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■アルトのカスタマイズ機能を見る
アルトリアル試乗の第8回は、アルトのカスタマイズ機能を軸に話を進めていきます。
●セグメント液晶で行うユーザー操作は…
今回の「リアル試乗」は、アルトの最廉価Aが主役ですが、ここカスタマイズのお話ではアルト全体のものとして述べていきます。
アルトに用意されているカスタマイズ機能は、他社のクルマ同様、ユーザーがメーターのマルチインフォメーションディスプレイ(MID)上にて自前で行える項目と、販売店に依頼しないと行えないものとに分かれています。
結論からいうと、MIDでの自前作業項目数は、取扱説明書巻末のカスタマイズ紹介の数よりもいくらか多いのですが、「10.初期化」を除くと、MID上では最大9項目16点となります。
セグメント液晶でこれら数の項目をどのように行うのか? まずは自前作業でできる項目から挙げてみます。
太字の青字が工場出荷時の初期設定です。
1.車外ブザー設定:ON、OFF(キーレスプッシュスタート車のみ)
2.オートハイビーム設定:ON、OFF
3.セキュリティアラームモード設定:警報モード、警報なしモード
4.エネルギーフローインジケーター表示設定:表示、非表示
5.エコスコア表示設定:表示、非表示
6.アイドリングストップ・節約燃料/時間表示設定:表示、非表示
7.先行車発進お知らせ機能:停止、作動
8.アイドリングストップ空調設定(装備車のみ):標準、燃費優先、快適優先
9.ヘッドアップディスプレイ設定(装着車のみ)
・高温時の警告設定:警告ON、警告OFF
・車速表示:ON、OFF
・シフト位置表示:ON、OFF
・オープニング表示:オート表示、タイプA、タイプB
・ナビゲーション表示:ON、OFF
・標識認識表示:ON、OFF
・時計表示設定:ON、OFF
・エアコン表示:ON、OFF
10.設定の初期化:すべての設定を初期状態に戻す。
簡便な表示で設定を行わせるにはなかなかの数。定型セグメントなので表現にかなり無理があり、「ライト」を「LIGht」、「セキュリティ」を「SECUry」、「エネルギーフロー」を「EnEGFL」とするなど、限られたセグメントで涙ぐましい努力をしていると同時に、「標準状態」を示す「nornAL」で「NORMAL」と読ませる強引さが素敵です。
そのいっぽうで、「FuEhCL」がなぜ「先行車発進お知らせ機能」になるのか、「SL1」が何なのかなど、見ただけではわからないので、セッティング操作は取扱説明書を片手にというのが必須になります。
いずれにしても、これだけ簡便な表示でこれだけの項目を入れたというのは称えるべきでしょう。
先回のワゴンRスマイルで指摘しましたが、このアルトのセッティングも操作性はよくありません。
セグメント液晶ゆえの制約で表示に無理があるのはいいとして、メニュー階層が一方通行、その流れの中に「戻る」があり、操作がMID下のノブまたはハンドル上のINFOボタンのチョン押しか長押しで行うしかないのがもどかしい。「戻る」は物理ボタンにしてほしいのと、長押しも、計ったら3秒とは長すぎる! この種のボタンの長押しはせいぜい1秒ほどなのが普通で、社内展開する仕様書を書き間違えたのではないかと思うほどです。
ここはやはり、ハンドルのINFOボタン(とMID下のノブ)は、表示切替と各数値リセットにとどめ、カスタマイズについてはインパネのどこかに、上下か左右で選択し、押して「決定」のシーソーボタンと、「戻る」ボタンを併設する、カスタマイズ操作専用スイッチを設けるほうがはるかに使いやすいと思います。
●ここにもあった、もうひとつのカスタマイズ機能
ワゴンRスマイルの回では書ききれなかったカスタマイズ項目で、リモート格納ミラーのセッティングがあります。
ミラーの電動格納スイッチ(押しボタン式)が通常の位置(飛び出した状態)にあるとき、降車後にリモコン施錠すると、自動でミラーも格納されるロジックのやつですが、このリモート格納機能は、最上級のハイブリッドXにだけ備えられています。
1.リモート格納ミラー
・ドアの施錠やエンジンスイッチ操作による連動動作:あり、なし
この機能が不要なら停止させることも可能ですが、これはMIDや販売店で行うのではなく、リモコンと運転席ドア上のロックノブにて行います。
<リモート格納の停止or復帰操作>
1.エンジンスイッチOFFとすべてのドアが閉まっていることを確認、ドアのロックノブを解錠にする。
次の2.3.の操作を15秒以内に行う。
2.ロックレバーを施錠側にし、すぐに解錠側に戻す。これを4往復ぶん行う。
3.リモコンのボタン(ロックボタン、アンロックボタン、どちらでも可)を3回押す。
リモート格納の作動→停止操作なら1回、停止→作動なら2回、確認ブザーが鳴れば完了。これらの操作は、ワゴンRスマイルもまったく同じです。
●販売店任せのカスタマイズ
販売店に出向かなければ変えられない項目は次のふたつです。
1.キーレスプッシュスタートシステム
・キーレスプッシュスタートシステムの各発信機の機能:あり、なし
・携帯リモコン電池消耗警告灯の表示(約15秒間):あり、なし
・携帯リモコン検出範囲外警告ブザーの吹鳴(1回):なし、あり
2.アンサーバック機能
・非常点滅表示灯/室内灯による合図:非常点滅表示灯/室内灯、室内灯のみ
2項目4点。別にユーザーが自宅ガレージで行っても差し支えなさそうな項目ばかりなのですが、初期状態が自分に合わなければ、お近くのスズキ販売店へ。
今回は短いですがここまで。
次回は最終回。販売動向と燃費を解説します。
(文・写真:山口尚志)
【試乗車主要諸元】
■スズキアルト A(3BA-HA37S型・2022(令和4)年型・2WD・CVT・シルキーシルバーメタリック)
●全長×全幅×全高:3395×1475×1525mm ●ホイールベース:2460mm ●トレッド 前/後:1295/1300mm ●最低地上高:150mm ●車両重量:680kg ●乗車定員:4名 ●最小回転半径:4.4m ●タイヤサイズ:155/65R14 ●エンジン:R06A(水冷直列3気筒DOHC) ●総排気量:658cc ●圧縮比:11.5 ●最高出力:46ps/6500rpm ●最大トルク:5.6kgm/4000rpm ●燃料供給装置:EPI(電子制御燃料噴射) ●燃料タンク容量:27L(無鉛レギュラー) ●モーター:- ●最高出力:- ●最大トルク:- ●動力用電池(個数/容量):- ●WLTC燃料消費率(総合/市街地モード/郊外モード/高速道路モード):25.2/23.0/26.0/25.8km/L ●JC08燃料消費率:29.4km/L ●サスペンション 前/後:マクファーソンストラット式/トーションビーム式 ●ブレーキ 前/後:ディスク/リーディングトレーリング ●車両本体価格:94万3800円(消費税込み・除くディーラーオプション)