マツダ「オートザム・レビュー」デビュー。女性をターゲットにしたキュートなコンパクトカー【今日は何の日?9月28日】

■ヨーロピアンな可愛いコンパクトセダンは欧州で人気モデルに

1993年にデビューしたオートザム・レビュー(C)Creative Commons
1993年にデビューしたオートザム・レビュー(C)Creative Commons

1990(平成2)年9月28日、マツダからコンパクトセダンの「オートザム・レビュー」がデビューしました。

キュートなフロントマスクを持つ丸みを帯びたスタイリングに、キャンバストップ仕様もあった個性的なコンパクトセダン。日本では不発でしたが、欧州では人気モデルでした。

●オートザムはマツダが進めた5チャンネル販売体制の中のひとつの名称

トビラ画像
マツダ「オートザム・レビュー」

マツダは1980年代後半、クルマが飛ぶように売れたバブル景気の勢いに乗って、トヨタや日産、ホンダと同じように販売網の多チャンネル化を進めました。

マツダが設定したのは、小型車をはじめ高級車と商用車を扱う“マツダ店”、フォードブランド車を扱う“オートラマ店”、「ロードスター」や「ユーノス500&800」などを持ち、シトロエン車も扱った“ユーノス店”、小型車や軽自動車を扱う“オートザム店”、「RX-7」などのスポーツカーやスポーティな高級車を扱う“アンフィニ店”という5チャンネル体制でした。

オートザム・レビューの他にも、5チャンネル体制下で生まれた「ユーノス・ロードスター」「オートザムAZ-1」などは、販売チャンネルの名称が車名に付けられています。

●広い室内空間がマツダのコンパクトカーの原点に

レビューは、可愛らしさを強調した主に女性をターゲットにした3ボックスのコンパクトセダンでした。

オートザム・レビューのリアビュー。コンパクトながら十分なトランクスペースを確保(C)Creative Commons
オートザム・レビューのリアビュー。コンパクトながら十分なトランクスペースを確保(C)Creative Commons

セールスポイントは、優れたパッケージングとキャンバストップ仕様があること。コンパクトながら大人4人がリラックスできる室内空間を確保して、フロントシートは幅530mmで座り心地も快適。

また、前席と後席に設置された操作スイッチによって、前方だけ、中央だけ、後方だけと自在に開閉可能な電動キャンバストップは、開放感が楽しめて若者から人気でした。

パワートレインは、1.3L&1.5L直4 SOHCの2つのエンジンに、5速MTをベースにして3速&4速ATの組み合わせが選択できました。

女性ターゲットを強調しすぎたせいか、国内での販売は限定的でしたが、欧州では人気モデルに。コンパクトながら快適な室内空間が、欧州では好まれたようです。

●キャンバストップのクルマはなぜ絶滅状態に

2002年に登場した2代目デミオのホワイトキャンバストップ
2002年に登場した2代目デミオのホワイトキャンバストップ

キャンバス(布)トップとは、文字通り布張りのルーフのこと。サンルーフやガラスルーフのようなハードなものとは異なり、またキャビン全体を布で覆うソフトトップとも異なり、キャンバストップはルーフだけが布のものを指します。

バブル景気の頃はマツダ「フェスティバ」や「デミオ」、日産「Be-1」や「パオ」、トヨタ「WiLL Vi」などコンパクトカーや軽自動車にキャンバストップが設定され、若者の人気を獲得していました。

ハードタイプと比べて安価で、気軽に開放感が楽しめるのが魅力で、一方で中級や上級クラスのモデルでは、サンルーフのようなハードタイプが人気でした。

しかし、最近は両タイプとも見かけることがなくなりましたね。雨の多い日本では、雨漏りに関して厳しいと言われ、屋根の一部が開いたり、布製の屋根というのが受け入れられない土壌があるのかもしれません。また、多くの人や荷物が運べて、安全にどこでも走れるというような実用性が求められているからでしょうか。


1996年にデビューして大ヒットした初代デミオ
1996年にデビューして大ヒットした初代デミオ

優れたパッケージングとユニークなスタリングが魅力のレビューでしたが、販売的には苦戦しました。とはいえ、レビューのプラットフォームは、その後1996年に登場するデミオに継承されました。自動車の商品力は、何が大きく影響するのかを見極めるのが難しいことを証明する一つの事例とも言えます。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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