ホンダは大容量電力を貯蔵するリチウムイオンバッテリーやバッテリー交換ステーションなどを披露【第13回 国際 スマートグリッドEXPO】

■「MEV-VAN Concept」は既存のガソリンエンジン車をEVに置き換え

2023年3月8日、ホンダは「第13回 国際 スマートグリッドEXPO」の出展概要を発表しました。

次世代の電力システムのIT技術、設備などが展示されるイベントで、2023年3月15日(水)から3月17日(金)まで東京ビッグサイトで開催されます。

「第13回【国際】スマートグリッドEXPO」のホンダブースのイメージ
「第13回【国際】スマートグリッドEXPO」のホンダブースのイメージ

ホンダは、2050年に同社が関わるすべての製品、企業活動を通じてカーボンニュートラル化を目指しています。

この目標に向けた取り組みのひとつとして、2023年の「スマートグリッドEXPO」では、電動モビリティとエネルギーサービスをつなぐ展示が展開されます。

自由な移動の提供、再生可能エネルギーの利用拡大に貢献する「Honda eMaaS(イーマース)」の世界観をはじめ、移動と暮らしの可能性を広げる着脱式可搬バッテリー「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」の活用事例を提案。

展示内容を具体的にチェックしていきます。

「Honda Mobile Power Pack e:」は、さまざまな電動モビリティや機器の動力源として活用が可能な1.3kWh以上の大容量電力を貯蔵するリチウムイオンバッテリーです。

再生可能エネルギー由来の電力をバイルパワーパックにためて持ち運びできるようにすることで、電動モビリティや機器の動力として使用できます。さらに、家庭内や屋外での電源、また災害時の電力供給など、移動と暮らしの中で多様な用途への拡大も期待されます。

なお、バッテリーリサイクルの社会的責任の観点から、バッテリー回収に協力する法人向けに販売が行われています。

「Honda Power Pack Exchanger e:」は、複数のモバイルパワーパックを同時に充電し、スムーズな交換、利用ができるバッテリー交換ステーション。街中に設置することで、必要な時に充電済みバッテリーに交換することが可能です。

充電時間を待つことなく、効率よく電動モビリティを利用することができます。

「GYRO CANOPY e: (ジャイロ キャノピー イー)」は、配送業務などで法人向けの「Honda e: ビジネスバイク」シリーズ(ホンダのビジネス用電動バイクの総称)のひとつ。モバイルパワーパックを動力源とするバッテリー交換式のビジネス用電動三輪スクーター。雨や埃など天候の影響を受けにくくするため、大型のウインドスクリーンとルーフが備えられています。

モバイルパワーパック専用充電器のプロトタイプである「Honda Power Pack Charger e: Prototype」は、置くだけで充電がスタート。満充電で自動的に充電を終了するシンプルな構造に加えて、多段の棚に並べて使用することが想定された横挿し設計が施されています。

「Honda Power Pod e: Prototype」は、モバイルパワーパックの充電、給電器のプロトタイプ。モバイルパワーパックから電力を取り出し、非常時の電源や家庭内や屋外での電源として使用できます。また、2台を並列運転することで、より長時間の電力を得ることも可能。

「Honda Mobile Power Pack e:」は、再生可能エネルギー由来の電力を、モバイルパワーパックにためて持ち運びできる
「Honda Mobile Power Pack e:」は、再生可能エネルギー由来の電力を、モバイルパワーパックにためて持ち運びできる

可搬型外部給電器のプロトタイプの「Honda Power Exporter e: 6000 Prototype 」は、電動車両(BEV、FCV、PHEV)から電気を取り出し、交流100V/200V、定格6kVAの出力が可能です。

高品質な電気が求められる精密機器をはじめ、200Vの出力により、大きな電力を要する電気機器に適応するなど、幅広い電力供給ニーズに対応します。

「MEV-VAN Concept」も注目です。既販のモビリティ向け電動パワーユニットシステムのコンセプトモデル。既販のガソリン車などの動力源として置き換えることできるそう。

今回の展示では、軽商用バンN-VANへの搭載例が紹介されます。バッテリーシェアリングによる利便性向上など、固定式バッテリーEVとは異なる利点や価値の提供を検討しているそう。

「小型電動推進機コンセプトモデル」は、モバイルパワーパックを動力源に使う小型船舶向け電動推進機のコンセプト。

海のモビリティにおけるカーボンニュートラル実現への取り組みのひとつとして提案されます。電動による低騒音、低振動、ゼロエミッションに加えて、発進直後から高いトルクでの力強い推進力を発揮。

「eGX搭載電動レーシングカート コンセプトモデル」も披露されます。レースやレクリエーションにおける取り組みのひとつであるモバイルパワーパックと電動パワーユニット「eGX」が搭載されています。

モバイルパワーパックを動力源とする「電動耕うん機 コンセプトモデル」は、電動ならではの簡単始動、ゼロエミッションに加えて、高いトルク性能による優れた作業性を発揮できるそう。そのほか、モバイルパワーパックを活用した下記の事例も紹介されます。

■モバイルパワーパックを活用したモデル
●電動マイクロショベル「PC05E-1」プロトタイプモデル(コマツ)
●電動バイブレーションローラー コンセプトモデル(三笠産業)
●電動ハンドガイドローラー コンセプトモデル(酒井重工業株式会社)
●スプリットライトLED投光機 PL-241SLB(デンヨー)
●YAMAHA MOTOR PLATFORM CONCEPT(ヤマハ発動機)
●秋田版スマート農業モデル創出事業 大玉トマト収穫ロボットコンセプト(デンソー)
●DX-CELLコンセプト(デンソー)

(塚田勝弘)

【関連リンク】

スマートグリッドEXPO公式ウェブサイト
http://www.smartgridexpo.jp/

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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