遵守や健全な企業風土の醸成が疎かになる中で、正しいクルマづくりを見失い、不正行為を発生させたと考えているそう。
全員で立ち止まり、不正行為をせざるを得なくなった背景や環境、真因を徹底的に究明することで、改善、再発防止に取り組むとしています。
課題を出し切ることで、二度と同じ過ちを繰り返さない体質に変わる決意を掲げ、現場の声に耳を傾けながら、全社を挙げて取り組むと表明しています。
また、トヨタグループは、5月12日にグループ各社トップが集まり「トヨタグループとして誠実にものづくりに向き合う」べく認識を新たにしたそう。
現在、ダイハツも含め各社が全社を挙げて、これまでのガバナンスの在り方などにつき、改めて検討し、徹底的に見直しを始めているそうです。
トヨタは、今回の件についても、個人や職場の問題としてではなく、個人や職場が不正を行わざるを得なかった会社全体の問題としてとらえ、ダイハツと共に現場の声に耳を傾けながら、丁寧に対応していくとしています。
(塚田勝弘)