トヨタ・ライズ、ダイハツ・ロッキーのHV車が出荷・販売を停止。ポール側面衝突試験の認証手続き不正で

■今後の対応は、改めて発表される

以前お伝えしたように、ダイハツは、タイやインドネシアなど海外向け4車種の側面衝突試験の認証申請で不正行為があったと記者会見を行い、トヨタも豊田章男会長、佐藤恒治社長が自社メディアで緊急会見を行っています。豊田会長は、タイでも謝罪に追われています。

なお、最初のダイハツによる会見では、日本国内向けは、直接関係ないと説明されていました。

ハイブリッド車のポール側面衝突試験(UN-R135)の認証手続きに不正があったダイハツ・ロッキー(ハイブリッド)
ハイブリッド車のポール側面衝突試験(UN-R135)の認証手続きに不正があったダイハツ・ロッキー(ハイブリッド)

2023年5月19日、ダイハツは、海外向け車両の側面衝突試験(UN-R95)の認証申請で不正行為があったことを公表後、社内での点検を行う中で、新たにダイハツ・ロッキー、トヨタ・ライズのハイブリッド車のポール側面衝突試験(UN-R135)の認証手続きに不正があると明らかにしました。

ポール側面衝突試験(UN-R135)の要件
ポール側面衝突試験(UN-R135)の要件

ダイハツ・ロッキー、トヨタ・ライズのハイブリッドは、2023年5月19日に出荷、販売が停止されています。

対象となるのは、ダイハツ・ロッキー(ハイブリッド)が2万2329台、トヨタ・ライズが5万6111台。

なお、2022年度の登録車販売ランキングでトヨタ・ライズ(ガソリンエンジン車も含めた全モデル)は、7万124台(前年比82.8%)で10位にランクイン。ダイハツ・ロッキー(ガソリンエンジン車も含めた全モデル)は、2万2022台(前年比105%)で29位。

一時期の勢いは弱まってきたとはいえ、とくにトヨタ・ライズは、登録車(コンパクトSUV)の売れ筋モデルです。

トヨタ・ライズ(ハイブリッド車)も対象になる
トヨタ・ライズ(ハイブリッド車)も対象になる

今回の不正は、海外向け4車種とは、車種も内容も異なりますが、安全性に関わる衝突試験(認証申請)での不正行為という共通点があります。

ロッキー、ライズともにハイブリッド車が対象
ロッキー、ライズともにハイブリッド車が対象

ポール側面衝突試験(UN-R135)は、電柱などとの側面衝突を模した試験で、2018年6月15日以降の新型車(認可取得車)に適用されています。同試験は、衝突速度32km/h(軽自動車は26km/h)、衝突角度75°で行われます。

ポールの直径は、254mm。運転席に搭載された男性ダミーへの入力値(頭部、胸部、腹部など)が一定値以下、ドアが外れない、衝突後の燃料漏れの量が一定値以下であることが要件になります。

同試験では、運転席、助手席両側の試験をする必要があり、当然ながら試験データの提出も必要になります。

今回の不正では、助手席側(左側)は試験を実施し、運転席側は、右側の社内試験データを提出するはずが、助手席(左側)のデータを提出となっていました。なお、今後の対応は、改めて発表するとしています。

最近では、日野自動車のエンジン認証不正問題もあり、今後のトヨタ・グループの対応が問われることになります。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
続きを見る
閉じる