ホンダ「アコードU.Sワゴン」販売開始。米国生産車を日本に輸入、270万円で販売するもヒットで納車待ち【今日は何の日?4月4日】

■4代目アコードベースの米国で開発・生産されたワゴンを日本で販売

1991年にデビューしたアコードワゴン「アコードU.Sワゴン」
1991年にデビューしたアコードワゴン「アコードU.Sワゴン」

1991(平成3)年4月4日、ホンダは米国生産の「アコードワゴン」を輸入して、日本で「アコードU.Sワゴン」として販売を始めました。

アコードワゴンは、4代目「アコード」をベースにした生まれも育ちも米国の本格的な現地生産車で、日本でも人気を獲得しました。


●シビックの兄貴分として誕生したアコード、日本メーカー初の米国生産も開始

1976年にデビューした初代アコード
1976年にデビューした初代アコード

アコードは、「シビック」よりワンクラス上のアッパーミドルとして1976年に誕生。丸目4灯のヘッドライトに大きなテールゲートをもつ3ドアハッチバックボディに、CVCCの1.6L 直4 SOHCエンジンを搭載。翌年1977年には、4ドアセダンも追加されて人気モデルとなりました。

初のモデルチェンジで1981年に登場した2代目アコードは、ひと回り大きく、スタイルは直線基調を引き継ぎながらもよりシャープに変貌。大型化に伴い、エンジンも1.6L&1.8L直4 SOHCにパワーアップされました。1982年には、米国のメアリズビル工場でアコードの米国生産が開始され、これが記念すべき日本メーカー初の米国現地生産となったのです。

その後、1985年に登場した3代目アコードは、さらに大型化、上級化して、国内外で人気を獲得しました。

●4代目は人気を得られず、シェア拡大のため米国生産車を輸入

1989年にデビューした4代目アコード
1989年にデビューした4代目アコード

4代目アコードは、バブル全盛の1989年に登場。ワールドカーに相応しい先進性と爽快な走りを目指して、ボディサイズをさらに拡大して高級感をアピールしました。

搭載エンジンは、1.8L&2.0L直4 SOHCのキャブ仕様とPGM(電子制御燃料噴射)仕様、さらにトップグレードには2.0L直4 DOHCを設定。しかし、4代目アコードは、ハイソカーブームの陰に隠れ、バブル崩壊後はRVブームの陰に埋もれてしまい、販売は期待通りに伸ばせませんでした。

そこでホンダは、アコードシリーズのシェア拡大のため、1990年3月に米国生産のアコードクーペを日本で発売。1991年4月には、同じく米国生産のアコードワゴンを日本に投入したのです。

●アメリカ風のスタイリッシュなワゴンとして日本でヒット

アコードワゴンのフロントフェイス
アコードワゴンのフロントフェイス

アコードワゴンは、米国のE&Dノースアメリカ(HRA)が中心となって設計・開発し、ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチャリング(HAM)が生産しました。

アコードワゴンのリアビュー
アコードワゴンのリアビュー

セダンと共通のプラットフォームを使用して、専用設計の高剛性ワゴンボディを構築。アメリカンな雰囲気のスタイリッシュなフォルムと、大きな開口のテールゲート、また荷物の量に応じてシートを別々に倒せる6:4分割可倒式リアシートなど、実用性の高さが特徴でした。

パワートレインは、2.2L直4 SOHCエンジンと、キメ細かなシフトパターンが得られるS(スポーツ)モード付4速電子制御ATが用意されました。

アコードワゴンは、日本での車名を「アコードU.Sワゴン」として、輸入車であることを積極的にアピールしました。これにより、アメリカ風のスタイリッシュなモデルというイメージが出来上がり、日本ブランドの輸入車としては異例の、納車待ちが出るほどのヒットになったのです。


当時は、アコードワゴンの他にも結構な数の米国生産の日本ブランド車が輸入されていました。これは、1970年代後半から起こった日米貿易摩擦(日本の黒字/米国の赤字)の解決の一手段だったのです。でも、そんな輸入車で唯一成功したのは、アコードワゴンだけだったようです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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