SUBARUの新社長「大崎 篤」氏は、エンジン屋スタート、現製造本部長、労働組合専従も経験したエンジニア出身

■パワートレーンの設計や品質保証、カスタマーサービス、製造部門などのほか、労働組合の専従者も経験

2023年3月3日、SUBARUの中村知美代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)が、社長交代について記者発表を行いました。

SUBARUが、2018年に策定した中期経営ビジョン「STEP」を取り組んできた5年間の区切りが社長交代のひとつめの理由。さらに、電動化対応などの大変革期への適応を加速させるため、新たな体制に移行することを目的と説明しています。

今後、新体制にて新たなビジョンが策定されるそう。なお、社長交代は、2023年6月開催予定の第92期定時株主総会および株主総会終了後の取締役会を経て、正式に決定される予定となっています。

SUBARUの新社長に就任する大崎 篤氏
SUBARUの新社長に就任する大崎 篤氏

現中村社長は、過去5年間、完成検査不正問題やコロナ禍、半導体不足など激動の年月だったと振り返っています。意識改革、行動改革が進み、品質改革という成果も生まれたこと、市場(ユーザー)からの一定の成果などが得られ、コロナ禍が落ち着きつつあり、事業環境もある程度落ち着いたこともあり社長交代を決断したとしています。

SUBARUの現中村知美社長
SUBARUの現中村知美社長

新体制では、中村知美氏は、取締役会長に就きます。中村現社長は新社長兼CEOになる大崎 篤氏について、エンジン設計のエンジニア、労働組合、品質保証などで実績を出してきた。現場を大切にして人望も厚い、と評しています。

●大崎新社長は大学時代から富士重工のエンジンを研究

新社長兼CEOになる大崎 篤氏は、直近では、2021年6月に取締役専務執行役員 製造本部長に就任しています。1988年に入社、大学時代に富士重工からエンジンの委託研究開発に携わっていたという事情もあったことで、当時の富士重工に入社したそうです。

製造部門や品質保証、商品企画などを担当してきた大崎新社長
製造部門や品質保証、商品企画などを担当してきた大崎新社長

入社後は、エンジン設計部門からスタートし、トランスミッションの設計などパワーユニットの開発を担当。ものづくりの難しさや楽しさ、会社を休業し、労働組合の専従役員を務め、会社の経営者と議論を交わしたそう。新宿本社を経て、群馬に行ってからはプロジェクトジェネラルマネージャーを務め、品質保証も長かったこともあり、完成検査不正問題にも取り組んできました。直近では、生産部門を担い、電動化対策も担当。商品企画担当時代でとくに印象的なモデルは、最後の自社生産のサンバーなどを挙げています。さらに、トヨタのアライアンスでも商品企画を担当。

現中村知美社長
現中村知美社長

世界的な潮流としての大きな課題、カーボンニュートラルへの対応について大崎氏は、これまでのSUBARUの水平対向エンジンやシンメトリカルAWD、「アイサイト」に代表される高い安全性、ステーションワゴン作りで培ってきた実用性の高さなどを活かしつつ、答えは必ず見つかるはずと語っています。

大変革期を迎えているいま、大崎新社長は、前を見て重責をつとめ、商品開発の上流からアフターパーツまで携わったことから「現場が大切で、答えはマーケットにある」という想いのもと、今後は、新たなビジョンも提示していきたいと語っています。新たなSUBARUづくりをグループ一丸となって作っていきたいとも表明しています。

塚田勝弘

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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