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■マークII低迷を受け、セダン復活の使命を担う
2004(平成16)年11月9日、トヨタの高級セダン「マークX」がデビューしました。1980年代に高級セダンの「ハイソカーブーム」を牽引した「マークII」の後継車です。
一世を風靡したマークIIの人気も、1990年半ば以降は低迷。マークXはセダン復活の重要な役目を担って登場しました。
●ハイソカーブームをけん引したマークII
1980年代初頭、トヨタの4代目マークIIやソアラが火付け役となり、“ハイソカーブーム”が起こりました。ハイソカーとは、アッパーミドルクラスのスポーティな高級セダンで、高性能エンジンを搭載したハードトップのスポーティなスタイリングと豪華なインテリアが特徴でした。
そのハイソカーブームをけん引したのが、1984年にデビューした5代目マークIIと1988年の6代目マークIIでした。1985年の月販台数は1万2000台を超え、時に2万台を超えることもありました。また6代目は、バブル景気と重なったバブリーなモデルで、歴代マークIIの中で最も多い販売台数を記録しました。
その後続いた7代目は、発売当初こそバブルの勢いで売れましたが、販売は下降線を描きました。バブル崩壊の後、高級セダン市場は縮小し、1996年に登場した8代目と2000年の9代目は、もはやクルマ自体の出来栄えとは関係なく販売は低迷、遂に9代目を最後にマークIIブランドは幕を下ろしたのです。
●セダン復活を担ったトヨタのマークX登場
マークIIの人気衰退の理由は、バブル崩壊によってセダンのユーザーが、SUVやミニバンなどに流れたためでした。マークXは、新世代のFR高級セダンを目指し、そのネーミングは、将来への期待と可能性を込めて数学で未知数を意味する”X”を採用。また初代マークIIからカウントすると、10代目(Xはローマ数字で10)に相当するからでした。
ターゲットユーザーは、マークIIよりも一世代若い40歳代半ばから50歳代半ばに引き下げられました。
クラウンと同じプラットフォームを使いながら、全長は110mm、全幅と全高は5mm短縮。最大の特徴はフロントフードを長くしたスポーティなフォルムでした。
パワートレインは、2.5L&3.0L DOHCで、いずれも長年採用してきた直6からV6へ変更し、トランスミッションは6ATおよび5ATを設定。これは、2003年発売の12代目「クラウン」と同じ仕様ですが、マークXの方がボディは軽いので当然ながら軽快でスポーティな走りが実現されました。
●その後のマークXと終焉
デビュー当初のマークXの販売台数は目標を上回り、セダンとしては好調な滑り出しを見せました。が、セダン市場そのものが縮小する中で、販売は徐々に低迷。その後、2009年のモデルチェンジによって2代目へと移行し、商品力の強化を実施。車両価格が先代より10万円程度安価に設定されました。
それでも歯止めはかからず、2018年は年間販売台数が4000台程度まで落ち込みました。
ユーザーの若返りを図った新世代セダンのマークXでしたが、セダン復活は果たせず、デビューから15年を迎えた2019年末に、生産を終えました。
クルマにとっては100年に1度の変革期を迎え、CASE対応など膨大なリソースが必要となった中、トヨタも2019年から積極的に車種整理を実施し始めました。販売台数が少ないマークXが消えるのも致し方ないですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)