佐藤恒治新社長が率いるトヨタは「バッテリーEV」「ウーブンの強化」「アジア戦略」を掲げる

■電動化は「レクサス」だけでなく、「トヨタ」ブランドでも推進しながら、全方位戦略「マルチパスウェイ」を維持

2023年2月13日(月)、トヨタ自動車は2023年3月1日付、4月1日付の役員人事、幹部職人事および第119回定時株主総会日付の取締役の体制を発表しました。

以前お伝えしたように、トヨタは、本年1月26日に内山田竹志会長が退任し、豊田章男社長が会長に、佐藤恒治執行役員が社長に就任する人事を発表(2023年4月1日付)しています。

2023年4月1日付の新執行役員
2023年4月1日付の新執行役員

次期社長の佐藤恒治執行役員は、「新しい経営チームのテーマは、継承と進化です。創業の理念を大切にしながら、商品と地域を軸にした経営を実践し、モビリティ・カンパニーへのフルモデルチェンジに取り組んでまいります。もっといいクルマづくりと町いちばんのクルマ屋という、この13年間で豊田社長が浸透させてきたトヨタが大切にすべき価値観があるからこそ、新チームがやるべきことは、実践のスピードを上げていくことです」と決意を語っています。

次期社長の佐藤恒治執行役員
次期社長の佐藤恒治執行役員

佐藤次期社長は、4月1日付の執行役員体制についてチームと表現し、キャプテンとしてチーム(フォーメーション)をまとめるとしています。

同日付の執行役員は、佐藤恒治社長、中嶋裕樹副社長、宮崎洋一副社長、小川哲男本部長(北米本部)、上田達郎本部長(中国本部)、長田 准本部長(渉外広報本部)、Simon Humphries統括部長(クルマ開発センターデザイン領域)、新郷和晃Chief Production Officer、Toyota Compact Car Company(President)となっています。

「RZ450e プロトタイプ」
「RZ450e プロトタイプ」

また、レクサス、GRを担当する幹部職として、渡辺 剛氏がLexus InternationalのPresidentに、GAZOO Racing Companyは高橋智也氏がPresidentに就任します。

佐藤次期社長が表明した重点事業3テーマ
佐藤次期社長が表明した重点事業3テーマ

佐藤次期社長は、具体的にバッテリーEV(BEV)を中心に、3つの分野を重要な事業(重点事業3テーマ)として触れています。「次世代BEVを起点とした事業改革」「ウーブンの取り組み強化」「アジアのカーボンニュートラルの実現」を掲げています。

「レクサス」がBEVで先行すると表明されている中、具体的には新体制移行後にアナウンスがあるそうですが、専用プラットフォームを開発し、「トヨタ」ブランドでもBEVを同時に開発するとしています。

「TOYOTA bZ Compact SUV Concept」
「TOYOTA bZ Compact SUV Concept」

次期佐藤社長は「トヨタ」ブランドの電動化について、水素や合成燃料も活用する全方位戦略「マルチパスウェイ」は変わらないと改めて強調しています。すでにBEVには、数千名規模でエンジニアが開発を推進しているそうです。

一方で、コミュニケーションの問題も含めてBEVにも注力していくというニュアンス。つまり、BEVだけでなく、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、FCVなど多様な選択肢を用意する構えです。アジアも含めてBEVのニーズ拡大に応えつつ、現在求められている多様なメニューを提供するという考え方です。

4月1日付の執行役員体制などについて発表したトヨタ
4月1日付の執行役員体制などについて発表したトヨタ

また「ウーブン」は、近 健太氏が現場のリーダーとして牽引。ウーブン・プラネット・ホールディングスは、2023年4月に社名変更予定で、近 健太氏は、新会社「ウーブン・バイ・トヨタ」専任のChief Financial Officerとして、Arene(アリーン)開発やWoven Cityなどの取り組みを加速するとしています。

「アジア戦略」は、アジア本部長として、カーボンニュートラルやCASE技術の社会実装プロジェクトをリードし、新たなアジア地域戦略を推進するとしています。

そして「電動化」については、桑田正規氏がChief Project Leaderとして、レクサスの「2035年 BEV100%化」に向けた事業戦略をリード。トヨタ自動車九州の取締役副社長も務め、BEVを軸にした九州の生産体制再構築を推進することになります。

最後に佐藤次期社長は、どんな社長でありたいか、という質問に対して、「経営者の役割を担いながら豊田章男社長のように現場に近い、クルマを作る社長であり続けたい」と締めています。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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