スズキ「ジムニー(LJ10型)」誕生。軽自動車の本格4輪駆動車が48.2万円でデビュー【今日は何の日?4月10日】

■唯一無二の軽クロカンとしてロングヒットを続けるジムニー誕生

1970年に登場した初代ジムニー
1970年に登場した初代ジムニー

1970(平成45)年4月10日、スズキの本格4輪駆動の軽自動車「ジムニー」がデビューしました。

頑強なラダーフレームにリジットアクスル、高低2速を備えたトランスファー、大径タイヤを装備したジムニーは、軽の本格4WD車という新しいジャンルを開拓したのです。


●ジムニーの原型は「ホープスターON型」

1967年に発売されたホープ自動車のホープスターON型
1967年に発売されたホープ自動車のホープスターON型

ジムニーの原形は、ホープ自動車が1967年に発売した4WDの軽自動車「ホープON型」です。ホープ自動車は、戦後1950年代から軽3輪および軽4輪の製造販売を行い、林業の作業車や山岳地域や積雪地の足となるクルマを製造していました。

ホープスターON型の最大の特徴は、切り替えレバーの操作だけで、一般路とダート道を2WDと4WDを使い分けて(パートタイム4WD)走行できること。エンジンは、自社生産ができないので、「三菱ミニカ」用の空冷2ストローク2気筒エンジンを搭載していました。

軽自動車初の本格的な4WD車でしたが、販売が振るわず経営難になったため、ホープ自動車は自社生産を諦めて、大手メーカーに製造権を譲渡するという苦渋の決断をしたのです。

●ラダーフレームの軽の本格4WDジムニー(LJ10型)誕生

1968年、スズキが正式にスターホープON型の製造譲渡権を取得しました。エンジンを自社製に載せ替えて大幅な改良を加えた上で、スポーティなスタイリングに変更して、1970年に初代ジムニーを誕生させたのです。

1972年に登場した初代ジムニーの改良型(LJ20)はエンジンを空冷から水冷に変更、今まで幌タイプだけだったものにバンタイプが追加される
1972年登場の初代ジムニーの改良型(LJ20)はエンジンを空冷から水冷に変更、今まで幌タイプだけだったものにハードルーフのバンタイプが追加される

ジムニーは、軽自動車規格の排気量とボディサイズながら、ラダーフレームや頑丈な前後リジットアクスル、高低2速を備えたトランスファー、大径タイヤという本格的な4輪駆動システムを採用。この構成は、その後のジムニーの進化の過程でも引き継がれています。

最高出力25PSを発揮する排気量359ccの空冷2ストローク2気筒エンジンと、4MTのトランスミッションの組み合わせでしたが、車重が600kgと軽量だったので悪路や砂地でも十分な走破性を発揮しました。

当時の4WD車は、オフロードを走破する特別なクルマでしたが、48.2万円で発売されたジムニーは、予想に反して普通のセダンよりも多少乗り心地が悪くても、普通とは違う軽自動車を好むアウトドア派から圧倒的な支持を受けたのでした。

●ジムニーの進化と人気は留まることを知らない

1981年発売の2代目ジムニー(SJ30)
1981年発売の2代目ジムニー(SJ30)
1998年発売の3代目ジムニー(JB23)
1998年発売の3代目ジムニー(JB23)

1981年に登場した2代目(SJ30型)は、初代の小型ジープのイメージからRV風のスタイリングに変貌して、ジムニーの人気は不動となりました。1998年にフルモデルチェンジした3代目(JB23)は、当時流行っていたライトクロカン風の丸みを帯びたフォルムに変わりました。

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2018年登場の現行ジムニー

そして、20年ぶりにモデルチェンジした2018年に登場した現行4代目(JB64型)は、初代や2代目のようにジープ風の四角張ったフォルムに原点回帰。パワートレインは、660cc直3 DOHCターボエンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式は、副変速機付きパートタイム4WDが踏襲されました。

そのほか、最新の安全技術も搭載され、相変わらずの大人気で、発売当初から納期待ちが続き、2022年以降は半導体不足の影響もあり、納期は1年以上かかっているようです。


2023年に入って、スズキの”2030年度に向けた成長戦略説明会“で、欧州に投入予定のBEVラインナップにジムニーらしきモデルがあるとか、インドでジムニー5ドアが発表されるなど、新たな話題が発信されています。

5ドアジムニーは日本に投入されるのか、電動化によってジムニーの伝統である4WDはどうなるのか、大注目です。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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