■2023年3月3日〜5日まで渋谷区神宮前で一般公開
「ミニの日」である2023年3月2日(木)、「MINI CONCEPT ACEMAN(ミニ・コンセプト・エースマン)」が日本初公開されました。
次期型MINIは、電動化されることがアナウンスされています。同コンセプトカーは、MINI初のクロスオーバータイプのバッテリーEVモデルで、将来のMINIが示すデザインや最先端技術が搭載されています。
なお、以前お伝えしたように、2023年3月3日〜5日まで渋谷区神宮前の会場で「MINI ELECTRIC FUTURE」と題して、一般公開されました。
「MINI ELECTRIC FUTURE」のプレスカンファレンスには、ビー・エム・ダブリューの長谷川正敏社長、MINIディビジョンのピーター・メダラー本部長、そしてBMWグループ本社からMINIデザイン部門責任者のオリバー・ハイルマー氏も来日。
輸入車ブランド(インポーター)のデザイン責任者が来日することは、他ブランドも含めてそれほど頻繁にあるわけではなく、MINIにとっての日本市場の重要性を伺わせます。なおMINIは、7年連続で輸入車のモデル別新車販売台数で1位になっています。
MINIディビジョンのピーター・メダラー本部長は、クラシックMINIに敬意を表しつつ、次期MINIの電動化に触れ、2022年の好調ぶりを紹介。2022年のMINIの販売実績は、2021年比6%増となる1万9208台に達しています。半導体不足などの逆風下で驚異的といえる数字。中でもジョン・クーパー・ワークスが過去最高を記録したことを報告しています。
MINIのデザインを統括するオリバー・ハイルマー氏は、ドイツ・ミュンヘン出身。BMWグループのデザインチームに約20年間所属した後、2017年にMINIのデザイン部門責任者に就任。MINIデザインのオファーはロサンゼルスで受け取ったそうで、MINIの伝統を引き継ぐ重責を感じながらも、やりがいのある挑戦と受け止め、その日のうちに快諾。MINIチームに入り、MINIとは何か?を学び直すため、3日間のワークショップに臨んだそうです。
MINIという伝統あるブランドを改めて学ぶ中で、次期MINIのデザインも示唆する「MINI CONCEPT ACEMAN」は、「カリスマティック・シンプリシティ」という明快で無駄のないデザイン言語に基づいてデザインされています。
このデザイン言語のもと生まれた「MINI CONCEPT ACEMAN」は、明快で抑制された内外装デザインに、光や動き、インタラクション、サウンドによるユーザー・エクスペリエンスが融合され、スタイルを構築しています。
斬新なカラー・コントラストが採用されたリサイクルのニット織物でできた表面、新しい有機ELディスプレイを備えたインパネのデジタルスイッチ類がシームレスに組み合わされています。
さらに、初めて独立したサウンドデザインが採用されていて、感動を呼ぶドライブサウンド、新しいエクスペリエンス・モードのための本格的なバックグラウンド・サウンドも享受できます。
ボディサイズは、全長4.05m、全幅1.99m、全高1.59m。MINIに期待されるプロポーションを備えながら、モダンなフォルムが与えられています。ボディ、グラスエリア、ルーフという伝統的な3分割にも新しい解釈を付加したそうです。ボディとガラス面は面一化され、空力特性にも配慮。
さらに、従来型まで一般的だったエッジまわりのクロームトリムがなくなり、抑制された明快なデザインをまとっています。ボディ下端のワイドなサラウンド、力強いシルエットのホイールアーチと大径ホイール、印象的なルーフラック、アンダーライド・プロテクションとしてデザインされたフロントとリヤのバランスパネルなどを装備。市街地走行に向くクロスオーバーモデルにふさわしいディテールも特徴です。
オリバー・ハイルマー氏は、同コンセプトカーに「好奇心」「大胆な遊び心」、伝統あるMINIを受け継ぐ「責任感」「高まる鼓動」などのキーワードを散りばめたと説明します。
目立つ存在であること、今までやってきたことを注ぎ落としてシンプルに、MINIファンにとって温かみも感じられる安心感、そして美しさを超える存在であることを目指したそう。MINIのデザインチームは、MINIブランドを再定義するという意気込みで、若いユーザーに振り向いてもらえる存在であることも掲げたそうです。
エクステリアは、ひと目でMINIのコンセプトカーと分かる仕立てでありながらも、随所に新しさを抱かせます。印象的なヘッドランプやバッテリーEVならではのシンプルなフロントグリルをはじめ、ヘッドライトからボンネット、フェンダー上につながる「山」は、クロスオーバーであることを主張。
ヘッドライト下のエレメント(オレンジ色のパーツ)は、スピーカーになっていて、音が流れていました。ヘッドライトとグリルは、プログラムされた模様を発光させ、コンセプトカーならではの仕掛けも用意。サイドビューもMINIらしく、サイドの斜めの線や四角形をモチーフとしてデザインのディテールが目を惹きます。洗練されたホイールアーチには、星のようなペイントが施され、丸みを帯びたサーフェイスも特徴。
さらに、ルーフも特徴的で、アクセントとなるカラーが配されているだけでなく、ルーフラックの上をのぞくと、ユニオンジャックの模様が描かれています。さらに、テールランプにもお馴染みのユニオンジャックが配されていて、将来はこの英国国旗をモチーフとしたデザインか、ユーザーが好きなデザインをオーダーできるようにもしたいと、オリバー・ハイルマー氏は語っています。
インテリアについては、役員会で1960年代のクラシックMINIの写真(インパネ)を最初に見せたと振り返っています。その心は、クラシックMINIから続く伝統として、ステアリング、インパネ、スイッチという3つのエレメントからなることをプレゼンしたかったからだそうです。将来のMINIも過去のオリジナルMINIと同様に、こうしたデザインを受け継ぎ、現代風に発展させる狙いを語っています。
同時に、レザーやクロームを使用しない、時代が求めるサステナビリティ素材を使い、MINIの隠れた情熱をインテリアに盛り込んだとしています。AIも搭載されたデジタルインパネを「パーソナルモード」にすれば、家族や好きな写真などを表示できるだけでなく、「ポップアップモード」にすれば、初めての街でどんなドライブや観光を楽しめばいいのか、というヒントになる提案も享受できます。
モニターのルーレットを回し、オススメのスポットなどを目的地に設定できるそう。将来のMINIは、インテリアでも音や照明を巧みに使い、没入感のある空間に仕立てるとしています。
なお、次期MINIは、2023年年末までには次期型が披露される模様で、今回のコンセプトカーからも何らかのエッセンスが注がれるはずです。
(文・写真:塚田 勝弘)
【関連リンク】
MINI ELECTRIC FUTURE.
https://www.mini.jp/ja_JP/home/mini_day2023/index.html