ホンダ「シビック タイプR」5代目が2017年ジュネーブモーターショーで初披露、ニュルブルクリンク最速バトルへ再び【今日は何の日?3月7日】

■ホンダのフラッグシップスポーツとしてFF最速の称号を奪還

2017年にデビューした5代目シビックタイプR
2017年にデビューした5代目シビックタイプR

2017(平成29)年3月7日、ホンダがジュネーブモーターショーにて新型「シビック タイプR」を発表、日本では同年9月に発売されました。シビック タイプRは、ホンダのスポーツモデルの象徴として1997年に誕生、5代目はニュルブルクリンク北コース(通称、ニュル)でFF最速のタイムを叩き出しました。


●ホンダのスポーツスピリットを凝縮したシビックタイプR誕生

「タイプR」は、1992年に「NSX」に初めて設定され、1997年に「インテグラ」、そして1997年にシビックにも設定され、ホンダのスポーツモデルの象徴となりました。

1997年に誕生した初代シビックタイプR
1997年に誕生した初代シビックタイプR

初代シビックタイプRは、シビックハッチバック「SiR」をベースに、ボディ剛性を高めた上で低重心化し、サスペンションとブレーキの強化など各部を徹底的にファインチューニング。さらにスポイラーなどエアロパーツ、軽量アルミホイール、MOMO製ステアリング、レカロ製バケットシートなどが装備されました。

心臓部のエンジンは、1.6L直4 DOHC VTECエンジンをチューニングし、最高出力185PS/最大トルク16.3kgmで、リッター出力は世界トップレベルの116PS/Lを発生。レブリミットの8000rpmまで一気に回り、1.6L NA(無過給)とは思えない圧巻の走りを見せました。

●ターボ化してFF量産最速の称号を獲得したプレミアムな4代目

その後も2代目、3代目と進化を続けたシビック タイプRですが、4代目で初めてエンジンがターボエンジンになり、その他にも走行性能を高める様々な技術が投入されました。

4代目シビックタイプRのレース仕様
4代目シビックタイプRのレース仕様

新開発のエンジンは、2.0L直4 DOHC VTECターボで、最高出力310PS/最大トルク40.8kgmを発揮。先代エンジンに対して、最高出力が54%、最大トルクは207%もパワーアップ、最高速度が236km/hから270km/hへと向上し、4代目タイプRがいかに速いかがよく分かります。

4代目タイプRは、日本発売の前2015年3月に、ニュルでタイムアタックを実施。タイムは、それまでのルノー「メガーヌR.S.272トロフィーR」が成し遂げていた記録を4秒上回る、FF量産車最速となる7分50秒63を記録。限定販売台数の750台は、このニュルのタイムに由来しています。

●FF最速の称号をゴルフGTIから奪還した5代目

そして、2017年に発売された5代目シビックタイプRは、先代の走行性能に一層の磨きをかけました。

5代目タイプRに搭載の直噴2.0L VTEC ターボエンジン
5代目タイプRに搭載の直噴2.0L VTEC ターボエンジン

自慢の2.0L VTECターボエンジンをさらにパワーアップさせ、先代の310PSを凌ぐ最高出力320PS、最大トルク400Nmを発揮。6速MTには、変速操作に合わせてエンジンの回転数が自動で調整されるレブマッチシステムが新たに採用されました。

2022年9月2日にデビューした6代目シビックタイプR
2022年9月2日にデビューした6代目シビックタイプR

強力なエンジンパワーを支えるため、高剛性のプラットフォームやマルチリンク式サスペンション、20インチタイヤの採用、前後重量配分の最適化などによって、運動性能が大幅に向上。この発表の翌月4月には、ニュルのタイムアタックを敢行。先の4代目の記録を破ったフォルクスワーゲン「ゴルフGTIクラブスポーツ」のタイムを破り、7分43秒8のタイムで再びFF量産車最速の座を奪還したのです。

ところが、2019年にはメガーヌR.S.272トロフィーRが7分40秒1で再びFF最速の座に返り咲き、現在もその記録は、破られていません。


人気のシビックタイプRですが、5代目は中古車でも400万を超えます。昨年9月に待望の6代目がデビューして多くのファンが期待に胸躍らせましたが、現在は半導体不足の影響もあって受注停止状態。この先ますます入手困難な憧れのクルマとなりそうですね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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