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■プジョー、シトロエンという強敵を抜いて仏ブランドNo.1に
ルノーが、2022年の年間国内販売台数でフランスブランド1位の座を獲得しました。
1972年以降、日本ではシトロエンまたはプジョーの後塵を拝してきたルノーが大躍進を遂げた理由はなんだったのでしょうか。
●対前年比112.4%の好成績を記録
半導体の供給不足やエネルギー価格の高騰など、クルマ業界にとっては決して追い風が吹いたとはいえなかった2022年。
あまり景気の良い声が聞こえない中ですが、ルノー・ジャポンからは明るいニュースが到着しました。
2022年に「日本で一番売れたフランス車」がルノーだったのです。
日本自動車輸入組合(JAIA)のレポートによると、ルノーの年間累計販売台数は8615台にのぼり、対前年比で112.4%の好成績を記録。
“宿敵”といえるプジョーは8552台(対前年比70.8%)、シトロエンが4878台(同82.8%)と、いずれも2021年より販売台数が少なくなっています。
この快進撃を支えたのは、一体どのモデルだったのでしょうか。
●ちょうど端境期にあった売れ筋カングー
日本におけるルノーの売れ筋といえば、なんといってもカングーです。
フランスではフルゴネット(商用バン)として活躍するカングーは、日本ではお洒落なフランス車として高い人気を誇っています。
では、2022年の成績トップはやはりカングーかといえば……さにあらず。ルノー・ジャポンの小川 隼平社長からは、意外な回答が返ってきました。
「今年はカングーの登録がほぼありませんでした」
そう、カングーはすでに本国でフルモデルチェンジを敢行していて、日本への正式導入を2023年春に控えているという端境期。買いたいと思えど在庫はナシの“売り切れ”状態だったのです。
●独自のフルハイブリッドシステムを搭載したモデルが健闘
では、頼れるカングーの不在を支えたのは?
その答えは、ずばり独自のフルハイブリッドシステム「E-TECH FULL HYBRID」を搭載したモデルです。ルノー・ジャポンの2022年の全販売台数における16%を占める健闘をみせたそう。
「カングーがない分を、E-TECHで埋めたという構図」と小川社長は説明しています。
また、コンパクトSUVのキャプチャーも全販売台数の3割をカバーする快進撃を記録。2022年8月にはフルハイブリッドの「E-TECH FULL HYBRID」仕様も追加で投入し、売り上げをぐいっと押し上げました。
もうひとつ、ころんと愛らしいフォルムで人気のコンパクトハッチ・トゥインゴも引き続き好調な売れ行きをキープ。やはり約3割のボリュームを占めるなど、内燃機関モデルも引き続き奮闘している様子です。
2022年5月には流行のクーペSUVスタイルをまとった「アルカナ」も発売。フルハイブリッドとマイルドハイブリッドの2本立てで登場した「アルカナ」は、導入直後ながら好ダッシュを見せ、国内販売の約1割を占める販売台数を記録したそうです。
●2023年は新型カングーも満を持して上陸
小川社長は「1972年以降、ルノーは(日本国内における販売で)シトロエン、またはプジョーに負けています。1971年は勝っていますが、販売台数は43台で、勝負すら始まっていない年」と説明し、次のように続けました。
「2023年は新型カングーも入りますので、より充実したラインナップでお客様満足に繋げていけたらと思っております」
なお、8615台の販売台数には、アルピーヌA110の数字も含まれています。
エココンシャスな一面ももつSUVのアルカナとキャプチャー、個性派コンパクトのトゥインゴ、Bセグハッチの定番ルーテシアに、王者の風格漂うメガーヌ、さらにはピュアを極めたライトウェイトスポーツのアルピーヌA110まで、独創的なバリエーションをラインナップし、そこに新型カングーも加わる2023年のルノー・ジャポン。
まさしく「役者は揃った」状態。ルノー創業から125周年を迎える節目に、さらなる快進撃を見せてくれそうです。
RENAULT販売台数内訳2022年[2021年](ルノー・ジャポン調べ)
Renault TWINGO 2,351[1,945]
LUTECIA(内E-TECH):1,388(240) [1,649]
CAPTUR(内E-TECH):2,655(418) [1,465]
ARKANA(内E-TECH):754(702) [-]
MEGANE HB:169 [80]
MEGANE ST:214 [88]
MEGANE R.S.:804 [594]
KANGOO:7 [1,631]
Alpine:238 [171]
並行:35 [43]
合計:8,615 [7,666]
(三代やよい)