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■新型クラウン、好き? 嫌い? 売れる? 売れない?
新型クラウンの評価が大きく割れている。直近の受注状況を見ると、半導体不足に代表される生産上の問題により上級グレードのみしか受け付けていないというが、それでも納期1年を覚悟しないとならない感じ。ハリアーの「来年中は難しいと思います」より少し短いけれど(笑)、現在進行形で生産可能台数より受注が多いと言うから、新型クラウンも遠からず1年超えかもしれません。以下、辛口意見を。
1)そもそもクラウンじゃない!
これが一番多い。発売前にディーラーから出ていた強烈な不満点も正しく「クラウンじゃない!」だったという。やはり4ドアセダン=クラウンだと考えている人って多い。なかには「新型は絶対売れない。だったらセダンのままでよかった」という人も。
2)やはりクラウンと言えばFR車だ!
新型クラウン嫌いの多くがFF車はFR車より低級という認識を持っているようで、FF車のクラウンなんか考えられないという。やはり高級車はFR以外ダメという評価軸です。したがって新型クラウンは認められないという。
3)安っぽいね!
これはもうたくさんたくさん出てくる。Dセグなのにインテリア素材は樹脂そのものの部分(コンコン叩くと硬い素材。ハードパッドと呼ばれる)多い。ボンネット開けると補助ダンパー無く、チカラが必要。つっかえ棒を使わないと開いたままにならないし。
4)乗り心地が悪い!
21インチタイヤ仕様に試乗した同業者の中には「酷い!」とフェイスブックで書く同業者もいる。新型クラウンに対し辛辣な意見を言う人の大半が「乗り心地悪い」。私は路面のデコボコを探す機械みたいだったゼロクラウンより1万倍良いと思います。
5)こんなクラウン誰が買うの?
「レクサスより安くて良いと言う人なんかいない」とか「こんなクルマ誰が買うのか全く解らない」という、徹底的な批判も少なくない。失敗確実と主張。売れなかったら「さすが専門家! 正しい主張です」ということになります。
●もしこれが輸入車だったらどうだった?
以下、私の意見です。興味深いことにフェラーリが新型クラウンそっくりの4ドアSUVを出したけれど、皆さん好評。私はポルシェからカイエンでた時に「こりゃ何だ?」と思ったけれど、輸入車贔屓の多い同業者は絶賛でした。マセラッティやロールスロイスのSUVなんかも「そらないよ!」じゃないんだろうか? 逆にフェラーリやポルシェのSUVを認めるんなら新型クラウンだって上出来だと私は思う。
FF車かFR車かという点も、ポルシェ・マカンはアウディベースのFF。生い立ちとしちゃ新型クラウンに似ているけれど、だからといってマカンをクソミソにケナす同業者は居ない。今や良く出来たFF車に乗ると、FR車との違いなんか解らないです。小回り性能という機能的な評価軸だと、新型クラウンにも後輪操舵4WS採用モデルがあり後輪駆動車と全く変わらない最小回転半径を持つ。
乗り心地悪いと言う人もいる。過去を見ると新型クラウンより乗り心地悪いゼロクラウンはけっこうヒットした。もっと言えば乗り心地オタクの私が、そのまんま乗れると思うレベル。荒れた路面で21インチタイヤの粗さを感じることもあるけれど、ドイツ製のSUVで新型クラウンより乗り心地悪いクルマなんか普通にある。それからすれば新型クラウンの乗り心地はホメてもよいレベル。
そもそも新しいコンセプトのクルマを出せば、必ず批判が出る。クルマって商品。売れれば正義だし、売れなければ生き延びれない。といった観点で評価するなら、新型クラウンの「発表1ヶ月で2万5千台」というスタートダッシュは、上級グレードしか販売せず、しかも納期1年近いということを考えたら上出来だと思う。加えて私の読者の間でも「カッコイイ!」という評価がジワジワ増えてきている。
先代クラウンと同じように4ドアセダンのままだったら、おそらく相当厳しい状況になっていくと思う。クラウンってアメリカ車をモチーフにした4ドアセダンだから海外進出なんか不可能。一方、新型クラウンのデザインだったらアメリカや中国でも売れるだろう。ということで結論! トヨタの足を引っ張る失敗作ならステークホルダーに影響あるけれど、販売台数は海外を含め相当期待出来ると思う。
嫌いな人は買わなければいい。
(国沢光宏)