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■自動車整備士を育む理想の土地は、愛媛!?
2023年の春闘は、自動車メーカーをはじめ多くの大手企業で満額回答や過去最高の回答を得たと報じられています。
大企業に勤めている人はいいだろうけど、そんなのわずか一握りに過ぎない、と思っている人も多いでしょう。でも、ちょっと見方を変えてみるのもいいかも知れません。
日産愛媛自動車大学校の髙橋照雄校長に、この学校で整備士を目指すことについてお話をお聞きしました。
●松山市は“学生にも優しい街”
ーー髙橋校長は日産愛媛自動車大学校校長就任以前は、主に日産自動車で開発に携わってきたんですね。その間、アメリカにも赴任されていたとか。髙橋校長の経歴を教えて下さい。
東京で生まれて、4歳で大阪へ。大学は横浜国立大学で、卒業して日産自動車に入社しました。それから自動車の開発に携わり、5年間はデトロイトとロス、その後3年間はデトロイト地域へ赴任していました。
それから、本校の運営会社である愛媛日産がミャンマーに進出するということで、興味があってやってきました。ミャンマーに整備工場と整備の研修センター(ENATIC Automotive社)を立ち上げ、その後、本校の校長を任されるようになりました。
ーーそれだけ自動車に関わってきて、グローバルな視点や経験をお持ちの髙橋校長ですが、愛媛はとても良いところだとお思いだそうですね。愛媛の良いところはなんでしょうか?
大都市でない県庁所在地はだいたい同じだと思いますけど、松山市ってコンパクトシティなんです。生活に必要なもので、ないものはない。不自由するものがないんです。もしも足りないものがあるとすれば、コンサートやライブなどでしょうか。そういう点は、広島、岡山、広島でもあまり変わらないでしょう。
それに、食べ物が美味しい。野菜・果物、魚介、伊予牛、甘とろ豚、食材は地産地消で調達できます。
気候も温暖で、台風も来ない。海でマリンレジャーもできるし、冬になればクルマで1時間くらい走ればスキーやスノボもできる。松山は平らなので自転車での移動も楽で、学生にも優しいです。
●日産系だからの「知識」と「信用」
ーーそんな愛媛松山にある日産愛媛自動車大学校の特徴を教えて下さい。
メーカー系で国家資格一級整備士を目指す学校は、中国・四国・九州では本校しかないんです。神戸にトヨタ系、京都に日産系がありますが、それより西にはないんです。
また、日産系ですと、最新の電気自動車などを使って実習できます。これからの学生には、一級を目指してもらったほうがいいでしょう。一級でないと電気自動車をはじめ、最新の車両を整備することが難しくなっていくと思います。愛媛日産もそうですが、一級整備士の手当が出るところも多いですよ。
ーーこの地域で生活する卒業生のイメージはありますか?
やはり、日産というブランドを背負って仕事をすることは大きいと思います。胸章も日産自動車と愛媛日産では同じですし、日産ディーラーに勤めると、地域では大きな企業に入ったということになります。そうすると、例えば将来住宅ローンを借りようと思ったときにも借りやすいわけですよ。
例えば、この地域だったら子育て世代になった場合、年収500万円くらいあったらとても豊かに生活できます。住宅ローンを払って、子供二人を大学に入れるくらいの生活はできると思います。メーカー系正規ディーラーに勤めれば、それも可能だと思いますよ。
●VRを活用してクルマの構造を透視!
海外や自動車への広い視野を持つ髙橋校長が、いま取り入れようとしているのがVRによる実習授業。
VRとは、御存知の通りバーチャル・リアリティのこと。ゴーグルをかけ、コントローラを操作して、様々なシチュエーションを体験できるものです。
例えば、車両の見えにくい部分を先生が実物を使って説明しようとすると、数十名の生徒がいたら、そのうちの数人しかよく見えるところで教わることができません。でも、VRを使えば全員が均等な“視界”を得ることができるわけです。リアルでは見えない、例えばエンジンの内部やブレーキの構造などを「透かして」見るようなことも可能になります。
実際に試してみると、思った以上にリアルで没入感があります。エンジンなど、リアルでは持ち上げることなんか出来ないような
パーツだって、手にとってひっくり返して見てみたり、ドラムブレーキの中に入ってその構造を見ることが出来たりするのです。車両そのものも、外から眺めることはもちろん、そのままボディをすり抜けて内装を見ることもできます。
想像以上にハマりました。やっていて楽しいのです。生まれたときからインターネットがあって、ゲームが日本の代表的産業になってから生まれた現在の若者世代だったら、私以上に興味を持って、すぐに使いこなすことができるでしょう。クルマそのものや整備より、VRから興味を持ってもらうこともできるのではないでしょうか。
●恵まれた環境で学び、育み、働くという理想の生活
日産愛媛自動車大学校は、姉妹校5校のうち、もっともこぢんまりとした学校で、基本的に1級または2級の整備士国家資格を取るコースしかありません。けれど、それだけ先生と生徒の距離が近く、親身になって授業や生活面の面倒をみてくれるに違いありません。
そして、自然豊かで美味しいものも豊富、仕事以外の楽しみも手軽にできて家庭や子供を育むのにはこれ以上ないという環境に恵まれています。
そういった土地柄で学生時代を過ごし、地元に根ざした“人に必要とされる”自動車の整備をして、周囲から感謝される仕事を生業(なりわい)とする。
なにか、人間としてすべてに理想的な生活が見えてくる気がしませんか?
自動車を通じて世界中を見てきた髙橋校長が、この愛媛の地で学生を育てようとしているわけが見えてくる気がしました。
(文&写真:小林和久)
・日産愛媛自動車大学校
住所:〒790-0065愛媛県松山市宮西2丁目8-27
https://www.nissan-gakuen.ac.jp/ehime/
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