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■近未来・都市型モビリティの小型EVを提案
2017(平成29)年3月19日、トヨタがジュネーブモーターショーで小型EVのコンセプトモデル「TOYOTA i-TRIL」を世界初公開しました。
i-TRILは、“走る楽しさを追求する近未来の都市型モビリティ”として、都市生活者のニーズに応える形で提案された小型EVです。
●3輪の小型EVモビリティ「i-ROAD」を4輪に進化させた「i-TRIL」
世界初公開されたi-TRILは、2013年の東京モーターショーで公開された3輪の「i-ROAD」を4輪に進化させた小型EVです。
ボディサイズは、2830/1500/1460mm(全長/全幅/全高)で、空車重量は600kg、ホイールベースは2080mm。クルマの中心にドライバーを配置する(1+2)3人乗り、満充電時の航続距離は200kmです。
i-TRILの車両運動制御には、i-ROADで開発された“アクティブリーン機構”を採用。アクティブリーンとは、コーナリング時に左右の前輪が車体の向きに合わせて自動的に上下してバランスを取って制御する機構です。
その他にも、ドアを開ければ自動的にステップ部が持ち上がる機構、ドライバーズシートがドア側に回転する仕組み、ステアリングは通常のホイール型でなくジェット機のような両手で制御する操縦桿タイプ、またペダル類がないので操縦桿でアクセルやブレーキ操作を行います。
●トヨタ車体は、超小型EVモビリティのコムスを市販化
小型モビリティとして注目されたi-ROADやi-TRILですが、今のところ市販化されていません。しかし、i-TRAILの公開より前の2012年に、実はトヨタ車体から超小型モビリティ「コムス」(価格約80万円~99万円)が市販化されています。
コムスは、可愛いスタイリングにレーシングゲームのような近未来的なコクピットを持つ1人乗りの超小型EVです。
12Vの密閉型鉛電池を使用し、モーターの定格出力0.59kW(最高出力5kW)、最高速度60km/h、満充電(100V)に要する時間は約6時間。1モーターデフ付の後輪駆動で、減速回生ブレーキ、四輪独立サスペンションによって、小型乗用車並みの快適な乗り心地と操縦安定性を実現していました。
コムスは、国交省が認定する超小型モビリティに該当します。その要件は、ボディサイズが軽自動車の規格(3400mm/1480mm/2000mm)内で、乗員定数は2人以下。定格出力は、8kW以下(内燃機関の場合は、排気量125cc以下)で、最高速度は80km/h以下で高速道路は走行できず、地方公共団体等によって交通安全と円滑を図るための措置を講じた場所で運行すること、と規定されています。
自動車メーカーから様々な超小型モビリティが提案されて実証試験が行われていますが、大手メーカーで市販化しているのはコムスだけでしたが、その2021年に後述のトヨタ「C+pod」が市販化されました。
●トヨタから超小型EVのC+pod(シーポッド)デビュー
C+Podは、2人乗りの超小型EVで、2020年12月から法人や自治体にリース販売、2021年12月から個人向けリースが始まりました。
サイズは、全長2490mm/全幅1290mm/全高1550mmとi-TRAILよりさらにコンパクトなことが分かります。
9.06kWhのリチウムイオン電池を搭載し、航続距離159km(WLTCモード)、最高速度60km/hで、高速道路と自動車道路は走行できません。
また、最大1500WのAC100Vコンセプトも装備され、非常用電源としても役立つように設定されており、歩行者障害軽減ボディやエアバッグも装備されています。
トヨタが本腰を入れて投入したC+podが、今後の超小型モビリティの普及を占うことになるかもしれません。ちなみに、価格は165万円~171万6000円です。
超小型モビリティは、特定地域での使用や短距離で走る業務用には適しています。ただし、一般のクルマと混走するような状況では、一般車の流れを阻害する原因にもなりかねません。小型モビリティの普及に向けては、効率的かつ安全に走行できる環境を構築してゆくことも重要です。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)