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■暗い時代を吹きとばせ! テーマは「夢ふくらむ、はじけるダイハツ」
2023年1月13日(金)~15日(日)まで開催の東京オートサロン2023に出展したダイハツブースの今回のテーマは「夢ふくらむ、はじけるダイハツ」。
ブースに来て「オヤッ」と思うのは、通常なら自社CIマークをブース情報に掲げるところ、この「夢ふくらむ、はじけるダイハツ」の文字がでかでかと掲げられ、DAIHATSUの「D」を模した、あのおなじみ「D」マークは遠慮気味に控えめにしているだけである点です。
この暗いご時世、せめてこのショー会場では夢をふくらませ、はじける場にしてやろうというダイハツの願いが込められているのかもしれません。
一部に販社用品装着のデモンストレーションが主目的のクルマはあるものの、今回のショーのためのワンオフ作品が多く、やる気満々の意気込みが見て取れます。はじけてやろうというのでしょう。
展示車は全部で8台。
「HIJET TRUCK JUNBO EXTEND」
「COPEN CLUBSPORTS」
「ATRAI WILDRANGER」
「TANTO CUSTOM RED/BLACK」
「TANTO FUN CROSS」
「MOVE CANBUS THEORY BITTER」
「TAFT DARK CHROME VENTURE」
「DAIHATSU COPEN GR SPORT」です。
本記事ではまず、このブースでまず筆者の目に止まり、おおいに気に入ったクルマをご紹介します。
●TANTO CUSTOM RED/BLACK
名称が色であること、資料写真(というより、どう見てもCGイラスト)が一見、ただの赤いクルマでしかなく見えたことから、「要するに赤と黒で塗り分けて、シャレードデトマソか、(R30の)スカイラインRSへの回帰志向にしたクルマね」くらいにしか考えていなかったのですが、実物を見て驚愕。ただの2トーン塗装ではありませんでした。
見よ! この塗膜の厚さ感! 塗装のぴっかり感! そして丹念に吟味した赤の色調!
見ようでは、マツダ車の赤か消火器の赤にも見えかねないのですが、この暗いご時世、クルマの色くらいはカッと熱い赤にして暗さを吹き飛ばしたいと思わせる色です。
といっても、いくら文字で書いてもその鮮やかさは伝わらないと思います。写真をごらんあれ。
ダイハツの方にうかがったら、ポイントは3つでした。
1.厚みを感じさせた赤の塗膜は通常と同じで、実はその上に吹き付けるクリア塗装が5層であること。
2.フロントからリヤにかけ、赤から黒へとチェンジしているが、それをグラデーションにしていること。
3.塗っただけではなく、よく見ると、ボディサイドにはマスキング処理を施して不定形のストライプも入れていること。
4.全体の塗装、赤から黒への境目部分もすべては職人の技によるもの。
もし筆者がクルマを買うとき、カラーバリエーションにこの色が用意されていたら迷うことなくこの赤で注文するところですが、残念ながらコストに見合わないため、市販の予定はないとのこと。
この色のクルマが多く走るようになれば、街の景観も鮮やかになることでしょう。
●ミステリアスなテーマはインテリアにも
ところでこのクルマの「RED/BLACK」のテーマは外観の塗装にとどまらず、インテリアにもおよんでいます。
インストルメントパネルでは、空調吹出口まわりのベゼル、センターのインパネシフトまわりのパネル、ドア内張りパワーウインドウスイッチパネルに艷やかな塗装を施し、シートサイドは、ボディサイドと同じテーマのストライプ入り赤いクロスとなっていて、フロアマットも赤。
いずれもこのショーモデルのためのデモンストレーションパーツで、これまた市販の予定はないそうです。
昨今のクルマといえば黒一色、落ち着いたトーンのやや暗めの色、それとは対照的に、明るさをめざして白系かベージュ系統でまとめるなど、おおよそ3パターンしかありません。
このTANTO CUSTOM RED/BLACKのような、外は派手に、中はやや目に強く迫るアクセントカラーでまとめた内装というのは少なく、仮に出しても多くは出ないことから(結局は、ユーザー選択は先の3パターンの中に集約されてしまう)、なかなかこのような色が市販化されることはないのだそうです。
それにしても、このミステリアスな内外カラーは実に魅力的。
なにかの間違いで(?)市販にこぎ着けられたらいいなァと思うカラーをまとったTANTO CUSTOM RED/BLACKでした。
(文・写真:山口尚志)