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■女性に人気が高かったライフの5代目がデビュー
2008(平成20)年11月6日、ホンダは「ライフ」としては最後の世代となる5代目を発表、翌日から発売を始めました。1971年に登場した初代ライフは、ヒットしながらも1974年に生産を終了。その後、23年のブランクを経て2代目ライフが復活し、今回が5代目で最後の世代となりました。
●初代ライフはヒットしながらも僅か4年で生産を終える
初代ライフは、自動車黎明期を飾った名車「ホンダN360」の2代目に相当する「NIII360」の後継として、1971年にデビュー。ライフは、ホンダが空冷エンジンから水冷エンジンに変更した記念すべきモデルであり、室内の広さと静粛性が自慢のファミリカーでした。
スタイリングは、全体的に角が取れたソフトなイメージで、パワートレインは360cc水冷2気筒SOHCエンジンと4速MTの組み合わせ。エンジンには、騒音振動を抑えるために、軽としては珍しいバランサーシャフトが採用されました。
小型車並みの広い室内空間と静かな走りでヒットしながらも、ライフは1974年に生産を終了。1972年にデビューしたシビックが世界的に大ヒットした中で、限られたリソースを小型車に専念させるために、ホンダは軽自動車から一時的に撤退することを選択したのです。
●女性が好む優しい装備とキュートなスタイルが特徴
初代ライフの生産終了から23年のブランクを経て、1997年にハイトワゴンとして2代目ライフが復活し、3代目、4代目とモデルチェンジを重ねました。
そして登場した5代目ライフは、“デイリー・スマイル・テクノロジー”をコンセプトに掲げ、ユーザーの誰もが毎日笑顔で過ごせるパートナーを目指しました。
特にこだわったのは、視界の良さ、快適さ、運転しやすさ、安全性でした。具体的には、三角窓の拡大、リアガラスの下端を下げての拡大、バックモニター付きオーディオの装備、シートのクッション性の改良、スマートパーキングアシストなど、女性にやさしい装備が採用されました。
またユーザー層の拡大を図るため、シンプルな標準装備モデルの他に、エレガントな「パステル」、スポーティな「ディーバ」と、それぞれ異なるフロントマスクを設定。パワートレインは、660cc直3 SOHCエンジンのNA(無過給)およびそのターボ仕様と4速ATの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意されました。
キュートなスタイリングで比較的女性に人気のあったライフですが、2014年に実質的な後継車であるNシリーズに引き継ぐかたちで生産終了しました。
●中国でライフが復活、軽ではなく中国版フィット
ホンダの中国の合弁会社東風ホンダが、2020年12月から新型ライフの発売を始めました。と言っても、軽自動車ではなく、中国版フィットです。
中国版新型ライフには、スポーティに仕上げられた“スポーツ”と、日本でも販売されているSUV風“クロスター”の2つのモデルが設定。ハイブリッドはありませんが、予防安全“ホンダセンシング”や1.5L直4 i-VTECエンジンは日本仕様と同じです。日本では、「ヤリス」や「ノート」に水をあけられているフィットですが、中国ではコンパクトカーとして高い人気を誇っています。
5代目ライフで実施された運転のしやすさや安全性、低床化による室内空間と荷室空間の広さなどが、結果として次のNシリーズに生かされました。5代目ライフは、Nシリーズの地ならしのモデルだったのかもしれませんね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)