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■クラウンを凌ぐ広い室内空間がアピールポイント
1982(昭和57)年3月24日、トヨタから初代「カムリ」がデビューしました。
初代カムリは、当時ブームに火が付いていた「ハイソカー」を意識した直線基調のシャープなスタイルの高級ミドルセダンで、同時に兄弟車として「ビスタ」もビスタ店(現在のネッツ店)から発売されました。
●カムリの原形となったスポーツセダンのセリカ・カムリ
1980年、2代目カリーナをベースにしたスポーティなミディアムセダン「セリカ・カムリ」が登場しました。ベースになったのはカリーナですが、グリルは「セリカXX」と同じメッキ製T字バーのグリル、ホイールデザインは「セリカ」と共通で、セリカの流用品や類似品が多く使われました。
ただし、セリカの名を冠していた割に1.6Lと1.8L直4 SOHCエンジンは力不足で、人気を獲得することはできませんでした。人気挽回のために、2.0L直4 DOHCのEFI(電子制御燃料噴射)エンジンを搭載したGTモデルを追加するなどして商品力の強化を行いましたが、それでも販売は振るいませんでした。
結局、セリカ・カムリは1982年にベースのカリーナがモデルチェンジしたため、2年の短命で販売を終え、セリカの名を取ったカムリにバトンを渡したのです。
●FFレイアウトの初代カムリは、日本より海外で人気モデルに
トヨタ初のFF車は1978年発売のターセル/コルサですが、横置きエンジンのFF車はカムリが最初でした。
カムリは当時ブームに火が付いていた“ハイソカー”を意識した直線基調のシャープなスタイルを採用。最大のアピールポイントは、何といってもFFパッケージングによって、当時のFR車クラウンを凌ぐ広い室内を実現したこと。
パワートレインは、セリカにも搭載されていた1.8L直4 SOHCと5速MTの組み合わせですが、車重が比較的軽かったので、2.0Lクラスの走りが実現されました。
初代カムリの国内販売は期待されたほど伸びませんでしたが、居住性の高さは海外、特に米国で高い評価を受けて大ヒットを記録。1986年に登場した2代目は、スポーティなスタイルとハイソカーブームが相まって、国内でも人気を獲得したのです。
●国内では地味ながら、海外ではグローバルなロングセラーモデル
その後、カムリは国内では大ヒットとはならないまでも堅調な販売を続け、一方、北米ではヒットモデルとして人気を博しています。
2017年に登場した現行(10代目)カムリは、トヨタの新しい設計思想「TNGA(Toyota New Global Architecture)」に基づいてプラットフォームやパワートレインなどすべてを一新、スポーティでエモーショナルなフォルムに変貌しました。
パワートレインは、新開発の2.5L「ダイナミック・フォース・エンジン」と、プリウスと同じ「THS II」ハイブリッドシステムの組み合わせ、駆動方式はFF。これにより優れた動力性能と低燃費を達成、燃費は33.4km/Lと先代よりも30%以上改善し、人気を博しています。
カムリは、低迷する国内セダンの中で現在も1万台/年程度の堅調な販売台数をキープしています。比較的地味な存在ですが、世界的にみれば累計販売1800万台を超え、特に米国ではベストセラーモデルに輝く人気モデルです。
しかし、海外での販売は続くのですが、国内では残念ながら販売終了とのニュースが2023年3月22日に飛び込んできましたね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)