トヨタ「ハイラックス」誕生。初代はトヨタと日野の共同開発した小型ピックアップ【今日は何の日?3月21日】

■今も続くグローバルなロングセラーのハイラックス誕生

1968年に誕生した初代ハイラックス
1968年に誕生した初代ハイラックス

1968(昭和43)年3月21日、トヨタのピックアップトラック「ハイラックス」が誕生しました。

トヨタの「ライトスタウト」と日野自動車の「ブリスカ」の統合後継モデルで、トヨタが企画し、日野が開発と生産を担当した共同開発のグローバルモデルです。

●人気のランクルのタフさを継承した小型ピックアップ

トヨタと日野の共同開発で誕生したハイラックスは、当時すでに米国で人気を獲得していたランドクルーザーのタフネスさを継承した、積載量1トンの小型ピックアップトラックです。

初代ハイラックスの1トン搭載の荷台
初代ハイラックスの1トン搭載の荷台

耐久性に優れた頑強なセパレートフレーム構造に、スタイリッシュなデザイン。

パワートレインは、70PSを発揮する1.5L(その後、1.6Lに変更)直4 OHVエンジンと4速MTの組み合わせ。サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアはリジットアクセルを採用、駆動方式はFRでしたが、1年後に4WDが追加されました。

当時のトヨタは、積極的に米国進出を狙い、ハイラックスも初代からピックアップの本場である米国に「トヨタトラック」の名で輸出。

米国には比較的少ない小型トラックながら、タフで壊れない高い信頼性と使い勝手の良さが評価され、米国でも人気を博しました。

●RVをけん引した派生車ハイラックスサーフ誕生

4代目ハイラックスの派生車として、1984年に初代「ハイラックスサーフ」がデビューしました。

1984年発売の初代ハイラックスサーフ
1984年発売の初代ハイラックスサーフ

1980年代、日本は空前のアウトドアブームが起こり、多くの荷物を積んでどこにでも行ける走破性の高い4WD車が人気となりました。

ハイラックサーフは、ハイラックスにFRP製トップを設けて広い車室空間と荷室スペースを確保し、当時日本でブームに火が付いたRVに仕立てたのです。

ハイラックスサーフは、その後1980年代後半のバブル景気を追い風に、アウトドア派から高い支持を受け、RVを代表するヒットモデルに。

しかし、バブル崩壊後にスタイリッシュな乗用車系のSUVが人気を集めるようになったことから、2009年に「プラド」に吸収される形で生産を終了しました。

ハイラックスサーフとプラドは同クラスですが、現在、日本の市場が求めているのはピックアップトラック派生のハイラックスサーフではなく、ランドクルーザー派生の乗用車系SUVのプラドなのです。

●ハイラックスEVがタイで公開され脚光を浴びる

2022年末、タイで開催された“タイトヨタ設立60周年記念式典”で、新型ハイラックスREVOのEVコンセプトモデルが発表され、トラックであるハイラックスの電気自動車の登場に、大きな注目が集まりました。

2022年12月にタイで発表されたハイラックスREVOの電気自動車
2022年12月にタイで発表されたハイラックスREVOの電気自動車

タイ政府も、2030年までに国内EV生産の台数を総生産の30%にするという目標を掲げており、タイ国内で1年間13万台以上を販売するハイラックスも、EV化を推進しなければいけないのです。

REVO BEVは、bZ4Xのフロント用80kWモーターをリアに搭載して、リチウムイオン電池を荷台下に搭載。発売は1年以上先ということなので2024年あたりに投入されるかもしれませんが、その後日本への導入も期待したいところです。


55年もの間、世界140ヵ国以上で活躍するハイラックス、トヨタでの累計販売台数はカローラの次に多いそうです。商用車だけに注目は低いですが、トヨタの看板モデルのひとつであることに間違いはありません。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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