ホンダ「インテグラ」2代目デビュー。リッター100psのVTECエンジンも登場し、価格は146.5万円〜【今日は何の日?4月19日】

■“かっこインテグラ”のCMとともに2代目インテグラ登場

1989年にデビューしたインテグラ。100PSLを超えるVTECエンジンを搭載。
1989年にデビューしたインテグラ。100PSLを超えるVTECエンジンを搭載。

1989(平成元)年4月19日、ホンダの「クイントインテグラ」がモデルチェンジしてクイントの冠が取れた2代目「インテグラ」がデビューしました。

インテグラは、ホンダ初の高性能VTECエンジンを搭載したスペシャリティカーとして、大ヒットを記録しました。


●クイントの不振を打開するために登場したクイントインテグラ

1980年にデビューしたクイントは、「シビック」と「アコード」の中間のコンパクトカーでしたが、やや中途半端な位置づけだったために販売は低迷。そのクイントがモデルチェンジして登場したのが、クイントインテグラです。

1985年にデビューしたクイントインテグラ。クイントのスポーティなモデルとして登場
1985年にデビューしたクイントインテグラ。クイントのスポーティなモデルとして登場

クイントインテグラは、実用性重視のクイントから一転、スタイリッシュなフォルムで走行性能を追求したスポーティなモデルへと変貌。フロントマスクは、低いノーズで当時流行っていたリトラクタブルヘッドライトを採用し、パワートレインは1.6Lの高性能DOHCエンジンと5速MTおよび3速ATの組み合わせで、駆動方式はホンダが得意とするFFでした。

こうして出来上がったクイントインテグラは、シビックよりも安定した走り、プレリュードよりも小気味よい走りで、国内外で人気を獲得しました。

●2代目“カッコインテグラ”で人気が爆発

1989年に登場した2代目は、車名からクイントが消えて、インテグラの単独ネームとなり、リトラクタブルヘッドライトから横長ワイドのヘッドライトに変更。スポーティなワイド&ローのウェッジシェイプのフォルムに、3ドアクーペと4ドアハードトップが設定されました。

インテグラの3ドアハッチバックスタイル
インテグラの3ドアハッチバックスタイル

エンジンは、1.6L直4 SOHCのデュアルキャブ仕様と電子制御噴射PGM-FI仕様、そして最上級グレードには注目の新開発1.6直4 DOHC VTECエンジンを搭載。160PSを発揮したVTECエンジンは、NA(無過給)で初めてリッター100PSを超えた記念すべきエンジンであり、“エンジンのホンダ”を世界に再認識させた名機となったのです。

146.5万円~170.8万円で販売されたインテグラは、TVコマーシャルに当時“バック・トゥ・ザ・フューチャー”で人気となったマイケル・J・フォックスを起用し、CM中の“カッコインテグラ”のフレーズとともに、大ヒットモデルとなりました。

●2代目インテグラとともに誕生したホンダの心臓VTECエンジンの歴史

VTEC(バリアブル・バルブタイミング&リフト・エレクトリック・コントロールシステム/ブイテック)は、2代目インテグラとともに誕生し、特定回転で低速カムと高速カムを切替えることで、バルブリフトとバルブタイミング(バルブ開閉時期)を可変化する機構。これにより、ポンピングロス低減、吸気量増大、排気ガスの掃気を制御して、高出力、低燃費、低排ガスを実現するのです。

インテグラ搭載の160PSを発揮した1.6L DOHC VTECエンジン
インテグラ搭載の160PSを発揮した1.6L DOHC VTECエンジン

その後もVTECは進化してバリエーションを増やし、“DOHC VTEC”は歴代のタイプRやS2000など高性能モデルで採用され、2000年にはVTECに加えて吸気バルブの開閉時期の位相を連続的に変化させる現在のホンダの標準的な機構の“i-VTEC”、4代目「シビックタイプR」で採用された“VTEC TURBO”も登場しました。

変わったところでは、V6エンジンに採用されているVCM(気筒休止システム)も生み出されています。VCMは、パワーを必要としない定常運転などでは6気筒のうち3気筒を止めて燃費を向上させるシステム。VTECのリフトを極低にして、3気筒の燃焼を止めて休止状態にするシステムです。

現在は、各社が独自の可変バルブ機構を標準的に採用していますが、VTECはその中心的な存在で進化し続けています。


2代目インテグラは、クルマ自体の魅力もさることながら、度肝を抜いた100PS/L越えのVTECエンジンと奇抜な“カッコインテグラ”のCM、これらの相乗効果で人気が爆発したのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
続きを見る
閉じる