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■3ナンバー化してコンパクトミニバンから脱皮
2005(平成17)年2月7日、マツダのミニバン「プレマシー」がフルモデルチェンジして2代目に移行しました。コンパクトなミニバンとしてデビューしたプレマシーが、3ナンバー化して大きくスタイリッシュに変貌しましたが、激しいミニバン競争の中では苦しい戦いを強いられました。
●コンパクトながら広い室内空間を達成した初代プレマシー
1999年にデビューした初代プレマシーは、当時ブームとなっていたセダンのような取り回しやすさと、広い室内空間の両立を狙った乗用車ライクなミニバンとして登場しました。
大ヒットしていたホンダの「オデッセイ」のような大きなミニバンではなく、コンパクトなサイズで3列シートを備えるために、低いフロアを利用した独自のパッケージングを活用。3列シートは未使用時には折り畳んで荷室を拡大でき、シートアレンジの工夫によって車中泊もできたのです。
パワートレインは、1.8L直4 DOHCと電子制御4速ATの組み合わせ。駆動方式はFFと4WDが用意され、ミニバンブームの中で地味ではありましたが、使いやすさとユーティリティで堅調な販売を記録しました。
●3ナンバー化して進化するもミニバン激戦区では苦戦
そして、2005年にモデルチェンジした2代目プレマシーは、“コミュニケーティブ&ダイナミック”をコンセプトとして、よりスタイリッシュなデザインの3ナンバー車へと変貌したのです。
ボディが大きくなることで、3列シートもそれまでの折り畳み式のものから、きちんと座れる3列シートに変更。また、ボディの大型化に合わせて、搭載エンジンも2.0Lと2.3L直4 DOHCへと排気量を増大させ、より高いレベルで室内空間と走行性能の両立が図られました。
その後2010年にモデルチェンジによって、3代目が登場して進化を続けましたが、ミニバンは人気の激戦区。堅調に売れていたプレマシーも2010年以降は伸び悩み、2017年12月で生産を終えて、3代続いたプレマシーは歴史の幕を下ろしたのです。
●ミニバン3兄弟、残りのMPV、ビアンテも生産を終了
ミニバンブームの中でマツダは、当時3タイプのミニバンを投入していました。
1990年にデビューした「MPV」は、8人乗車でも余裕の乗員と荷室を確保したラグジュアリー志向のファミリーカー。1999年にデビューした「プレマシー」と2008年にデビューした「ビアンテ」は、同じプラットフォームながら、室内スペースを重視したビアンテと、使い勝手の良いプレマシーという棲み分けでした。
しかし、マツダのミニバンは、フルラインでミニバンを揃えるトヨタやホンダ、日産のミニバンには太刀打ちできず、善戦はしたものの、存在感は示すことはできませんでした。
結局、MPVは2016年、プレマシーとビアンテは2018年に生産を終了。マツダはミニバン市場から撤退し、SUVへ集中することを英断したのです。
中堅メーカーのマツダにとっては、全方位戦略でなく“選択と集中”は避けられません。世界的に見れば、日本特有のミニバンブームより、世界的なSUVブームを選択するのは必然だったのです。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)