■ゼブラゾーンを走ると正面衝突する可能性も!
「ゼブラゾーン(導流帯)を走ることは違反ではない」という話があります。
しかし、実際に誰もが積極的に使ってしまうとヤバそうな道路があるのも事実です。
そこで警察庁と警視庁に問題となりそうなケースを提示しつつ、見解を訊いてみました。
この写真の道は、2つの交差点にまたがるゼブラゾーンで、先端と後端が対向する車線の右折レーンに挟まれています。つまり、対向車線を走るクルマ2台が右折のために同時にゼブラゾーンに入った場合、正面衝突する可能性があります。そんな道も例に挙げつつ、どうするべきなのか、警察の見解を伺いました。
双方から右折車両が来た場合、どうなるでしょうか……。
警察庁と警視庁に問い合わせをした結果、集約というカタチで警視庁から戻ってきた回答は、以下のものでした。
「導流帯は車両の安全かつ円滑な走行を誘導するために設けられた場所であります。当該場所を通行すること自体は法令上、違反行為とはなりませんが、導流帯を設けている主旨に鑑みて侵入しないように指導しております」
では、その法令とはなにかというと、「道路標識、区画線および道路標示に関する命令」というもので、その第3章に道路標示という章があり、その中に第9条として、「道路標示の種類、設置場所等は、別表5の通りとする」とあります。
この「別表5 208の2」には導流帯が描かれており、「車両の安全かつ円滑な走行を誘導するために設けられた場所であること」となっています。この導流帯がゼブラゾーンというわけです。
そこで、「導流帯の上は、どう走ればいいのか」という問いを投げてみたところ、「法令上、車両が通行することは想定しておりませんので、通行方法は定められておりません」との回答。
つまり導流帯は、周囲の交通状況から車線を絞るなどの誘導が必要とされた時に、安全かつ円滑な走行のために使われるものなので、誘導の通りに導流帯を避けて走ってしかるべきもの。そのため、導流帯そのものの通行の仕方は存在しないということのようです。
更に加えて、「導流帯の通行実態が認められ、交通の危険を生じさせている場合には、立ち入り禁止部分規制の実施や、物理的に侵入できないようポストコーンを設置するなど、必要な安全対策を検討いたします」というコメントも。
たしかに、写真のようにゼブラゾーン中央に中央線が引かれたようなケースを見つけました。これも、その対策のひとつかもしれません。
なお、高速道路などでも導流帯によく似た標示を見かけることがありますが、これはゼブラゾーンではなく、安全地帯または路上障害物接近を知らせる道路標示です。
ゼブラゾーンの通行は違法ではありません。しかし、この警察の見解を加味して、どうするべきかは考えた方がよさそうですね。
※2021年8月の記事を2023年3月7日に再編集しました。
(古川教夫)
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