ヤマハ発動機がFRP成型技術を活かしてカプセルホテル用 「FRP製カプセルユニット」を共同開発

■都市型宿泊施設の快適性を、ヤマハ発動機の高い技術力で高める

2022年9月21日、ヤマハ発動機は、ナインアワーズと共同でカプセルホテル用のFRP(繊維強化プラスチック)製カプセルユニットを新たに開発し、都市型のカプセルホテル「9h(ナインアワーズ)大手町店」に第1期として8床を納入しました。

今後、「9h」新店舗を中心にFRP製カプセルユニットを順次供給するとしています。

ヤマハ発動機 FRP製カプセルユニット
9h専用の「FRP製カプセルユニット」。左の写真は、開発時の1/8縮尺の3Dプリンター製モックアップ

ナインアワーズが運営している「9h」は、出張や旅行、残業など、多様化する都市宿泊の最適解を目指す新しいスタイルのカプセルホテル。ナインアワーズは、最高品質の睡眠を提供するため、スタイリッシュで密閉性が高く、防音性能に優れた次世代型カプセルを求めていたそうです。

ヤマハ発動機 FRP製カプセルユニット
静粛空間の実現、生産コストの低減を両立する設計提案がされている

一方のヤマハ発動機は、プールやボートの事業活動を通じて培ったFRP(繊維強化プラスチック)成型技術をはじめ、設計提案力を社会課題の解決につなげるため、高強度かつ軽量、設計自由度の高さといったFRPの特性が活きる領域で強みを発揮。多様な分野において、解決策となる技術などの提供を目指しています。

今回の共同開発は、従来にはない次世代型カプセルを求めるナインアワーズ社と、FRP事業で豊富な実績を持つヤマハ発動機の技術力を活かせる事例として、コラボが実現したそうです。

ヤマハ発動機 FRP製カプセルユニット
開発時の1/8縮尺の3Dプリンター製モックアップ

新開発された9h専用の「FRP製カプセルユニット」は、防音性能に優れた入口の扉が新たに開発されています。一般的なカプセルの出入口は、ロールアップ式カーテンなどが多いのですが、それに比べこちらの扉では静かな空間で就寝できます。

また、快適な室内空間を実現しながらデザイン性に優れ、肌触りに優れた美しい表面仕上げも美点。こうした要件に高次元で応えるため、ヤマハ発動機では、先述したように、プール製造やボートの艇体製造で培われた設計提案力と成形技術を発揮。

4分割の主要部品(従来の一般的なカプセルは、6分割)で構成される高精度カプセルの量産を実現しています。部品点数の削減により、コスト低減、生産効率化の向上にも貢献しています。

ヤマハ発動機 開発時の1/8縮尺の3Dプリンター製モックアップ
複雑な形状の曲面、美しい合わせ面を実現する量産技術が活かされている

また、デザイン性の高い、複雑な形状の構成部品を高精度で量産するため、プール製造などで豊富な経験を持つクラフトマンが、吹き付けやハンドレイアップによる積層工程を行っているのも特徴です。さらに、利用者がじかに触れるカプセル内部の表面処理や仕上げには、プール製造の技術が活かされているそうです。

ヤマハ発動機 FRP製カプセルユニット
カプセルユニットの内部

「9h」では、最高品質の睡眠をさらに高めるため、睡眠状態のセンシングなど、新たな機能の付加に取り組む計画があり、施工後の配線追加などにも柔軟に対応可能な拡張性の高さも特徴になっています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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