モト・グッツィの新型ツアラー「V100マンデッロ/S」が日本上陸。世界初のアダプティブ・エアロダイナミクスとは?

■速度などに応じ自動開閉する画期的なエアロシステムを採用

創立100周年以上を誇るイタリア最古の2輪ブランドが「モト・グッツィ」。その日本正規代理店ピアッジオグループジャパンは、新型のスポーツツアラー「V100マンデッロ」と、上級グレード「V100マンデッロS」の国内導入を発表しました。

V100マンデッロSのフロントビュー
V100マンデッロSのフロントビュー

スポーツモデルのような軽快さと、長距離でも快適なツアラー的要素を合わせ持つことが特徴のこのモデルは、コーナリングABSやトラクションコントロール、クルーズコントロールなど、最新の電子制御システムも満載。

なかでも注目なのが、「アダプティブ・エアロダイナミクス」の採用。ライダーへの走行風を低減する世界初の機構だといいますが、一体このシステムはどんな仕組みで、どんな効果があるのでしょうか?

●モト・グッツィ伝統の90度V型ツイン搭載

V100マンデッロとV100マンデッロS(以下、Sバージョン)は、コンパクトで扱いやすい車体を持ち、スポーティかつ快適な乗り味が楽しめる新型のツーリングモデルです。

V100マンデッロSのサイドビュー(カラーは2121グリーン)
V100マンデッロSのサイドビュー(カラーは2121グリーン)

ウインドスクリーン付きフロントカウルやアップライトなバーハンドルなどを採用するスタイルは、近年人気のスポーツツアラーらしいフォルムを継承。

モト・グッツィのマークを象徴するイーグルをイメージしたというDRL(デイタイムランニングライト)付きフルLEDヘッドライトなどにより、オリジナリティあるスタイルを実現しています。

排気量1042ccのエンジンは、モト・グッツィの伝統といえる90度縦置きV型ツイン(V型2気筒)を採用しつつも、新設計の「コンパクトブロック」を搭載。よりコンパクトで軽量なパワートレインは、スリムな車体に貢献するとともに、低回転域から発生する扱いやすいトルク特性や、心地よい排気サウンドを実現しています。

1042cc・90度縦置きV型ツインを搭載
1042cc・90度縦置きV型ツインを搭載

最高出力は115HP(115ps)/8700rpm、最大トルクは105Nm(10.7kgf-m)/6750rpmを発揮。加速や減速時の不要な反動を排除する逆回転クランクシャフトの採用により、快適な乗り心地や長距離でも疲れにくい特性を生み出します。

また、車体にはスチール製チューブフレームを採用。エンジンを耐荷重エレメントとして利用するなど、独特のレイアウトにより、車体の軽量化と長距離走行での優れた安定性などに貢献しています。

●上級グレードにはセミアクティブサスも採用

サスペンションには、スタンダード仕様が前後ともにカヤバ製を採用し、フロントにはφ41mmフロントフォークを搭載。前後サスともにリバウンドとスプリングプリロードの調整が可能です。

V100マンデッロSには、セミアクティブサスも装備
V100マンデッロSには、セミアクティブサスも装備

また、上級グレードのSバージョンでは、最新のオーリンズ製スマートEC2.0セミアクティブ・サスペンション・システムを採用。オーリンズ社と共同開発したECUがアスファルトの状態などに応じ、最適な減衰力などを自動設定。どんな道でも快適な走りを実現してくれます。

また、ハンドルバーのボタンにより、サスペンション設定のモードを2種類から選択することも可能。コンフォートモードは走行中の快適性を最大限に高める設定で、路面の凹凸を吸収する能力に優れているため、日常的なライディングに最適です。

長距離ツーリングの快適性だけでなく、スポーティな走りも楽しいV100マンデッロS
長距離ツーリングの快適性だけでなく、スポーティな走りも楽しいV100マンデッロS

一方、ダイナミックモードは、公道でのスポーツライディングをサポートするための設定。バイクの挙動を高いレベルで制御すると共に、ワインディングロードなどで軽快な走りを楽しむときに最適です。

ほかにも、Sバージョンでは、クラッチ操作なしでシフト操作ができるクイックシフターや、グリップヒーターなども標準装備。より快適な走りを楽しめる仕様となっています。

●ディフレクターを自動開閉し風圧を制御

そして、前述した世界初のアダプティブ・エアロダイナミクス。スタンダードとSバージョンの両方に搭載されているこのシステムは、速度や選択したライディングモードに応じて、燃料タンクの両側にあるディフレクター(整流板)を自動的に開閉する機構のこと。

速度や選ライディングモードに応じディフレクターが開き、風圧を低減
速度や選ライディングモードに応じディフレクターが開き、風圧を低減

ディフレクターは、停車時や渋滞などの低速走行時は閉じていますが、速度が上がるなど一定の条件下で開きます。そして、これにより、ライダーが必要とする時にだけ風圧からの保護と快適性を提供するのです。

ディフレクターが閉じた状態
ディフレクターが閉じた状態

なお、ディフレクターのフルオープン時に、ハンドル左側にあるスイッチで手動調整が可能な電動スクリーンを最も上にアップすれば(最大90mm)、ライダーに当たる走行風の圧力を22%低減することが可能。

風が強い日はもちろん、高速道路などでの長距離クルージングなどで、ライダーの疲労軽減に貢献するシステムなのです。

ほかにも、コーナー全体を照らし、車体を傾けた際の視認性を高めるパラボラ式補助ライト「ベンディングライト」も採用し、夜間走行時の安全性にも考慮。

メーターには、5インチTFTカラーインストルメントパネルを採用し、燃料残量や気温、選択したギア、燃費など、さまざまな情報を表示することができます。

V100マンデッロのメーター
V100マンデッロのメーター

さらに、オプションのパニアケースは、特殊なシステムの採用により、特別なサポートなしで固定が可能で、高い利便性も誇ります。

ボディカラーは、Sバージョンが「2121グリーン」「アバンギャルドグレー」の2色を設定。スタンダード仕様は「マグマレッド」の1色展開です。

価格(税込)はV100マンデッロが220万円で、V100マンデッロSが264万円。2023年2月6日より受注を開始しており、2023年6月より順次出荷されるそうです。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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