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■ライダーはマルケスとミルの2人体制
2輪最高峰レース「MotoGP(ロードレース世界選手権)」に参戦するホンダのワークスチーム「レプソルホンダ(Repsol Honda Team)」が、新カラーを採用した2023年シーズンのマシン「RC213V」と、参戦ライダーを発表しました。
マシンには、赤・白・オレンジというおなじみのカラーリングを採用しつつも、フロントカウルなど細部を変更。ライダーには、合わせて10回の世界王者となっている2人のスペイン人ライダー、マルク・マルケス選手とジョアン・ミル選手を起用し、2019年以来の王座奪還を狙います。
●ノーズが短くなったフロントカウル
スペインのマドリードで、現地時間の2023年2月22日に開催されたイベントにてお披露目されたのが、2023年モデルのRC213Vです。
カラーリング自体は、ほぼ従来モデルと同じ。赤・白・オレンジを基調とした色合いに、メインスポンサーである多国籍エネルギー企業レプソル(Repsol)のロゴが車体中央の左右に大きく描かれている、おなじみのグラフィックを採用しています。
ただし、2023年型では、2022年型(シーズン前に発表された仕様)と比べ、ホイールをオレンジから赤に変更。また、シート下にはブルーの差し色も入れたことで、全体的によりカラフルなイメージの配色となっています。
一方、装備面などの変更点について詳細は明らかになっていませんが、外観上で分かるのがフロントカウルの変更。特にノーズのせり出し具合は、2022年モデルほど前方に伸びておらず、エアダクトの形状も変わっていますね。また、フロント左右に装着されているウイングレットの形状も、より下側に伸びたような感じになっています。
なお、2022年シーズン途中から採用しているリヤカウルの特大ウイングは、一見すると大きな変更はないようです。まぁ、これら空力パーツについては、シーズン中にさらなるアップデートが施されるかもしれませんね。
ほかにもスイングアームも形状が変わっているほか、マフラーには多くのMotoGPマシンに採用されているアクラポビッチ製を採用。これら装備により、RC213Vのハンドリングやパワー特性などが、どれほど戦闘力を増しているのか気になるところです。
●2人の世界王者がライディング
そしてライダーには、過去にMotoGPで6回、下位クラスのMoto2やMoto3も合わせると合計8回の世界王者に輝いているマルク・マルケス選手を起用。
相棒には、2022年シーズンまでのポル・エスパルガロ選手からスイッチし、MotoGPを撤退したスズキ・ワークスからジョアン・ミル選手が新加入します。
ミル選手も、2020年シーズンのMotoGPで年間チャンピオンに輝いたほか、2017年には250ccマシンで競うMoto3でもタイトルを獲得した経験を持つ実力者。2人の元世界チャンピオンを擁し、ホンダは4年ぶりのタイトル奪還を狙います。
ちなみに、レプソルホンダは、2019年にマルケス選手と共にライダー/チーム/コンストラクターズの3冠を獲得し、タイトルを総ナメにしました。ところが、その後は、マルケス選手の負傷などにより、王座から遠のいています。
ここ数年不調に苦しんだマルケス選手ですが、ホンダによると今は「完全な回復を果たしている」とのことですから、あのダイナミックな走りが再び見られることが期待できます。
ただし近年は、2022年シーズンの3冠(ライダー/チーム/コンストラクターズ)覇者ドゥカティなど、ライバルメーカーのマシンもポテンシャルが急上昇。ホンダのワークスマシンRC213Vが、2023年シーズンにどれくらい性能を向上させているのかも気になります。
29年もの間、ホンダのワークスチームとして闘ってきたレプソルホンダは、今まで最高峰クラスで15回の世界選手権タイトル、183回のGP優勝、454回の表彰台を獲得しています。その名門チームが、2023年シーズンに見事復活を果たすのかは、かなり興味津々ですね。
●2024年のバイオ燃料導入に関する開発も実施
なお、レプソルホンダによれば、2023年シーズンはタイトル獲得だけでなく、マシン開発の面でも「重要なシーズン」になるといいます。それは、次の2024年シーズンから、MotoGPマシンには再生可能燃料、いわゆるバイオ燃料の使用が義務化されるためです。
目的はCO2排出量の削減。2024年には40%以上、2027年には100%を非化石由来の燃料としなければならないそうで、2023年シーズンにはそれを前提としたマシン開発も行う必要があるというのです。
カーボンニュートラル実現に向けたレギュレーション変更も実施されるMotoGPが、今後どのように変わっていくのかも気になるところです。
(文:平塚直樹)