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■2代目NSXは、高出力のハイブリッドモデル
2011(平成23)年12月30日、英国の自動車メディア「Auto EXPRESS」が、翌年開催予定のデトロイトモーターショーで公開予定の次期(2代目)「NSXコンセプト」について報じました。
記事は、“次期NSXコンセプトは、最大出力400PSの4WDハイブリッドを搭載する”という内容でした。
●初代NSXは、オールアルミボディのスーパースポーツ
NSXがデビューしたのは、日本がバブル景気に沸きあがっていた1990年2月のこと。新時代を象徴する究極のクルマとして開発された、ホンダ渾身のスポーツカーでした。
スタイリングは、リトラクタブルヘッドライトやグリルレスのフロント周り、スポイラー一体のテールエンドなどにより、優れた空力性能と流麗さを実現。同時に、世界初のオールアルミ・モノコックボディなど、クルマ全体の90%をアルミ化する超軽量化が達成されました。
パワートレインは、最高出力280PSの3.0L V6 DOHC VTECエンジンをドライバーの背後に搭載するミッドシップレイアウトを採用し、スポーツカーとして別次元の動力性能とハンドリング性能を発揮。2005年7月までの15年余りで、累計販売台数は1万8738台でした。
ポルシェやフェラーリにはない、安価で誰でも乗りこなせる操縦安定性や快適性を持ったミッドシップのスーパースポーツ、それがNSXだったのです(初代の価格:5速MT=800万3000円/4速AT=860万3000円[税別])。
●公開前に英国メディアが報じた2代目NSX
翌年2012年1月開催のデトロイトモーターショーで、公開予定の次期「NSXコンセプト」について、英国の自動車メディア「Auto EXPRESS」が2011年の今日、12月30日報じた内容は、“NSXコンセプトは、最大出力400PSの4WDハイブリッドを搭載。ハイブリッドシステムは、3.5L V6エンジンを補うモーターだけでなく、2基のインホイールモーターを追加し、4輪を駆動する4WDシステム”というものでした。
2012年のデトロイトモーターショーで、予定通り「アキュラNSXコンセプト」が公開されました。騎士の鎧を彷彿させるようなフロントマスクに、キャビンの背後にパワーユニットを配したフォルムは、まさしくスーパーカーそのものであり、多くメディアの注目を集めました。
パワートレインは、英国メディアの報道の通り、前輪2基、後輪に1基のモーターを組みわせた“スポーツハイブリッドSH-AWD”。ただし、この時点ではデザインを含めてまだ流動的だという説明でした。
最終的に2代目NSXは、デザインのリファインとスポーツハイブリッドSH-AWDのチューニングによって最高出力581PS・最大トルク645Nmにパワーアップして、北米では2016年、日本では2017年にデビューを飾りました。
●最終限定車MSXタイプSをもって2代目も生産を終了
2代目NSXの最終モデル「NSXタイプS」が、2022年7月に日本で30台(全世界では350台)限定販売され、これをもって2022年11月17日に2代目NSXは生産を終えました。
最終モデルのタイプSのエンジンは従来型と同じですが、インタークーラーの効率アップとターボの過給圧を上げることで、それまでの最高出力507PS/最大トルク550Nmを、529PS/600Nmへと向上。モーターと組み合わせたシステム全体では581PS/645Nmから、610PS/667Nmへとパワーアップしました。
もちろん、これまでのNSXで最強のモデルでした。
最新の技術を余すことなく投入して話題となった2代目NSXでしたが約6年で生産を終えました。
初代に対して倍以上の2000万円を超える価格となった2代目。ホンダブランドといえども高級スポーツカーの世界で、ポルシェやフェラーリ、メルセデス・ベンツと競うのは、さすがに厳しいのでしょうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)