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■クラウンを名乗る新ジャンルのクルマ。 2.5Lモデルも加速性能は◎
2022年9月1日に正式発売された新型クラウンシリーズの第1弾となる「クロスオーバー」。
ハイグレードセダンの生き残りをかけて、歴代モデルのイメージから脱却すべくアグレッシブな意匠を採用しており、バイトーンカラーを纏った同車の姿はアメリカン・テイストさえ感じさせます。
それもそのはず、今回のクラウンはグローバルモデルとして開発されており、2022年7月15日に日米で同時発表されました。
新型ではハリアーやカムリ、RAV4などが採用するFF用「GA-K」プラットフォームをベースに、全グレードがハイブリッド+4WD(E-Four)化されていますが、車両価格は435万円からと比較的抑えられている印象。
そうした背景から、斬新な外観に対して「走り」の方は実際どうなの?との思いがよぎります。
●ミシュランとの共同開発でフェンダーとタイヤを“ツライチ”に
そうしたなか、今回2.5L Gグレードの“アドバンスド・レザーパッケージ”仕様に乗る機会を得たので、主として本稿では同車の走りや質感を中心にレポートしたいと思います。
ちなみに試乗車の装着タイヤは新型クラウン用に開発されたミシュラン製の21インチ「e・プライマシー(225/45R21)」。
高い静粛性や乗り心地を実現したプレミアム・コンフォートタイヤで、ドライやウェット路面での安定したグリップ性能に加え、ミシュラン史上最高の低燃費性能を備えているそうです。
トヨタでは同タイヤを新型クラウンに採用するにあたり、リフトアップされたボディスタイルにマッチするよう、タイヤショルダー部の角Rを最小化しており、前後フェンダー面との“ツライチ感”を追求。
ミシュラン社の協力を得て、理想のタイヤ断面形状を実現したと言います。
●乗り心地はやや硬目だが……
一般的に大径ホイールを装着した場合、スペース上の理由からタイヤを扁平化する必要があるため、路面のアンジュレーションを拾ってバネ上(ボディ上屋)に微小な上下振動が伝わり易くなり、フラットな乗り味を期待する向きには一般的に不向きな状態となります。
そこでトヨタはそうしたクラウン顧客層の期待に応えるべく、ダンパー(ショックアブソーバー)にスイングバルブを採用。
ロールやピッチングを無理に抑えるのではなく、バネ上全体を穏やかに動かす方向でチューニングするなど、微小な入力に対する当たりの良さを追求したそうです。
とは言え、クラウンとしては乗り心地がやや硬目であり、タイヤの角R最小化に伴う接地面積拡大についても、ロードノイズに影響を与えている模様で、車内の静粛性が向上しているだけに少々気になるところ。
●2.5Lハイブリッドモデルは侮れない加速性能を発揮
新型クラウン「クロスオーバー」には、349psものシステム出力を発生する2.4L直4ターボエンジン+モーター搭載モデルが存在しますが、こちらは最終的な煮詰めの最中で2023年初旬に発売予定。
一方、今回試乗した売れ筋2.5L直4エンジン+リヤモーターのシステム出力は234psと控え目ですが、結論から言えば、かつてのハイブリッド車にみられた弱点を全く感じさせないシャープな味付けがなされています。
発進時にアクセルを踏み込むと同時に車体後部がグッと沈み込むほどで、中間加速においてもその印象は変わらず、どの回転数から踏み込んでも軽快なレスポンスを発揮。
これは新たに開発した、電池内抵抗低減により大電流を一気に流せる「バイポーラ型ニッケル水素電池」が大きく寄与している可能性が高そうです。
この優れた動力性能と、WLTCモード燃費22.4km/Lの経済性を両立していることを考えると、かなり優秀なモデルと言わざるを得ません。
アクセルを踏み込んでエンジンを高回転まで回すと、それなりに車内への透過音が高まり、クラウンに“隔壁感”を期待する向きにはやや騒々しく感じるかもしれませんが、このあたりは好みの範疇かも。
●大きな変化への賛否両論は付き物。慣れは時間の問題?
新型クラウンに対する市場の反応はその斬新な外観から、肯定派と否定派に分かれているようですが、時間経過と共に見慣れて来るのがトヨタマジック。
実車を見て乗って、同車が持つポテンシャルを体感すれば、否定派も早々に陰を潜めるかもしれません。
もし2.4Lターボ搭載の「RS」グレード(605万円~)と選択を迷っているなら、まずは2.5Lモデル(435万円~)を体感してみることをお薦めします。
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新型トヨタクラウン クロスオーバー
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