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■プロパイロットの制御もより細やかになり、自分が操っているかのような感覚だった
●日産の新型エクストレイル AUTECH e-4ORCEアドバンスドパッケージで大阪へ
2022年7月に販売開始された日産・新型エクストレイル。約2週間で受注台数が1万2000台を突破する大ヒットとなりました。そのため、現在エクストレイルは、ホームページ上で受注停止となっていることがアナウンスされています。早く納期遅延が解消してもらいたいものです。
先日行われた試乗会では、一般道とワインディング中心のインプレッションを行ったので、今回はロングドライブによる燃費性能と、ADASと呼ばれる最新の運転支援システムの実力を測るため、大阪への1000kmロングドライブを行いました。
今回試乗テストを行ったのは、車両本体価格504万6800円の最上級グレード・AUTECH e-4ORCEアドバンスドパッケージです。
このグレードは、G e-4ORCEをベースにシグネチャーLEDを採用したフロントグリルやリアプロテクター、メタル調フィニッシュの専用サイドターンランプ、専用20インチアルミホイール+ミシュランパイロットプライマシー4の225/45R20タイヤ。そしてルーフレールといった専用エクステリアを採用。
インテリアもAUTECH刺繍が施された専用キルティングのブラックレザーシートをはじめ、ブラックアッパートリム&インストパッド(ブルーステッチ)ダーククロムのインストピンモールなどが採用され、上質感が漂っています。
試乗車には、オプション装備として7万7000円のAUTECH専用色の、カスピアンブルー/ダイヤモンドブラックのツートンのボディカラー。そして26万9500円のBOSEプレミアムサウンド&パノラミックガラスサンルーフが装着された、いわゆる全部付きの仕様です。
●特別仕様のAUTECH e-4ORCEアドバンスドパッケージは20インチタイヤを装着
今回のルートは、東名高速道路に工事規制が多いため往路・復路ともに新東名高速を利用しました。最高速度120km/h区間を長く走行したため、若干燃費性能は低くなっています。
テストは週末に行ったため、往路も東京から御殿場まで約3時間。復路も御殿場から東京まで約2時間半の渋滞がありました。
一般道、ワインディング中心の試乗会では、e-4ORCEによるボディサイズを感じさせない、軽やかな身のこなしと高いハンドリング性能を発揮した新型エクストレイルですが、高速道路ではどのような走りだったのでしょうか。
通常のモデルが19インチタイヤを装着しているのに対して、AUTECH e-4ORCEアドバンスドパッケージは20インチタイヤを装着。タイヤの銘柄はミシュランのパイロットプライマシー4です。
VCターボを採用した1.5Lエンジンの第2世代e-POWERの静粛性の高さは一般道中心の試乗会でも感じられましたが、高速走行ではタイヤから発生するロードノイズも抑えられており、静粛性の高さが際立ちます。
その結果、BOSEのプレミアムオーディオのサウンドは音の輪郭がハッキリとしており、この静粛性の高いエクストレイルAUTECH e-4ORCEアドバンスドパッケージならば、マストで付けたいオプション装備です。
専用のブラックレザーシートなどを装着したインテリアは、もはやSUVとは思えない仕立ての良さが魅力。さらに、高い静粛性、振動の抑えられた走りは、国産ミドルクラスSUVでもトップレベルの乗り味を実現しています。
これまで、エクストレイルというと“タフギア”のイメージが強かったのですが、悪路走破性は確保しつつ、プレミアムSUVへと確実に進化しています。
●ADASの賢さを体感
エクストレイルAUTECH e-4ORCEアドバンスドパッケージのアダプティブクルーズコントロールは、プロパイロットを採用。ステアリングの修正に加えて、アクセル、ブレーキをシステムが行ってくれます。
ステアリングの修正の介入も、まるでドライバーが操っているような感覚となっており、不自然さがかなり消されています。
なんといっても絶品なのが車速制御。先行車との車間が詰まり、車速を落とし始めてから車線変更すると、e-POWERは瞬時に加速し、スピーディに設定速度に戻してくれます。
この車速の復帰が遅いと運転していてストレスを感じるのですが、新型エクストレイルはこの車速復帰がとてもスムーズ。しかもエンジン回転数が上がっているにもかかわらず、車内にほとんどエンジン音は侵入してきませんでした。
1.5LVCターボエンジンを採用したe-POWERを搭載した新型エクストレイルの燃費性能は、ベース車のG e-4ORCEが18.4km/L。今回、東京と大阪を往復した燃費は15.8km/Lでした。
一見すると、それほど良くないように見えますが、約600kmを時速120km/hで走行しているのは、かなり燃費に影響しています。これが速度域の低い東名高速往復ならば17km/Lは余裕でクリアできたと思います。
新型エクストレイルはe-POWERとe-4ORCEの採用によって、オンオフ問わない上質感のある走行性能を実現したと言えます。この上質な乗り味が500万円ならばバリューは相当高いです。
しかもリセールバリューも抜群なので、国産ミドルサイズSUVの中でオススメのモデルです。
(文・写真:萩原 文博)