最後の「スターレット」になった5代目がデビュー。バトンを渡したヴィッツは大ヒットモデルに【今日は何の日?1月6日】

■走りと安全性を高いレベルで両立させた最後のスターレット

1996(平成8)年1月6日、トヨタの5代目スターレットがデビューしました。

1996年にデビューした5代目スターレットのリアビュー。
1996年にデビューした5代目スターレットのリアビュー

軽量コンパクトで俊敏なコンパクトカーとして30年近く人気を博したスターレットですが、その歴史で構築してきた技術をヴィッツへとバトンタッチしてゆく最後のスターレット、それが5代目です。

●パブリカスタレートの名前で誕生した初代スターレット

1973年にデビューした初代スターレットのパブリカスターレット
1973年にデビューした初代スターレットのパブリカスターレット

スターレットの源流は、1961年に登場した「パブリカ」です。トヨタ最初の大衆車として、低価格と取り扱いの良さが売りでした。

その後、1966年に排気量を1000cc/1200ccに拡大した2代目が登場、これがパブリカスターレットのベースとなります。

1973年に2代目パブリカの派生モデルとして登場したのが、初代「パブリカスターレット」。パブリカスターレットは、パブリカシリーズのスポーティな上級モデルとして設定されたのです。

スタイリングは、著名なイタリア人デザイナーのジウジアーロによって仕上げられ、パブリカとは全く異なる直線基調のロングノーズでスポーティなクーペに変貌を遂げました。

エンジンはパブリカと同じですが、軽量コンパクトなボディの強みを生かしてモータースポーツでも活躍しました。

1978年にデビューした2代目スターレット
1978年にデビューした2代目スターレット

そして1978年に2代目が登場。これを機にパブリカの冠が取れて「スターレット」を名乗り、またクーペからハッチバックにスタイル変更して、ここから実質的にスターレットの歴史が幕開けたのです。

●幅広い層から支持されたスターレットの進化

1984年にデビューした3代目スターレット
1984年にデビューした3代目スターレット

スターレットとして独立した2代目から、低価格のコンパクトカーへと変貌。

女性向けのグレードが用意される一方で、当時FF化が進む中で2代目スターレットはFR駆動を採用しています。スポーティグレード1300Sは、軽快な走りの“ボーイズレーサー”として人気を獲得しました。

1989年にデビューした4代目スターレット
1989年にデビューした4代目スターレット

3代目で横置きエンジンのFFに代わりましたが、先代同様、エントリーモデルからスポーツモデルまで広い層をターゲットにしながらも、キャッチコピー“かっとびスターレット”で走りをアピール。

スポーティなターボモデルは、“韋駄天ターボ”と呼ばれて若者を夢中にさせ、速いスターレットをアピールしたのです。

4代目は、当時の最先端技術である衝突安全ボディ“CIAS”を採用、すべてのエンジンをDOHC化して走りをブラシュアップ。1.3L&1.5L、NA&ターボ、AT&MT、FFだけでなく4WDも追加するなど、バリエーションを増やし、さらに広い層に支持されるモデルとなりました。

●ヴィッツにバトンを渡した最後のスターレット

そして1996年の本日1月6日に誕生した5代目は、スターレットの構築した技術をヴィッツへとバトンタッチしてゆくことになる、最後のスターレットです。

1999年にデビューした初代ヴィッツ
1999年にデビューした初代ヴィッツ
1996年にデビューした5代目、最後のスターレット
1996年にデビューした5代目、最後のスターレット

燃費重視の標準モデル「ルフレ」、走行性能に優れたターボモデル「グランツァ」、レトロ風な「カラット」、SUV風の「リミックス」と、幅広いグレードが用意されました。

また、衝突安全ボデー“GOA”を採用し、エアバッグとABSが標準装備され、コンパクトカーながら世界トップクラスの安全装備を標準化させたパイオニア的なモデルとしても注目されました。

5代目は、2代目や3代目、4代目ほどのインパクトは残せませんでしたが、堅調な販売を続け、1999年に生産を終了。これにより、スターレットは5代26年におよぶ歴史に終止符を打ち、ヴィッツに後を託したのです。


手頃な価格で、ビギナーでも運転しやすい操作性、そしてスポーティさで広い層から支持されたスターレット。その伝統は、1999年に登場したヴィッツへ、そして2020年にはヤリスへと車名を変更して現在も大ヒット中。コンパクトカーの王道を歩み続けています。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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