タテヨコ高さ…ボックス感が強まった新型「アトレー」の車庫入れ性能は?【新車リアル試乗6-6 ダイハツアトレー 車庫入れ編】

■検証・背高ノッポグルマの車庫入れ性

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背の高いクルマの駐車性能を見る

リアル試乗・アトレーの第6回目は、駐車性能について見ていきます。

「検証・背高ノッポグルマの車庫入れ性」などというタイトルにしましたが、前に全高1895mmのヴォクシーを採りあげているので、空々しいにもほどがあるというものですが、それはそれとして、軽セミキャブ1BOXの車庫入れ性を見てみましょう。

●起き上がったボディサイド、ルーフ高さに要注意!

筆者は、クルマを外から見たときに大きさを感じさせるのは全高で、中に乗って大きさを感じさせるのは車幅の大小だと思っています。

で、アトレー。軽自動車枠なので、全長×全幅:3395×1475mmであっても、全高が先述ヴォクシーより5mm低いに過ぎない1890mmのせいでクルマはそびえ立っているように見えます。

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車庫のサイズ

いつも車庫入れ試乗(!?)に使っているポート屋根の高さ寸は写真のとおり。

一番低い部分でも2135mm。アトレー全高1890mmが2135mmより低いのが、植木等にいわれなくたって「わかっちゃいるけど」、いざ車庫入れに取っかかると緊張し、前回のアルトのように「スラスラスイスイスイ」というわけにはいきません。

こと、今回のアトレーは荷室拡大が大命題で、ためにバックドア上半分もボディサイドも起こしているので、車庫サイドの突起物や障害物との間隔は狭くなるため、ちょっと注意が要るかと思います。

やはりいつもいっているように、クルマは購入前にディーラー試乗車に乗り、セールスマンの承諾を得て事前に車庫入れ性の確認もするのが重要だと思います。クルマの長さ・幅・全高が車庫寸法をクリアしていることが「わかっちゃい」ても、入れやすいか入れにくいかはまた別の話となってきます。

また、納車当日に収容できても乗り降りができなくてはただのコントに終わります。乗降ができるくらい充分にドアが開くかなど、アトレーに限りませんが、忘れずに要確認のこと。

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背の高いクルマはそのままドア上端も高いので、傾斜しているポートの支柱など、日ごろ目にとめていないものがぶつかる可能性がある。要注意だ

細かいですが、ドア上端が他のボディ型に対して高い位置にあるぶん、普通のクルマならぶつからなかったものと接触するということもあります。

車庫入れのようすは次の写真のとおり。

着座位置に対するサイドガラスの下辺(ウエストライン)高さはちょい低めですが、地面からの高さはセダン型に対して距離があるため、見えない部分は自然と増えることになります。前のクルマのときなら見えていたポールなりフェンスなりが、アトレーでは見えなくなったということもおおいにありうる…これはアトレーが悪いのではなく、そうとわかった上で乗るクルマですから、その意味でも、特に違うボディタイプからの乗り替え組は事前の練習や確認が必須です。

クオーターガラスがあること、商用車規定に基づき、控えめサイズの設計にしなければならないことが吉と出て、リヤガラス下端が見えるほどリヤシートバックが低いのはいいのですが、ためにヘッドレストのタテヨコ比が、うら側から見た足の親指みたいになっていて高さがあるため、いっけん豊かに見える斜め後方視界を阻害しています。

そうはいっても、それが嫌ならヘッドレストを取っ払ってしまえばいいわけで、あまり気にはなりませんでした。

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ハンドルのまわしすぎに注意! まわせばいいというものでなはい

軽自動車を採り上げるたびにいっていますが、このクルマもハンドルがかなりまわります。12インチタイヤでタイヤ切れ角が大きく、最小回転半径は4.2mと、ホイールベース2450mmにしては小さい部類。ましてやタイヤ径が小さいぶん、相対的になおホイールベースは実寸以上に長いと解釈してもいいと思うのですが、それだけに内輪差が大きく、うかつにハンドルをまわし過ぎるとそれがアダとなってボディ内側を何かにぶつけるということも考えられるので、この点にも要注意です。

●バックアイカメラ

アトレーは全機種オーディオレス。RS、アトレーデッキバンは、ステアリングスイッチやGPS用、フルセグ用アンテナとともにバックカメラが標準でついてきます。

カメラが映しても見せるものがなければ意味がないというわけで、試乗車には9インチスマホ連携ディスプレイオーディオ(工場パックオプション)がついていました。

ディスプレイオーディオは6.8インチ版と9インチ版があり、セットで付いてくる機器の内訳が少しずつ異なるので、RS、X、アトレーデッキバンとで少しずつ価格が異なります。

なぜかデッキバンでは選ぶことができない6.8インチ版は、RS用が5万5000円、X用が7万1500円。9インチ版は、RS用とデッキバン用が8万2500円、X用が9万9000円。価格はいずれも税込みで、内容の解釈違いがないように注意しなければなりませんが、せっかくカメラ付きのRS、デッキバンを買うなら、リヤカメラ映像の助けで接触と補修費用の余儀ない出費を防ぐためにも、ディスプレイオーディオを選ぶのが賢明のような気がします。より安さを求めて社外ナビを買っても、うまく映るのかな。

さてこのバックカメラ、流行の全方位タイプと異なり、映すのは後部だけなので、画面種類も少なく、シンプルな造りとなっています。

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リヤカメラはバックドアオープンハンドル部にある

カメラの設置個所はバックドアハンドルの左がわ。デッキバンではリヤナンバープレート上となります。これまでバックドア上部を切り取った残りをゲートとしていたデッキバンは、今回からゲートを専用に起こしたらしく、ドアハンドル部のプレス形状もハンドル本体も異なっているため、デッキバンだけ場所を変えています。

画面表示は「予想進路線表示モード」の1種類。各々の線は設定画面で表示ON/OFFを選ぶことができます。

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バックアイカメラの表示

リヤバンパー中ほどからの距離を示す距離目安線は、約0.5m後ろが赤、約1m後ろを黄色に色分けされますが、数字そのものも「50cm」「1m」と示してほしいのと、それはそれとして、普通のひとは、後ろの壁やクルマとの距離で停止判断するよりも、バックドアが開けられるかで判断するほうが多いと思うので、バックドア開閉可能限界線を示してほしい…いつもいっている希望を、このクルマででも述べなければなりませんでした。

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バックドアを開けたときに占めるスペース、ひとの立つスペースを入れたときの、後ろのクルマとの距離

写真は、後ろのクルマと、バックドア開+ひとのスペースを残してアトレーを置いたときの様子です。

さすが全高1890mm! バックドア丈が長いのと、直立した上端にヒンジがあるため、開閉軌跡はバックドア高さをそのまま半径にした円弧となり、ぐわっと開きます。したがって、バックドアの張り出しは1120mm、ひとのスペースを入れて1432mmの後方スペースが必要でした(いずれも筆者実測)。

 

というわけで、今回は短いですが、話はいきなりここでおしまい。

次回は、みなさんに読まれる数が多い「ユーティリティ編」です。

(文・写真:山口尚志 モデル:城戸ひなの)

【試乗車主要諸元】

■ダイハツアトレー RS(3BD-S710V型・2021(令和3)年12月型・4WD・CVT・レーザーブルークリスタルシャイン)

●全長×全幅×全高:3395×1475×1890mm ●ホイールベース:2450mm ●トレッド 前/後:1305/1300mm ●最低地上高:160mm ●車両重量:1020kg ●乗車定員:2名(4名) ●最小回転半径:4.2m ●タイヤサイズ:145/80R12 80/78N LT ●エンジン:KF型(水冷直列3気筒DOHC・インタークーラーターボ) ●総排気量:658cc ●圧縮比:9.0 ●最高出力:64ps/5700rpm ●最大トルク:9.3kgm/2800rpm ●燃料供給装置:EFI(電子制御燃料噴射) ●燃料タンク容量:38L(無鉛レギュラー) ●モーター:- ●最高出力:- ●最大トルク:- ●動力用電池(個数/容量):- ●WLTC燃料消費率(総合/市街地モード/郊外モード/高速道路モード):14.7/13.3/15.7/14.7km/L ●JC08燃料消費率:19.0km/L ●サスペンション 前/後:マクファーソンストラット式/トレーリングリンク車軸式 ●ブレーキ 前/後:ディスク/リーディングトレーリング ●車両本体価格182万6000円(消費税込み・除く、メーカーオプション/ディーラーオプション)