マツダのSUV「CX-5」デビュー。先進技術“SKYACTIV“のすべてを採用した渾身の中核モデル【今日は何の日?2月16日】

■躍動感のあるスタイリングと優れた走行性能、燃費が自慢のSUV

2012年にデビューしたクロスオーバーSUVのCX-5
2012年にデビューしたクロスオーバーSUVのCX-5

2012(平成24)年2月16日、マツダはクロスオーバーSUVのグローバル戦略車「CX-5」の発売を始めました。

CX-5は、マツダの先進技術の総称“スカイアクティブ(SKYACTIV)“を、エンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーすべてに採用した初めてのモデルです。

●Zoom-Zoomの技術戦略としてSKYACTIVが誕生

マツダは、2001年に放ったブランドメッセージ“Zoom-Zoom”に、2007年にはブランド価値をさらに高める“サステイナブルZoom-Zoom宣言”を策定しました。これは、地球環境や交通環境のサステイナブルな未来に向けた技術開発に取り組み、ブランド価値をさらに高めるという宣言です。

SKYACTIV技術の基本コンセプト
SKYACTIV技術の基本コンセプト

これを具現化するために掲げられた目標は、当時注目されていたハイブリッドなどの電動化技術に対抗して、独自で世界一のクルマを目指すというもので、ここに新たな技術戦略“SKYACTIV“が誕生しました。

2009年の東京モーターショーでSKYACTIVコンセプトを公開し、2010年10月に正式に新世代技術として発表されました。

●SKYACTIVを構成する7つの技術

SKYACTIV-D(直4ディーゼルターボ)
SKYACTIV-D(直4ディーゼルターボ)エンジン
SKYACTIV-G(直4ガソリン)エンジン
SKYACTIV-G(直4ガソリン)エンジン

SKYACTIV最大の特徴は、エンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーそれぞれの基本技術をすべてゼロから見直し、車両全体を包括的に刷新すること。それらは次の7つの要素から成ります。

“SKYACTIV-G“:世界一の高圧縮比14.0を実現した高効率直噴ガソリンエンジン

“SKYACTIV-D“:世界一の低圧縮比14.0を実現したクリーンディーゼル

SKYACTIV-MT(5速MT)
SKYACTIV-MT(5速MT)
SKYACTIV-DRIVE(6速AT)
SKYACTIV-DRIVE(6速AT)

“SKYACTIV-DRIVE“:スムーズな変速と高い伝達効率を達成した自動変速機AT

“SKYACTIV-MT“:軽快なシフトフィールと大幅な軽量、小型化を実現したMT

“SKYACTIV-BODY“:高い剛性と衝突安全性を確保した軽量車体

“SKYACTIV-CHASSIS“:正確なハンドリングと快適な乗り心地を両立した軽量シャシー

“SKYACTIV-VEHICLE DYNAMICS“:エンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーなどの個々のユニットを統合制御することで、”人馬一体”の走行性能を実現

●SKYACTIV技術をフル採用したCX-5

SKYACTIV技術を最初に採用したのは、2011年の3代目「デミオ」の“SKYACTIV-G”。その後、「アクセラ」にも展開し、すべてのSKYACTIV技術が採用されたのが、CX-5だったのです。

CX-5のダイナミックなリアビュー
CX-5のダイナミックなリアビュー

CX-5のスタイリングは、デザインコンセプト“魂道”に基づいた欧州テイストのダイナミックなフォルムを採用。パワートレインは、2.0L直4ガソリンエンジン“SKYACTIV-G”、および2.2L直4ディーゼルターボエンジン“SKYACTIV-D”の2機種と、新世代6速AT“ACTIV-DRIVE”および5速MT“SKYACTIV-MT”が組み合わされました。

CX-5発売当時は、SUV市場が盛り上がりを見せ始めた時期で、躍動感のあるスタイルと高い走行性能と優れた燃費性能が評価され、SUVの販売トップを記録するなど、マツダ躍進の火付け役であり、マツダの基幹モデルとなりました。

その後も、SKYACTIVはマツダの中核技術としてモデル展開され、2019年発売の「MAZDA3」では、“SPCCI(火花点火制御圧縮着火)”を採用した次世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」が大きな話題を集めました。


カーボンニュートラルが世界中で叫ばれる中、マツダが進める中期計画では、基本的にSKYACTIV技術で内燃機関に磨きをかけて、“内燃機関+電動化技術”で勝負するという方針が進められているようで、そんな姿勢は小気味よくもありますね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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