走りを極めた日産「スカイラインGT-R」5代目(R34型)デビュー。スカイラインの名を冠した最後のGT-R【今日は何の日?1月8日】

■徹底したチューニングで走りを極めたR34型

1999年(平成11)年1月8日、日産自動車を代表する高性能「スカイラインGT-R(R34型)」がデビュー。「ハコスカGT-R」から数えて5世代目に相当し、6代目からは「スカイライン」の名を付けない「GT-R」と名乗るようになりますので、このR34型が最後のスカイラインGT-Rとなりました。

1999年に登場したスカイラインGT-R(R34型)
1999年に登場したスカイラインGT-R(R34型)


●3代目スカイライン(ハコスカ)からGT-R伝説は始まった

1969年にデビューしたスカイライン2000GT-R
1969年にデビューしたスカイライン2000GT-R。3代目ハコスカで初めてGT-Rを名乗る

GT-Rを初めて名乗ったのは、3代目スカイライン、通称“ハコスカ”をベースにした1969年の「スカイライン2000GT-R(S20型)」です。ベースの1.5L直4モデルに、レース用の2.0L直6エンジン(S20型)を搭載したスペシャルなモデルでした。

スカイライン2000GT-Rはその年のJAFグランプリレースで優勝を飾り、以降1972年まで国内レースで破竹の49連勝という金字塔を打ち立てたのです。

このエンジンは、4代目“ケンメリ”と呼ばれたスカイラインにも搭載され、1973年にスカイラインGT-R(2代目)が登場しました。レース参戦車も用意されて次期シーズンを待ち望んでいたのですが、市販車として、当時の排ガス規制の厳しさを伴ってきた環境問題の社会情勢を鑑みた日産は、この排ガス問題解決を優先させるべく動き、わずか3ヶ月という短命モデルに終わりました。

BNR32
1989年に登場したBNR32

その後、一時GT-Rは封印されましたが、1989年、エンジンに2.6L直6 DOHCツインターボの最高出力280PS(当時の自主規制値)/最大トルク36.0kgm を発揮する“RB26DETT”を搭載したR32型スカイラインGT-R(3代目)として復活します。

1995年に登場のR33型スカイラインGT-R。ボディが大型化して不評だった
1995年に登場のR33型スカイラインGT-R。ボディが大型化して不評の声もあった

その後、1995年にデビューした9代目スカイラインベースのR33型(3代目)は、RB26DETTエンジンの改良によって最大トルクを37.5kgmに向上。しかし、ひと回り大きなボディとなり、熱狂的なGT-Rファンからは不評の声も聞こえました。

●走りを極めたR34型GT-Rが最後のスカイラインGT-Rに

5代目スカイラインR34型GT-Rは、前年の1998年にデビューした10代目のR34型スカイラインをベースに、高性能化の徹底したチューンが施されました。

1999年に登場したスカイラインGT-R(R34型)
1999年に登場したスカイラインGT-R(R34型)

R33型で不評もあった大型化したボディは、ホイールベースを55mm、全長を75mmほど縮小。ラジエターグリルやヘッドライトの形状を変更し、前後ブリスターフェンダーの装着、テールスポイラーの大型化、エアダム等の空力デバイスの追加など、スポーティさに回帰して剛性も高められました。

エンジンは、RB26DETTを踏襲しますが、最大トルクは40kgmまで向上。トランスミッションは、ドイツ・ゲトラグ社と共同開発した6速MT、駆動方式も4WDを踏襲。ブレーキはイタリアの名門ブレンボ製ベンチレーテッドディスクを標準装備(※BCNR33から標準装備)するなど、異次元の走りを極めました。

しかし、2002年に強化された排ガス規制をクリアできず、スカイラインGT-Rは一旦生産を終了してしまいます。

●日産GT-R(R35型)は、V6ツインターボ搭載でモンスターマシンへ

そして、5年のブランクを経て2007年に登場したのが、R35型日産GT-Rです。

2007年に登場した日産GT-R(R35型)
2007年に登場した日産GT-R(R35型)

スタイリングは、より流線美が強調され、円形テールランプはスカイラインGT-Rからの伝統を継承。

最大の特徴は、エンジンがそれまでの2.6L直6ツインターボ(RB26DETT型)から、3.8L V6ツインターボ(VR38DETT型)に変更されたこと。最高出力は、R34型の280PS/最大トルク40kgmから480PS/60kgmへと大幅に向上し、トランスミッションは6速DCTで最高速度は300km/hを超えました。また、足回りなどの基本仕様は先代と同じですが、エンジンのパワーアップに対応した改良が加えられました。

日産GT-R搭載の3.8L V6ツインターボエンジン(VR38DETT型)
日産GT-R搭載の3.8L V6ツインターボエンジン(VR38DETT型)
日産GT-R 2022年モデル
日産GT-R 2022年モデル

その後もGT-Rは進化を続け、現在の最高出力は570PS/65.0kgm(NISMO仕様で600PS/66.5kgm)まで向上。ちなみに、R34型は2003年までとられていたメーカーによる出力自主規制値に従ったもので、実力的にはもっと高いポテンシャルを持っていました。

価格は、2007年発売時には777万円でしたが、性能向上とともに上昇し、現在はローグレードでも1000万円を超えています。

2022年モデルのGT-Rの販売は、注文台数が予定販売量に達したためという理由で、オーダーストップしています。実際のところは、2022年10月から既販車にも適用される車外騒音規制フェーズ2への対応が難しいために、ストップされたのではないかと言われています。フェーズ2規制は、新型車においては2020年から適用されていますが、高性能モデルにとっては、クリアするのが非常に厳しい規制なのです。


という状況が続き、2023年モデルのGT-Rも国内投入はスキップし、2024モデルが登場するか微妙なところのようです。次期車の情報はまだありませんが、次期GT-Rが登場するとなれば、やはりEV本命でPHEVやHEVもあるかもしれませんね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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