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■航続距離が短いというEVのイメージを一新したリーフe+
2019(平成31)年1月23日、日産自動車は2代目「リーフ」の性能と航続距離を向上させた「リーフe+」を追加設定しました。バッテリー容量を現行モデルの40kWhから62kWh に増大し、航続距離は322kmから450km(WLTCモード)まで向上しました。
●本格的なEVの先駆けとして華々しくデビューしたリーフ
本格的な量産EVの初代リーフは、2010年12月にデビュー。実用性を重視した5人乗りのハッチバックスタイルで、フロント部に電気モーターを搭載したFF駆動のEVです。
永久磁石型同期モーターは最大出力80kW(108.8PS)・最大トルク280Nm(28.55kgm)を発揮。バッテリーは、日産とNECが共同出資して設立された、オートモーティブ・エナジー・サプライ社の容量24kWhのラミネート型リチウムイオンバッテリーで、バッテリーセルを192個並列に接続して床下に搭載されました。
満充電時の航続距離はJC08モードで200km。充電時間は急速充電で容量80%まで30分、一般家庭の200V電源では8時間、100Vの家庭用電源では28時間を要しました。
車両価格は376万円ですが、政府のEV購入補助金制度で約77万円の補助があるため実質的には300万円を切ります。もちろん、一般のガソリン車と比べれば高価ですが、6年乗れば燃料費(EVの場合は電気代)を考慮したランニングコストは同等になる、とは日産の説明でした。
●2代目リーフにバッテリー増強ハイパワーの「e+」が登場
初代リーフは、一部で航続距離が短いという声が聞かれましたが、その後のバッテリーやシステムの改良によって航続距離は徐々に延び、2017年に登場した2代目リーフでは、バッテリー容量が40kWに増強されて航続距離は400km(JC08モード)/322km(WLTCモード)まで延びました。
そして2019年に登場したのが、さらに航続距離と性能を向上させたリーフe+です。バッテリー容量を40kWhから62kWh に増大し、同時にモーター出力もパワーアップし、航続距離は322kmから450km(WLTCモード)まで向上しました。
リーフe+は、初代リーフと比べるとバッテリー容量が2.5倍(60/24)、航続距離は2.8倍(運転モードが異なるので推定)に延びています。
航続距離は概ねバッテリー容量に比例しますが、限られた車体の床下スペースに収められているために、約10年の間にバッテリー自体のサイズが半分程度にコンパクト化したことが分かります。もちろん、バッテリーのコストも大幅に下がっています。
●日本のEVは、航続距離の長さで2極化
この数年の間には、日本でも各メーカーから新しいEVが続々と市場投入されています。
航続距離は長いことが理想ではありますが、バッテリーコストが高いので、航続距離を抑えて車両価格を下げるという選択肢もあります。ユーザーはどちらを求めてくるのかと言えば、日本では、買い物や通勤など、日常の足として使う航続距離250km以下の小型EVと、ロングドライブも楽しめるガソリン車と同等の航続距離450km以上の本格EVとの、2極化が進んでいるとも言えるでしょう。
・ロングドライブを楽しむEV
日産「リーフe+」:航続距離450km(バッテリー容量:60kWh)
日産「アリア」:470km(66kWh)
トヨタ「bZ4X」&スバル「ソルテラ」:567~559km(71.4kWh)
レクサス「UX300e」:367km(54.4kWh)
・日常の足として使う小型EV
日産「サクラ」&三菱「ekクロスEV」:180km(20kWh)
ホンダ「Honda e」:259km(35.5kWh)
マツダ「MX-30 EV」:256km(35.5kWh)
リーフe+のように航続距離が450kmまで延びれば、ほぼガソリン車並みとなってEVの課題の一つがほぼ解決したことになります。しかし、価格がまだ高いこともあり、もっと充電インフラを整備してほしい、個人的にはそう願うばかりですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)