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■デリカスペースギアからD:5へとモデルチェンジ
2007(平成19)年1月31日、三菱自動車の「デリカスペースギア」がモデルチェンジして、新型「デリカD:5」がデビューしました。デリカD:5は、1968年の初代以降、長く人気をキープし続けているデリカシリーズの5代目となり、それまでのRVからミニバンやSUVの機能を重視したモデルへと変貌しました。
●パジェロとともにRVブームをけん引したデリカ
1968年に誕生した初代デリカは、ラダーフレームにキャブオーバーの3人乗りキャビンを組み合わせた小型トラックでした。
クラス初の前席3名乗車がアピールポイントで、エンジンは乗用車「コルト1100」の1.1L直4 OHVを搭載。翌年の1969年には、リアに上開きのドア、左側面にスライドドアを設けたワンボックス型の商用車と、9人乗りの乗用ワゴンの「デリカ・コーチ」が発売されました。
乗用ワゴンのデリカ・コーチが、その後1979年に2代目デリカに進化。1986年の3代目「デリカスターワゴン」と1994年の4代目「デリカスペースギア」は、パジェロとともにRVブームを牽引し、同時に1990年代の三菱躍進の原動力となったのです。
●RVブームが去り、ミニバン・SUV化したデリカD:5がデビュー
RVブームが去った2007年に登場した5代目「デリカD:5」は、先代のスペースギアのオフロード重視から、ミニバンやSUVとしての機能を重視。スペースギアよりも全長、全幅は大きく、全高と最低地上高が低くなり、フロントフェイスも都会的な雰囲気に様変わりしました。
スペースギアとの違いを決定付けているのが、スペースギアのベースがFRのパジェロに対して、D:5のベースはFFのアウトランダーであることです。
その結果、看板である4WDシステムについては、スペースギアのスーパーセレクト4WDに対して、デリカD:5は電子制御式4WDであり、クロカン性能は先代のスペースギアほどではありません。
当初エンジンはアウトランダーと同じ2.4L直4 MIVEC(可変バルブ機構)でしたが、5年後の2012年にはポスト新長期対応(平成22年排出ガス規制)のクリーンディーゼルモデルを追加。これは、いったん生産が途絶えていたディーゼルモデルの12年ぶりの復活であり、デリカファンを大いに喜ばせました。
●デリカD:5は進化し続け、2023年現在も好調な販売を継続中
その後もデリカD:5は進化を続けますが、2019年にフルモデルチェンジに匹敵するようなビッグマイナーチェンジを実施。
フロントフェイスは、最近三菱が進めているデザインコンセプトの“ダイナミックシールド”を採用し、パワートレインは、改良された2.2L直4ディーゼルターボと8速ATの組み合わせ、駆動方式は4WDのみの設定です。
さらに衝突被害軽減ブレーキ(FCM)や車線逸脱警報(LDW)、アダプティブクルーズコントロール(ACC)などをパッケージングした”e-Assist”を採用するなど、最新の安全技術や快適技術を装備して次世代化を図っています。
モデルチェンジすることなく、すでに16年が経過しているデリカD:5ですが、2023年の今も唯一無二のミニバンとして好調な販売を続けています。
デリカD:5がマイルドな4WDのミニバンに変わった背景には、最近のSUVやミニバンが都会的な乗用車ライクなモデルが好まれる風潮があります。多くの固定ファンを持つデリカですが、市場の要望に合わせて伝統をキープしながらも、ややマイルド系のミニバンへと舵を切ったのです。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)