ダイハツ「ATRAI WILDRANGER」が、ひとりだけの探検基地になる。ジャングルが似合います【東京オートサロン2023】

■「行った先でチャレンジしたいクルマ」を一堂に展示

アトレー・メイン
輝度の高いグリーンが眩しいボディ。アトレーの機能性の高さをうまく生かしたデザイン

今回の東京オートサロン2023で、ダイハツは「DAIHATSU VILLAGE2023 夢ふくらむ、はじけるダイハツ」をテーマに、8台ものモデルを展示しています。

ここでは、その中からグリーンのボディが眩しい「ATRAI WILDRANGER」について、担当デザイナーの芝垣氏に会場でお話を聞きました。

●陸でも水上でも活躍できる探検車に

── では、よろしくお願いします。初めに、このクルマはとてもユニークな提案ですが、どんなコンセプトを立てたのですか?

「テーマは『ひとり乗りの探検車』です。もともとアトレーには、救助活動にも使えそうな悪路走破性に評価をいただいていたのですが、そこを生かした提案ですね。ただ、単なる救急車両では堅苦しくなってしまうので、密林にドンドン入り込んで行くような冒険をイメージしました」

── ルーフにあるのはひとり乗りのボートということですが?

「探検の行き先には水が流れる場所もありますので(笑)。実は当初、水陸両用車のようなクルマも考えたのですが、それではチョット非現実的になってしまう。今回は、ユーザーの方が少し頑張れば実現できるクルマにしたかったんです。そこでボートを屋根に載せてしまおうと」

アトレー・フロント
一見アトレーのままに見えるが、アッパー・ロアグリル、バンパーも新設している

── このグリーンのボディカラーは既存色ですか?

「いえ、新色です。最近、アウトドアではいわゆるアースカラーが流行ですが、今回のダイハツブースのテーマを反映して、よりはじけるような輝度の高い色を提案しました。まあ、密林でも映える色はこれじゃないかと(笑)」

── フロントで新規に起こしたパーツはどこになりますか?

「アッパーグリル、ロアグリルとバンパーも作っています。もちろん、ベースのアトレーのイメージを残したものですが、今回は参考出品ということで、若干オーバーフェンダー的な表現にもしています。バンパーからサイドに続くブラックの面はラッピングですね」

アトレー・サイド
ボディサイドのパネルに施されたグラフィックデザインも楽しい。室内は運転席のみ

── ボディサイドのグラフィックデザインも印象的ですね

「ありがとうございます。ちょっとモビルスーツみたいに見えますが(笑)、『06』というのは6代目のアトレーという意味なんです。危険地帯に向かうクルマに似合うグラフィックを想定し、自分たちでデザインしました。ただ、軍用車のようにならないよう気をつけました」

── インテリアもかなり手が入っていますね。

「運転席以外をすべて取り外して、完全に一人乗りにしています。それで出来た助手席側の長いベッドは、大谷翔平選手も寝られるということになっています(笑)。運転席のシートカバーなのですが、実はこれ、ライフジャケットにもなっているんです」

── カラーも含めたトータルコーディネイトが印象的ですね。本日はありがとうございました。

[語ってくれた方] ダイハツ工業株式会社 デザイン部 第1デザインクリエイト室 課長 芝垣登志男 氏
[語ってくれた方] ダイハツ工業株式会社 デザイン部 第1デザインクリエイト室 課長 芝垣登志男 氏

(インタビュー:すぎもと たかよし

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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