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■ランクルプラドの前身となるショートボディ・モデル
1985(昭和60)年10月16日、トヨタから「ランドクルーザーワゴン(70系)」がデビュー。1980年代のアウトドアブームに対応するため、オフロード性能に加えて乗用車テイストのスタイリングや居住性向上を追求したオフロード4WDです。
●警察予備隊・制式車両の候補として登場したランクルの元祖
ランドクルーザーの起源は、1951年に自衛隊の前身である警察予備隊が使う制式車両の入札のため、試作した小型4輪駆動車に遡ります。採用されたのは、米国カイザー・ウィリス社と技術提携していた中日本重工業(現在の三菱重工のルーツのひとつ)の「三菱ジープ」でした。
そのとき競合に参加したのが、日産自動車「4W60ジープ」とトヨタ「トヨタジープBJ」でした。その後、“ジープ”の名がウィリスオーバーランド社の商標であることから、日産は「パトロール」、トヨタは「ランドクルーザー」と名乗り、市販化されたのです。
初代のランドクルーザー(BJジープ)は、小型トラックSB型用のシャシーを4WD用に改め、これに6気筒3.4Lのガソリンエンジンを搭載して、1953年から生産を開始しました。
●ショートボディで乗用車のような快適性を求めた70系ワゴン
初代から、20系、30系、40系と進化を続け、その後1980年に50系の後継として高級化が進められたステーションワゴン系の60系が登場して、80系、100系、200系、そして現行ランクルの300系へとつながります。
一方で、40系の流れからヘビーデューティ系として、1984年に70系バンが登場して、その派生として70系ワゴンが誕生します。70系ワゴンは、70系バンをベースにコンパクト化したショートボディの乗用モデルです。サスペンションをコイル化して乗り心地を向上し、室内は十分な乗員スペースを確保するなど乗用車のような快適性を追求。
パワートレインは、2.4L直4 SOHCディーゼルターボと5速MTの組みあわせ。パワフルなディーゼルターボの特性を生かした、ランクルらしいオフロード走行も当然ながら楽しめます。
それまでのランクルの特徴であった悪路の走破性を重視した本格オフロード4WD車でなく、ライトデューティのオフロードSUVとしてデビューしたランクル70系ワゴン。期待したような人気は得られませんでしたが、1990年に後継として登場した「ランクルプラド」は大ヒットしました。
●新型ランクルと現行プラドは何が違う
40系ランクルから分岐した、ステーションワゴン系の現行300系ランクルと、70系ワゴンの後継として登場したライトデューティ系の150系プラド、両車の違いを比べてみます。
ボディサイズ(ランクル/プラド)は、全長4985/4825mm、全幅1980/1885mm、全高1925/1835mmと、ランクルが一回り大きいです。
エンジンは、ランクルが3.3L V6ツインターボディーゼルと3.5L V6ツインターボガソリン、プラドは2.8L直4 ディーゼルターボと2.7L直4ガソリン。やはり、ランクルはボディが大きい分だけ大排気量エンジンを搭載しているということになります。
価格は、ランクルが632万5300円~803万1900円、プラドが419万円~556万600円と、200万以上の差があります。総合的に見て、ランクルの方がプラドよりすべてにおいて2ランクくらい上ということでしょうか。
70系ランクルワゴンは、存在感を示すことができませんでしたが、人気モデルのプラドに繋ぐまでの重要な役割を担った革新的なモデルと言えるかもしれません。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)