■選定基準はサスティナビリティ!
4月12日(水)、スーパー耐久シリーズを運営するスーパー耐久機構/STOは、2024年からブリヂストンが公式タイヤサプライヤーとなることを発表しました。
スーパー耐久は早くからコントロールタイヤ制をとっており、2017年までがヨコハマ、2018年から2020年がピレリ、2021年から2023年シーズンがハンコックとなっていました。
2018年からは、概ね3年契約でオフィシャルタイヤサプライヤーを選出しており、現在のハンコックも2023年で一旦契約が終了します。
ハンコックとの契約は3年でしたが、2年のオプションがついており、最大で5年契約ということでしたが、今回はその2年のオプションを使わなかった、ということになります。
そして、2024年からのオフィシャルタイヤサプライヤーとしてブリヂストンが選ばれました。が、スーパー耐久シリーズのオフィシャルタイヤサプライヤーになるというのは、大変に難しいことなのです。
特に難しい点としてあげられるのが、1500ccクラスのST-5クラスから、FIA GT3を使うST-Xクラスまでの9クラスに出場する、様々なマシンのタイヤサイズを全て網羅しなくてはいけないことです。
また、同一クラスでも、タイヤサイズに違いがある場合がありますが、その場合も性能をある程度イコールにしなくてはならないなど、開発にはかなりの苦労が出てきます。
そして、それらのタイヤをサーキットに持ち込むだけでもとんでもない量となり、サーキットのその現場で組み付け作業も行います。そんな大事業を年間7戦もこなせる体力が無ければ、オフィシャルタイヤサプライヤーにはなれません。
そんな供給能力に加えて、カーボンニュートラルを実戦で研究するST-Qクラスを擁するスーパー耐久ですから、環境性能も重要視されてきます。
そこで、材料・開発、生産、輸送、使用後のタイヤ処理等、バリューチェーンの上流から下流まで、サステナビリティな取り組みも積極的に推進している点も評価されることになります。
ブリヂストン側としては、そのサスティナビリティをさらに追及するために、ST-Qクラスを使ってタイヤ開発も行うとしているため、供給能力、環境能力、開発ステージとしてのスーパー耐久の活用という点で、スーパー耐久側との理念の合致を見たことで、オフィシャルタイヤサプライヤーとしてパートナーシップが締結されたということとなります。
●エントラントへの配慮も重要
スーパー耐久に参戦するチームのほとんどがプライベーターチームとなり、タイヤへの支出も大きな負担となります。
特に、富士24時間レースともなれば、通常の5時間レースの約5倍の走行時間が1回のレースでのしかかることとなりますから、タイヤの消耗もとんでもない量となります。
エントラントへの配慮として、タイヤの価格を低く設定することも大事ですが、グリップとライフのバランスなども高度に要求されます。ましてや、これからのサスティナビリティを考えるとロングライフ化は必須です。
こういった対応や今後の進化も含めて、スーパー耐久機構は、「エントラントの負担低減」「環境対応」を2024年以降のサプライヤーに求めてきました。それに応えることができるパートナーが、ブリヂストンだったということです。
6年間、韓国・ハンコックの、言わば輸入タイヤで戦ってきたスーパー耐久のレーシングタイヤが、再び国産のタイヤに戻る。しかも、ブリヂストンはスーパー耐久初参戦となります。
タイヤが変われば、レースの組み立ても変わってくるはず。タイヤが変わることで、どのようにレース展開が変わってくるのか、興味は尽きません。
そして、ハンコックのラストイヤーとなる今シーズンの2023年もそのレース展開を脳裏に刻み込んでおきましょう。
スーパー耐久最大のお祭りともいえる、【第2戦 富士SUPER TEC 24時間レース】は2023年5月26日(金)~28日(日)に静岡県・富士スピードウェイで開催です。
(写真・文:松永 和浩)
【関連リンク】
スーパー耐久、2024年からのオフィシャルタイヤサプライヤーをブリヂストンに決定
https://supertaikyu.com/news/20230412.html