日産「フィガロ」がデビュー。パイクカー第3弾は、レトロなクーペスタイルで大人気【今日は何の日?2月14日】

■日産が進めたパイクカー「Be-1」「パオ」に続いたフィガロ

1991年にデビューした日産パイクカーの第3弾フィガロ
1991年にデビューした日産パイクカーの第3弾フィガロ

1991(平成3)年2月14日、日産自動車からパイクカーシリーズ第3弾「フィガロ」がデビューしました。

パイク(Pike)とは、あるコンセプトのためにデザインに特化したクルマを指します。「Be-1」「パオ」に続いて、第3弾としてデビューしたのがフィガロです。

●日産が仕掛けたパイクカーはレトロ風モデル

パイクカーとは、レトロ調や先鋭的なスタイリング、あるいは過去の名車を彷彿させるようなデザイン重視のクルマを指します。個性的であるがゆえに、販売台数や販売期間が限定されることが多く、台数を狙った一般的な市販車とは異なる限定モデルです。

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1987年にデビューしたBe-1。日産パイクカー第1弾

日産のパイクカーは、日本がバブル景気に沸いた1980年代~1990年代に登場したレトロ風の雰囲気が特徴。第1弾がミニクーパーのような「Be-1(1987年)」、第2弾がレトロなオフロードスタイルの「パオ(1989年)」、第3弾が懐かしいクーペスタイルの「フィガロ(1991年)」です。

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1989年に登場した日産パイクカー第2弾パオ

一方トヨタは、日産とは対照的な近未来的なパイクカー「WiLL」シリーズを投入。第1弾がカボチャの馬車をイメージした「WiLL Vi(2000年)」、そしてスパルタンなフォルムが特徴の「WiLL VS(2001年)」、当時のハイテク技術を搭載した「WiLL CYPHA(2002年)」と2弾、3弾が続きました。

年代が離れていることもあり、同じパイクカーでも日産とトヨタではコンセプトが対称的でした。

●お洒落なソフトトップを装備したレトロなクーペスタイルのフィガロ

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フィガロの後ろ外観。なだらかな曲線基調で、ルーフは折り畳んで開閉可能

フィガロは、曲面を基調にしたパステルカラーのボディと対照的な白いルーフで、お洒落感を演出。かつてのフランスのスポーティな小型車を彷彿させるようなクーペです。

ルーフのソフトトップは、中央部分だけを折りたたんで簡単に後部に収納できる優れモノ。インテリアもレトロ調で統一され、シートは本革仕様が標準装備で、メーターやスイッチ類も優雅でクラシカルに仕上げられました。

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フィガロのレトロ調のインテリア

パワートレインは、「マーチ」搭載の1.0L直4 SOHCターボエンジンと3速ATの組み合わせ。

FFらしい軽快な走りができ、個性的で可愛い雰囲気のフィガロは、受注段階で大人気となり、限定2万台を3回に分けて抽選するという変則的な販売が行われました。

●時代を超えて海を越えて中古車市場で大人気

販売が終了したのは30年も前ですが、フィガロの人気は今も続いています。

人気ドラマ「相棒」の主人公・杉下右京(水谷豊)の愛車として使われたり、最近では「せっかくグルメ」で人気コメディアンの日村勇紀の移動車として、黄色のフィガロが番組内で必ず登場します。“あの可愛いクルマは何!?”と評判になっているようです。

価値あるクルマとして、日本に限らず高い人気を保っているフィガロ。一時期は海外、特に英国では人気を集め、多くの中古車が輸出されました。フェラーリ好きで有名な伝説のギタリストであるエリック・クラプトンもまた所有していたというフィガロなのです。

もちろん現在も日本の中古車市場で高い人気を保ち、高値で取り引きされ、500万円のプライスタグが付いていることもあるようです。


燃費や衝突安全など機能や実用性が重視される現在のクルマですが、パイクカーのようなデザインを優先させたクルマを見ると、昔はよかった…と、つい思ってしまいますね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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