ホンダ「CR-Xデルソル」デビュー。17万円差で電動「トランストップ」も選べるオープンとクーペを1台で楽しめる2シーター【今日は何の日?3月6日】

■初代「バラードスポーツCR-X」に続くCR-Xシリーズの3代目

2002年にデビューした3代目CR-Xデルソル
2002年にデビューした3代目CR-Xデルソル

1992(平成4)年3月6日、ホンダのCR-Xシリーズの3代目「CR-Xデルソル」がデビューしました。

初代「バラードスポーツCR-X」、2代目「CR-X」に続いたのが、CR-Xデルソル。先代のクーペとは打って変わって、トランストップの2シーターオープンカーへと大変身しました。

ルーフは手動と電動トランストップがあり、価格は手動ルーフVXiが137万円、SiRが171万円、本命の電動トランストップSiRが188万円でした(いずれも東京価格)。

●バラードのスポーツモデルとして登場したバラードスポーツCR-X

1980年に誕生した初代バラード
1980年に誕生した初代バラード

1983年に誕生したバラードスポーツCR-Xは、「シビック」の兄弟車「バラード」のスポーツモデルで、パワトレ-ンなど多くのコンポーネントは、シビックの共用品です。

1983年に誕生したバラードスポーツCR-X(初代CR-X)
1983年に誕生したバラードスポーツCR-X(初代CR-X)

最大の特徴は、FFの軽量スポーツモデル“FFライトウェイトスポーツ”という新たなジャンルを開拓したこと。「2+2」シートに割り切ったパッケージングと、軽量化材料の適用によって実現された超軽量車重は、760kg(1.3Lモデル)と800kg(1.5Lモデル)で驚異的でした。

スタイリングは、セミリトラクタブルヘッドライトや低く抑えたボンネット、シャープなテールエンドなど、斬新なワイド&ローのスポーティなフォルム。パワートレインは、1.3L/1.5Lエンジンと3速ATおよび5速MTの組み合わせ。

翌年には、1.6L高性能エンジンを搭載した「バラードスポーツCR-X Si」が追加され、クルマ好きの多くの若者から支持されました。

●2代目は、CR-Xの単独ネームで登場

1987年にシビックが4代目にモデルチェンジすると同時に、バラードスポーツCR-Xも新型に移行、車名はCR-Xの単独ネームとなります。

1987年にデビューした2代目CR-X
1987年にデビューした2代目CR-X

2代目は、ディアドロップ・シェイプと呼ばれるスタイリッシュなフォルム、徹底したフラッシュサーフェイス化などにより、Cd値は0.3を実現。エンジンは、電子制御PGM-FIの1.5L直4 SOHCと1.6L直4 DOHCの2機種が搭載されました。

さらに、ホイールベースの延長や前後トレッドの拡大、サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン式の4輪独立懸架、トーコントロールシステム、ガス封入ダンパーなどの最新メカニズムによって、走行安定性が向上したことも先代からの進化です。

2年後の1989年には、VTECを組み込んだ1.6L直4 DOHCを搭載した「SiR」を設定。NA(自然吸気)エンジンでリッター当たり100PSを超える高性能モデルは、圧巻の走りを見せました。

●3代目は、“デルソル”のサブネームを付けて大変身

3代目CR-Xデルソル
3代目CR-Xデルソル

そして1992年のこの日に登場した3代目CR-Xデルソルは、先代のコンセプトとはまったく異なる大胆なモデルでした。

トランストップ・オープンのCR-Xデルソルのリアビュー
トランストップ・オープンのCR-Xデルソルのリアビュー

先代のファストバックスタイルを一新、トランストップの2シーターオープンモデルへと大変身。電動トランストップは、技術的にはユニークでしたが、同時に用意された手動式に比べると50kg程度重く価格も高かったため、評判はそれほどでもありませんでした。

最高出力170PSを発揮する1.6L DOHC VTECエンジンを搭載した高出力仕様の走りは評価されるも、人気は盛り上がらず、1998年に生産終了となりました。


CR-Xデルソルがデビューした当時、バブル崩壊の影響で小型オープンカーのようなスペシャリティカーの市場は完全に冷え切っていました。しかもオープンカーに大変身したことで、そこには圧倒的な人気を誇ったマツダ「ロードスター」がいました。「両雄並び立たず」ということで、残念ながらCR-Xデルゾルの出番は回ってこなかったのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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