■新型プリウスの約20度はランボルギーニ・ウラカンevoスパイダーの約18度に迫る
2022年11月に世界初公開された、新型トヨタプリウス。“感性に響く”スタイリッシュな外観デザインを採用し、先代モデルと比べてスポーティになったという声を聞きます。
プリウス独自のアイコンである「モノフォルムシルエット」を引き続きながら、さらなる低重心化や19インチ大径タイヤの採用によってスタイリッシュなプロポーションへと生まれ変わっていることも影響しているのでしょう。
新型プリウスの外観デザインでスポーティさを強調しているのが、Aピラー(フロントガラス)の角度だと言えます。
Aピラーはフロントシート前にあるフロントフェンダーからルーフに伸びる柱のことです。Aピラーは前方からの衝突事故の際、その衝撃から乗員を守りつつ、生存させるための空間を確保するという重要な役割をもっています。
一般的に室内空間を広くしたいミニバンや軽自動車の売れ筋モデルであるスーパーハイトワゴンはピラーを立てるため角度が大きくなり、空気抵抗を抑えたいスポーツカーなどではピラーを寝かせるので角度が小さくなります。
そこで今回、新型プリウスをはじめ、ミニバンやSUVそして欧州のスーパースポーツカーのAピラーの角度を計測し、新型プリウスがどれくらいスポーティなのかを検証しました。
検証方法は、プリントアウトした各車の写真のAピラーの角度とボディとの接合点に水平の線を入れて計測するというもの。実際の数値とは異なることをご承知ください。
●Aピラー独自角度比較。スープラや新型クラウンに優る新型プリウス
まず新型プリウスのAピラーの角度ですが、約20度でした。プリウスはワンモーションフォルムと外観デザインを採用し、フロントフェンダーから約20度という緩やかな角度で流麗なルーフラインが特徴となっています。
まず比較したのは、トヨタのスポーツカーとして販売されているGRスープラです。フロントにエンジンを搭載し、リアタイヤを駆動させるFRのレイアウトを採用したロングノーズ&ショートデッキの外観デザインが特徴です。
ピュアスポーツカーであるGRスープラのAピラーの角度を計測してみると、約30度でした。GRスープラは2シーターのためルーフラインが短いので、Aピラーの角度を大きくする必要があるようです。
続いては、駆動方式をFFに変更して注目抜群のクラウンクロスオーバー。こちらのAピラーの角度を測ると約26.3度でした。プリウス同様に流麗なルーフラインが特徴ですが、ワンモーションフォルムではないため、プリウスよりもピラーが立っていて角度が大きくなっています。
そのほか、トヨタの車種でAピラーを調べてみると、最上級セダンのセンチュリーが約32.4度。人気ミニバンのヴォクシーが約32度。そして本格SUVのランドクルーザー300は約37度でした。
この数値を見ると、新型プリウスのAピラーの角度が小さく、寝ていることがわかります。続いて、欧州のスーパースポーツカーを調べてみました。
V6エンジンのハイブリッドシステムを搭載したフェラーリ296GTBは、GRスープラとほぼ同じ約30度。
そしてランボルギーニウラカンEVOスパイダーは圧巻の約18度でした。
すなわち新型プリウスのAピラーの角度はランボルギーニウラカンEVOスパイダーに近い数値となっているのです。
ちなみに20度というのはワンホールのケーキを18等分した大きさとなっています。デザートとして食べた時にはかなり物足りない大きさと言えるでしょう。それくらい新型プリウスのAピラーの角度は小さく抑えられているのです。
なお、撮影で使用したケーキは原稿執筆後に筆者がおいしく
いただきました。
(文:萩原文博、写真:トヨタ自動車、萩原文博)