新型インプレッサは、アクティブなデザインより躍動的でもっとスポーティに【クルマはデザインだ】

■基本シルエットは変えずにボディを引き締める

11月17日(現地時間)、ロサンゼルスオートショーにおいて、SUBARUの新型「インプレッサ」が世界初公開されました。

正式デビューはまだ先になりますが、公開された写真(米国仕様車)から、気になるエクステリアデザインについてじっくりチェックしてみたいと思います。

インプレッサ・メイン
シャープで有機的な形状のランプと、ロアグリルの大きなエアインテークが特徴的なフロントビュー
インプレッサ・現行型
現行型。左右に長いログリルと、サイド面のカーブしたキャラクターラインが特徴的

まず、サイズは全幅が約5mm広がった以外、ホイールベースも含めて現行の「インプレッサ スポーツ」とほぼ一緒。

運転席頭上をピークとするルーフ形状など、シルエットにも大きな変化は感じられません。

この諸元だけ見ると、あたかもマイナーチェンジに思えてしまいますが、ボディの各パートではさまざまな変更が施されているのが新型の特徴です。

インプレッサ・フロント
グリルのウイング形状のモールはU字型のカーブを描いてランプへつながる

フロントから見ると、ひと回り大きくなったグリルにU字を描くウイングモール、有機的でシャープさを増したランプなどが、先行発表された「クロストレック」に準じています。

ただ、クロストレックのグリルはいかにも4駆的に複雑な形状でしたが、インプレッサでは素直な6角形となっているのが異なります。

また、ロアグリルは左右にエアインテーク形状を持つ流行りのスタイルになりましたが、このエアインテークがかなり大きいのが特徴です。

たとえば最近のマツダ車や、あるいは先日発表されたトヨタの新型プリウスなどでは、シンプルな造形への回帰としてミニマムな表現になっていますが、スバルは引き続き大きな表情を残したいようです。

●ダイナミック・ソリッドは次の段階に入ったのか

続いてボディの側面を見ると、特徴的な現行型の弓形を描くキャラクターラインがシンプルな直線になり、これがリアクオーターにつながっているのが目新しいところ。

現行型のラインはスバル独自の「Dynamic × Solid」を端的に表す手法とされましたが、もしかしたら少々グラフィカルに過ぎたという判断があったのかもしれません。

インプレッサ・サイド
フロントフェンダーから一直線に伸びるキャラクターラインと、ホイールアーチの強いラインが新しい

その一方で前後のホイールアーチに同心円状の強いラインを入れたり、より豊かになったリアフェンダーのフレアにもラインを引くなど、ほかの部分ではダイナミックさを直接的に表現しているのです。

ソリッドな塊感を狙った「Dynamic × Solid」は、その表現方法が次のフェーズに入ったようにも見えます。

リアに回ると、現行型の長方形をベースにしたランプの形状が、「フォレスター」に似た「コの字」形に変わりました。

加えて、サイドへの回り込みなど、非常に有機的な形状はフロントランプに準じています。この新しいランプ形状に沿い、リアパネルは上下を明確に分けた表現となり、ここでもメリハリの効いたダイナミックさが感じられます。

インプレッサ・リア
コの字形状になったリアランプと、上下2段構造が明快になったリアパネル

新型のエクステリアは「躍動感」「スポーティ」をキーワードに、引き締まった鋭いシェイプを目指したとされます。実際、こうしてボディ全体を見ると、現行型に比べて「より前へ」「より力強く」を感じる表現が多いのは確かです。

ただ、こうした各パートの確実な変化が見られる一方、ユーザーの声の中には「あまり代わり映えしない」という感想も見受けられ、そこが今のスバル車の課題であるとも言えそうです。

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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