■日産は、ルノーが設立するEV、ソフトウエアに特化したアンペア社の戦略的な株主に
1999年3月にルノーと資本提携を結び、V字回復を果たした日産自動車。カルロス・ゴーン氏の功罪は別にしても、ルノーによる助け船とゴーン氏の手腕がなければ、今日の同社はなかったかもしれません。
一方で、V字回復後の企業規模で勝る日産自動車とって、ルノーから日産への出資比率43%(日産はルノー株を15%保有)は、いびつな資本関係と指摘されることもあったようです。
新聞などで連日、出資比率見直しの憶測が報じられる中、2023年1月30日(月)、日産とルノーは出資比率を見直し、お互いに15%ずつにするとアナウンスしました。
バランスのとれたガバナンスと、株式の相互保有による事業効率の向上を狙ったもので、日産とルノーグループは、ロックアップおよびスタンドスティル義務を伴う15%の株式を相互に保有。両社とも、同保有株に付随する議決権を15%まで自由に行使できるとしています。
また、ルノーグループは、同社にとって商慣習上合理的な場合、協調的で秩序あるプロセスにて信託会社に信託した日産株式の売却を指示しますが、特定の期間内に売却する義務は負わないことになります。「アライアンス オペレーティング ボード(AOB)」は、各社の調整の場として存続します。
さらに、ルノーグループが設立するEVおよびソフトウエアに特化したアンペア社の戦略的な株主になるべく、日産による同社への出資も行うとしています。加えて、パートナーシップの再構築を目指すべく、ラテンアメリカ、インド、ヨーロッパにおいて、市場やクルマ、技術の3つの視点で展開される主要プロジェクトを推進するとしています。
日産とルノーグループは、パートナーシップの新たな基盤を定めるため、これまで数ヵ月間にわたり協議を重ねてきたそうです。同日明らかにされた内容は、今後、開催される予定の取締役会の承認が必要になるものの、同協議が重要なマイルストーン(ゴールまでの中間地点)を迎えたとしています。
電動化をはじめとした「CASE」などへの対応は、1社では難しいことは間違いなく、こうした内容も協議されているはず。いずれにしても、ルノー日産アライアンスは、新たなステージに向かうことになります。
(塚田 勝弘)