日産「スカイラインGT-R」がデビュー戦JAFグランプリ制覇。当時約150万円のGT-Rは今や2000万円超ざらの中古相場【今日は何の日?5月3日】

■スカイライン(3代目)GT-RがJAFグランプリで鮮烈なレビューを飾る

1969年のJAFグランプリTSレースに出走するスカイライン2000GT-R
1969年のJAFグランプリTSレースに出走するスカイライン2000GT-R

1969年(昭和44年)5月3日、日産自動車の「スカイライン2000GT-R」がデビュー戦のJAFグランプリレースで優勝を飾りました。

スカイライン2000GT-Rは、1968年に登場した3代目スカイライン(通称、ハコスカ)の2000GTをパワーアップした最強モデルとして、翌年にデビューしました。

●3代目スカイラインにも人気の2000GTを設定

1964年にレースのために100台生産されたスカイラインGT
1964年にレースのために100台生産されたスカイラインGT

「スカG伝説」と呼ばれる語り草が始まったのは、1964年の第2回日本グランプリでのこと。2代目スカイラインにグロリアの直6エンジンを搭載したプリンス「スカイラインGT」が、最終的にはポルシェ904に負けはしたものの、わずかでもポルシェを抜き去って先頭を走ったことに始まります。

翌年には、スカイラインGTをベースにした「スカイライン2000GT」がデビューして、多くのファンを魅了しました。

その後もスカイラインは進化を続けますが、スカイラインを生んだプリンス自動車は、1966年日産に吸収合併されます。

1968年にデビューした3代目スカイライン(ハコスカ)
1968年にデビューした3代目スカイライン(ハコスカ)

1968年8月にモデルチェンジした3代目スカイライン(通称、ハコスカ)がデビュー、1.8L直4と2.0L直6 SOHCエンジンが用意されましたが、なかでも2代目から受け継いで進化させた2.0L直6エンジンを搭載した2000GTは、スタイリッシュな風貌佇まいとともに、大きな人気を集めました。


●レースで敵なしの破竹の49連勝を飾ったGT-R

1969年にデビューしたスカイライン2000GT-R
1969年にデビューしたスカイライン2000GT-R

そして1969年2月には、2000GTをさらにパワーアップした「スカイライン2000GT-R」がデビュー。

エンジンは、先代の「スカイライン2000GT」に搭載されたグロリア用直列6気筒2Lエンジンをベースに、DOHC化して3連キャブ仕様とした「S20型」で、最高出力160PS/7000rpm・最高速200km/hを誇り、サスペンションやブレーキなども最新の技術が盛り込まれ、スカイラインGT-Rはライバル達を圧倒しました。

発売直後の5月3日に開催されたJAFグランプリで、スカイライン2000GT-Rはレースデビュー。辛勝ではありましたが勝利をおさめ、ここからGT-Rの破竹の連勝が始まりました。

その後も進化しながら他を寄せつけない圧倒的な走りで、スカイラインGT-Rは1972年まで国内レース49連勝という金字塔を打ち立て、伝説となったのです。

ちなみに、50連勝にストップをかけたのは、マツダのロータリーエンジン搭載車「サバンナRX-3」でした。

●現在も日本のスポーツモデルの最高峰に君臨するGT-R

「GT-R」は、1972年に登場した4代目スカイライン(ケンメリ)にも設定されましたが、排ガス規制に対応できず、わずか3ヶ月という短命モデルに終わりました。

その後、一時GT-Rは封印されましたが、1989年に2.6L直6ツインターボエンジンを搭載したR32型スカイラインGT-Rとして復活。さらに、9代目のR33型(1995年)、10代目のR34型(1999年)とスカイラインGT-Rがラインナップされて進化を遂げます。が、ここでスカイラインGT-Rは、日産の当時の経営不振の影響により一旦生産を終了してしまいます。

日産GT-R 2022年モデル
日産GT-R 2022年モデル

その後5年のブランクを経て2007年に登場したのが、3.8L V6ツインターボを搭載し、スカイラインの冠が取れたR35型「日産GT-R」。

最高出力は、R34型の280PS/最大トルク40kgmから480PS/60kgmへと大幅に向上し、最高速度は300km/hを超えました。その後もGT-Rは進化を続け、現在の最高出力は570PS(NISMO仕様で600PS)まで向上しています。

ちなみに価格は、2007年発売時には777万円でしたが、性能向上とともに上昇し、現在はエントリーグレードでも1000万円を超えています。


ハコスカGT-Rは、当時約150万円でしたが、現在の中古相場ではほとんどが2000万円を超え、状態の良い個体では3000万円を超えるものもあります。日本のモータースポーツや高性能技術は、GT-Rを中心に発展したと言っても過言ではないのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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