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■ドリキン土屋圭市は電気自動車をどう乗った?
「ガソリン臭くて、音がうるさくて、手動式のサイドブレーキが付いたクルマが好き!」と公言しているドリキンこと土屋圭市さん。
そんなドリキンに今回は、JAIA(日本輸入車組合)の試乗会で、最新の輸入車BEV(バッテリー電気自動車)4台に一気乗りしてもらいました。
果たして、最新BEVをドリキンはどのように評価するのでしょうか。ここではBYD ATTO 3とVW ID.4を紹介します。
●独特なデザインを狙わず、日本市場に馴染むことを目指したBYD「ATTO 3」
まず試乗したのは、2023年に日本市場に参入したばかりの中国車のe-SUV、BYDのATTO 3です。日本発売モデル第一弾となるATTO 3は2022年2月に中国で販売開始され、オーストラリアやタイといったアジア太平洋で展開されているミドルサイズのSUVです。
ATTO 3のボディサイズは全長4,455mm×全幅1,875mm×全高1,615mmで、トヨタカローラクロスと近くなっています。車両本体価格は440万円と、国産BEVと比べるとかなりリーズナブルとなっています。
BYDのEV専用プラットフォーム「e-プラットフォーム3.0」を採用し、リン酸鉄リチウムイオン電池を採用したブレードバッテリーを採用しています。
最高出力150kW・最大トルク310Nmを発生するモーターをフロントに搭載し、58.56KWhのバッテリー容量を採用することで、WLTCモードで485kmを達成しています。
ATTO 3の内外装のデザインは、スポーティさを強調。外観は日本車の売れ筋モデルに近いデザインを採用し、日本に馴染むことを追求しています。
一方のインテリアは、フィットネスジム×音楽をモチーフにデザイン。トレッドミルに着想を得たセンターアームレスト、ハンドグリップを想起させるドアハンドルなど、ドライブを楽しくさせるデザインを採用しているのが特徴です。
ADASと呼ばれる先進の運転支援システムもATTO 3は充実していて、同一車線内走行支援のナビゲーションパイロットや、死角をサポートするブラインドスポットインフォメーション、自動緊急ブレーキシステムなどを標準装備しています。
また、センターパネルのディスプレイはスマートフォンと連携するだけでなく、使い方に合わせて回転させることが可能です。そして、車両に搭載した通信モジュールでコネクテッド機能を装備しているため、BYDスマホアプリとの連携や、OTAリモートアップデートに対応させる予定とのこと。
それでは、BYD ATTO 3を試乗したドリキンのコメントです。
●ATTO 3はコスパの良さがマル!
「中国はBEV先進国と言われているけれど、実際に乗ってみるとクオリティが高くて侮れないと思ったね。
国産のBEVに全然負けていないし、見た目もあえて個性的ではなく、日本の売れ筋のデザインを採用しているところは、好きではなく嫌われないように仕立てられていると思うよ。
このATTO 3はカタログ値の航続距離は450kmくらいだから、エアコン付けたり、ワイパー使ったりしても300kmは走る。それで良いと割り切れる人にはオススメだね。でも、寒さはBEVの天敵だから降雪地以外だけれど。
ATTO 3の駆動方式はFFだけど、車重が重い割に上手く重量配分しているから乗り心地がいい。シットリしていて、コンフォートな乗り心地と言える。
しかも、ATTO 3の価格440万円は、現在販売されているBEV中ではリーズナブル。補助金を使えば相当コスパが高い。クルマの基本性能は合格レベルだし、価格も安いので、その実力の高さには正直ビックリした」とドリキンも驚いていました。
●エンジンはFF、BEVはRRの駆動を使い分けるのは効率重視のVWらしい
続いてドリキンが試乗したのは、2022年11月に日本市場に導入されたフォルクスワーゲン(VW)がワールドカーと位置づけるBEVのID.4です。
VW ID.4は、電気自動車専用の新しいアーキテクチャーである「モジュラー・エレクトリック・マトリックス(MEB)」をベースに、リアに搭載したモーターによるダイナミックな走り、そして大容量のバッテリー搭載による長い航続距離走行距離が特徴です。
試乗したID.4 プロローンチエディションのボディサイズは、全長4,585mm×全幅1,850mm×全高1,640mmです。車両本体価格はプロローンチエディションは636万5000円。ライトローンチエディションが499万9000円となっています。
BEV専用のMEBアーキテクチャーは、大容量のバッテリーを前後アクスル間のアンダーボディに搭載することにより、長い航続距離を実現するとともに、ロングホイールベース・シートオーバーハング化により、ボディサイズに対して、室内空間の広さは1クラス上のモデルに匹敵しています。
また、重量のあるバッテリーを前後アクスル間のアンダーボディに格納することにより、車両の低重心化と最適な前後重量バランスを実現。さらに、駆動用モーターのビッグトルクを余すことなくトラクションに変換するリア駆動を採用することで、ダイナミックな走行性能を実現しています。
ID.4に搭載されているパワートレインは、試乗したプロローンチエディションは最高出力204ps、最大トルク310Nmを発生するモーターと、77kWhのバッテリーを搭載し、最大航続距離は561kmを達成。
一方、ライトローンチエディションは最高出力170ps、最大トルク310Nmを発生するモーターと、52kWhのバッテリーを搭載し、最大航続距離は388kmとなっています。
ID.4の機能美を突き詰めた外観デザインは、力強さと頼もしさを表現。クリーンで流れるような力強いスタイルながら、様々な空力向上アイテムによりCd値0.28という優れた空力性能を発揮しています。
一方のインテリアは、近未来的なデザインを採用。注目は、従来のシフトノブに代わる新装備ドライブモードセレクターと統合されたメーターディスプレイでしょう。また、乗員スペースを重視しながら、ラゲッジスペースは5人乗車時で543L。後席を全て倒すと最大で1,575Lまで拡大します。
運転支援システムは、全グレードにレーンキープアシストをはじめ、プリクラッシュブレーキシステム、レーンチェンジアシストシステムを標準装備しています。
試乗したプロローンチエディションには、同一車線内全車速運転支援システム「トラベルアシスト」や、突然の体調不良などでドライバーが車両を操作できなくなったときに安全に停止させる「エマージェンシーアシスト」を標準装備しています。
それでは、ID.4を試乗したドリキンのコメントです。
●ID.4は大きなラジコンカーみたい!
「インテリアはシンプルでオシャレでスタートボタンはないし、シフトはメーターパネルの横にあるなど革新的。操作系はタッチパネルで行うけれど、個人的にはダイヤル式のほうが良いと思う。タッチパネルは目線がずれてしまうから。
だったら音声入力を使えばいいというのは乱暴だよ。若い人はいいけど、オレぐらいの年齢になると、使いにくさを感じてしまう。
ID.4はリアにモーターを搭載し、後輪駆動させる。VWの後輪駆動というのは、興味深いよね。VWといえばゴルフをはじめ、FFが代名詞。しかし冷却系の必要ないBEVならばRRのほうが理にかなっているのかもしれない。だからVWが採用していると言えるのかも。
後輪駆動らしくリアタイヤで押し出して、フロントで舵を操作するからハンドリングも自然。溢れるようなトルクがすぐにピークになるから、まるで大きなラジコンカー。ガソリン車との加速フィールとは全然違うよ。
サスペンションのセッティングは硬めだけど、吸収の仕方が上手だから、西湘バイパスの荒れた路面でもゴツゴツしないのはさすが! 運転していて嬉しくなってくるね。
BEVは航続距離走行距離が気になるところだけど、このID.4はバッテリー容量が大きいので航続距離走行距離も長いから安心だね。
BYDのATTO 3とVW ID.4は、自宅に充電器が設置できる戸建てで、ロングドライブ用にもう1台所有できるという条件ならば、最高のセカンドカーと言えるね」とドリキンは話してくれました。
土屋さんのインプレッション動画はこちら ↓ 。
(文・写真:萩原文博)