■「進化」と「見守り」でクルマの価値を維持し、リーズナブルな料金でサービスを提供
2022年12月7日(水)、トヨタとKINTOは新しいクルマのサブスクリプションサービスである「KINTO Unlimited」を、今冬に発売される新型プリウスの一部グレード(新型プリウスのグレード体系の詳細は、今冬発売の際に公表予定)より提供をスタートさせると発表しました。
「KINTO Unlimited」では、保険や税金などの諸経費を月額利用料に含める、KINTOのこれまでのサブスクリプションサービスをベースに、新たにトヨタの技術を駆使して「進化=アップグレード」と「見守り=コネクティッド」の2つの付加価値が提供されます。
これにより、サービスへの契約から利用を終えて返却するまでの間に、通常下がっていくクルマの価値を維持する独自の仕組みを構築。
この仕組みを基盤として、価値を維持する分を、サブスクの月額利用料の引き下げにあらかじめ充当することで、同サービスをリーズナブルに利用できるようになるそう。なお、ユーザーからの反響などを踏まえて、今後、プリウスの一部グレードのほかの車種にも積極的に拡大していく構えです。
「進化=アップグレード」では、契約されたクルマに対し、ソフトウェアとハードウェアのアップグレードを提供することで、契約後のクルマの「進化」も実現するとしています。
まず、ソフトウェアの更新が盛り込まれています。無線通信を使った「OTA(Over The Air)」を通じたソフトウェアの更新により、衝突被害軽減ブレーキをはじめとした「Toyota Safety Sense」を、機会があるごとに最新仕様にアップグレード(トヨタ初)。費用はサブスクの月額利用料に含めるため、追加負担は不要になります。
ハードウェアでは、契約したクルマにあらかじめ施される「アップグレードレディ設計(トヨタ初)」を通じて、ユーザーのニーズに合わせたハードウェアの装備や、機能の後付けが可能になるそう。
この「アップグレードレディ設計」では、配線の調整やセンサーの取り付けなど、アップグレードに必要な施工作業の大部分をクルマにあらかじめ織り込んでおくことで、実際に行う作業を簡素化させることができます。作業にかかる時間を大幅に短縮(施工作業時間は13時間から3時間へ短縮可能に)することで、全国で施工の対応が可能になり、アイテムの選択肢も広がる利点もあります。このハードウェアのアップグレードは、2023年の年央から開始されます。
まずは、ブラインドスポットモニターやパノラミックビューモニター、ステアリングヒーターなどを用意しつつ、今後、将来登場する装備や機能もその都度、後付けできるように、アイテムの拡充を推進するそう。
なお、費用の支払いは、アイテムごとに一括、もしくは手軽に利用できるように、サブスクの月額利用料への加算の2つの方法から選択できるようになります。
「見守り」も新サービスの特徴です。トヨタのコネクティッド技術を使い、ユーザーが運転する際のデータを収集、分析することで、ユーザーとクルマ双方の見守りを実現するとしています。
具体的には、「コネクティッドドライブトレーナー」が用意されます。コネクティッドサービスの「T-Connect」を通じ、アクセルやブレーキの踏み方などの基本的な挙動に加え、操舵やウィンカーを出すタイミングなど、細部にわたるユーザーの運転データを収集、分析することで、ユーザーにより異なる安全な運転や燃費の向上につながるポイントを、専用のアプリを通じてアドバイスしてくれます。
なお、当面は、実証実験と位置づけるため、費用は追加で負担する必要はなく、将来的に、サブスクの月額利用料に含めて提供されます。
「コネクティッドカーケア」も用意。通常、定期的に交換するエンジンオイルの劣化の度合いが、走行距離や運転の仕方、外部環境などにより異なる点に着目し、運転データをもとに、オイルの状態を把握する独自の技術を開発。
これに基づき、従来、一定の「期間」や「距離」を踏まえて提供されてきたエンジンオイルの交換を、専用のアプリやディスプレイオーディオなどを通じて、クルマごとの使用状況に合わせたタイミングで提案されます。
まずは、エンジンオイル交換の提案から開始し、その後、メニューが拡充される予定です。また、費用は、サブスクの月額利用料に含めるため、ユーザーの追加負担は不要になります。なお、「アップグレード」と「コネクティッド」の提供開始に向けて、2023年2月を目途に「KINTO Unlimited」専用アプリが公開されます。
クルマのサブスクは、多様な業界が参入し、サービスも多様化していて、クルマを所有するサービスと同等、それ以上の充実ぶりが際立つサービスも出始めていて、最先端を行くのが「KINTO Unlimited」といえそうです。
(塚田 勝弘)