東京オートサロン2023で発表されたシビックGTコンセプトがCBRと似ているのは必然【バイクのコラム】

■HRCがシビックタイプR-GTコンセプトを世界初公開

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東京オートサロン2023で初公開されたシビックタイプR GTコンセプト。ヘッドライトとインテークの雰囲気がCBRと共通性を感じさせる

クルマ好きにとって年始の一大イベントといえば東京オートサロン。2023年の東京オートサロン2023でも様々な発表がありましたが、モータースポーツ関連のマシンの世界初公開というのもありました。

その代表といえるのが、ホンダが発表した「シビックタイプR-GTコンセプト」でしょう。

東京オートサロン出展車の人気投票といえる東京国際カスタムカーコンテストにて、コンセプトカー部門 最優秀賞を受賞した同マシンは、2024年からスーパーGT 500クラスへの参戦に向けて開発中のレーシングコンセプトです。

その注目度の高さは筆者も実感しています。シビックタイプR-GTコンセプトのアンベールの模様を撮影した7秒程度の短尺動画をInstagramにて公開したところ、1週間足らずで10万回以上も再生され、多くのコメントを頂きました。

そして複数の方から、シビックタイプR-GTコンセプトとCBRが似ているという書き込みがあったのです。

●CBRとシビックGTコンセプトの雰囲気に共通性あり

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鈴鹿8時間耐久などレースで勝つために生まれたCBR1000RR-R FIREBLADE。画像の30周年記念カラー車はGT500シビックとたしかに似ている

たしかに、2022年にCBR1000R-Rの特別仕様車として生まれた「FIREBLADE30周年記念車」のカラーリングは、白と赤、青を組み合わせたワークスカラーであり、シビックGTコンセプトと重なっている部分もあると感じます。

いずれも、つり目のヘッドライトがダイナミックなデザインのエアインテークを挟んでいるという構成は似ています。GTコンセプトのカナードとCBR1000RR-Rのウイングレット、それぞれの空力デバイスの配置も共通性を感じさせるポイントかもしれません。

さらにいえば、2022年は二輪のFIREBLADEと四輪のタイプRという2大サブブランドが、ともに30周年という記念すべき年でした。これは単なる偶然かもしれませんが、スピリットとしては重なっているところがあるのも事実でしょう。

シビックタイプR-GTコンセプトとCBR1000RR-R FIREBLADEが似て見える理由は、それだけではないかもしれません。

●HRCは二輪・四輪のモータースポーツを統括する

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ホンダのレーシングディビジョンHRCは、いまや二輪と四輪のモータースポーツ活動を統括している組織。マシンデザインに共通性を表現するのはブランディングとしては当然かもしれない

シビックタイプR-GTコンセプトのフロントフードに燦然と輝いているHRC(ホンダ・レーシング)のロゴは、真性ワークスマシンである証です。

もともとHRCは、二輪ワークス活動を支える組織として知られていましたが、2022年から四輪のモータースポーツ活動も担う組織になりました。ちなみに、現在の流れるようなロゴに変身したのも2022年の話で、新生HRCの象徴となっています。

現在のHRCは、ホンダのモータースポーツ活動を二輪と四輪の区別なく統括している組織です。

モータースポーツ活動は、市販車へテクノロジーをフィードバックするための「走る実験室」という見方もありますが、現実的にはブランディングの重要なプロジェクトとして位置付けられているのは、自動車メーカー各社において共通しているでしょう。

だからこそ、東京オートサロンという注目度の高いイベントで、次期レーシングマシンをお披露目するわけです。

組織改編によって、HRCがホンダの全モータースポーツ活動を統括するということは、二輪・四輪のモータースポーツ活動を「Honda」というブランドにおいて総合的に活用するという狙いもあることでしょう。

シビックタイプR-GTコンセプトがCBR1000RR-Rと似た雰囲気をまとっているというのは、あくまで非公式な感想ですが、ホンダ・モータースポーツの統一感という裏テーマもあるのかもしれないと感じてしまうのです。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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