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■コンパクトSUVとして復活するも初代のような人気は得られず
2010(平成22)年2月17日、三菱自動車の3代目「RVR」がデビューしました。
初代RVRはRVブームの1991年に発売され、個性的なRVとして人気を博しましたが、いったん生産を中断。8年ぶりに復活した3代目RVRは、当時人気が出始めていたコンパクトSUVとなって登場しました。
●斬新な室内レイアウトでRVブームをけん引した初代RVR
1991年に登場した初代RVRは、コンパクトミニバンの2代目「シャリオ」をベースにショートボディ化し、2列シートの後席にスライドシートを装備。300mmのスライド幅を持つリアシートによって、リムジンのような広い後席スペースが、最大のアピールポイントでした。
エンジンは、1.8L&2.0L直4ガソリンと2.0L直4ディーゼルターボの3機種が設定され、駆動方式はVCU(ビスカスカップリング)付センターデフ式のフルタイム4WDとFFを用意。また、若者向けにスポーツモデルを積極的に展開し、スポーティな「スポーツギア」や「スーパースポーツギア」を設定して人気を加速させたのです。
高性能エンジンとフルタイム4WDによって、オフロードでも街乗りでも快適に走行できるコンパクトなRVRは、RVの中でも異彩を放ち、RVブームをけん引するモデルとなりました。
●復活した3代目はコンパクトSUVに変貌
人気を博したRVRでしたが、2000年を迎える頃にはRVブームも去り、2002年に2代目でいったん生産を終了。8年ぶりに復活した3代目RVRは、それまでのRVから当時人気が出始めていたコンパクトSUVへと変貌して復活を遂げたのです。
スタイリングは、SUVらしいウェッジシェイプのシルエットへ変わり、大きくイメチェンしました。プラットフォームや基本的な機構は、アウトランダーをベースにし、エンジンは1.8L直4のMIVEC(可変動弁機構)エンジンのみ。また、三菱得意の電子制御4WDや6速スポーツモード付CVTなどを装備して、その安定した走行性能は高い評価を受けました。
3代目RVRは、安定した操縦安定性と走破性を備えた扱いやすいコンパクトSUVでした。しかし残念ながら、競争の激しいSUV中ではその存在感を十分にアピールできませんでした。
2019年にはフロントマスクを精悍な”ダイナミックシールド”へと変更しましたが、反響は今一歩、販売の不振は現在(2023年2月現在)まで続いています。
●4代目RVR登場の可能性は?
昨年2022年9月に、三菱はルノー「キャプチャー」をベースにした新型「ASX」を、欧州で発表しました。ASXは、3代目RVRの欧州での車名です。三菱は一時、欧州市場からの撤退に動き出していたようですが、提携にあるルノーのクルマをベースにすることで再び欧州市場でのテコ入れを始めたようです。
この新型ASXには、ターボエンジンに加えてHEVとPHEVが用意されるとのこと。気になるのは、この新型ASXが、4代目RVRとして国内へ投入されるかどうかです。三菱には、すでに人気を獲得している「アウトランダー」と「エクリプスクロス」の2台のSUVが存在しています。電動化した次期RVRの出番は果たしてあるのか、厳しいのかもしれませんが、どうでしょうか。
現在、三菱はアウトランダーとエクリプスのPHEVが人気となっています。3代目RVRはデビューから13年が経ちました。復活した3代目はSUV市場に乗り込んできたのですが今度はHEV市場か、フェードアウトか起死回生か、初代にRVブームを立ち上げたRVRだけに、4代目が気になりますね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)